韓国で勝って勢いに乗って日本に乗り込んで、相手の負傷
などもあったが、AIGオープンを制したヴァイディソーバ。
しかし、そんな彼女にシャラポワ二世と呼ぶ日本人が
いるそうです。

しかし、彼女はマネージメントなどに関しての恵まれた
体制という部分では重なるところはあると思いますが、
かなり相似よりも違いの方が多い気がします。

何より、本人がシャラポワ二世と呼ばれるのを嫌がっている
ようですね。

まぁ、チェコ人というのは歴史的な経緯からロシア人と
ドイツ人が嫌いでして、長野オリンピックでチェコで国技
であるアイスホッケーという競技で金メダルを獲得しました。

その時の勝ち上がりがQFが強国のアメリカに3−1.
SFが優勝候補のカナダ2−1とリードしていながら
残り一分切ったところで追いつかれ、押され気味の延長を
何とかしのいでペナルティショット戦での勝利。

そして、決勝がロシアでした。

アイスホッケーファンは記憶している人も多いでしょうが、
ロシア相手に先制し、その一点を30本以上シュートを
打たれながら必死の守りでしのいで1−0で勝ったとき、
時差八時間をものともせず、朝の五時から真冬のチェコで
ウォッカやビールを飲んでヤンフス像の巨大仮説スクリーン
で見ていた人、家庭で見ていた人は爆発しました。

まぁ、この勝ち上がりや相手がロシアであったことが
大盛り上がり大会の理由の一つでしょうが、かように
ロシア人をやっつける場面にある種のエクスタシーと
開放感を感じるようです。

ということで若きチェコ人テニスプレイヤーに若くて
強くてかわいいからと言ってロシア人プレイヤーの
二世だと言う言い方をすると嫌がるわけですね。

ヴァイディソーバはシャラポワ二世ではない。
ヴァイディソーバ一世である。

私はそう思うます。
SBK

 ヴァーミューレン 9

驚愕のスーパーポールラップ。そしてレース1での強さと
速さ。今年とり損ねたタイトルに来年獲れる可能性を感じさせた
今回のフランス。MotoGPのオーストラリアでどんな走りをする
のか楽しみである。

 ランツィ 8.5

予選と第二レースだけだったら満点だが第一レースを考えて
この点数に。ドゥカティとは仮契約のみでスズキもホンダも
興味を抱いているこのキャリアは長いがまだ若いイタリア人
はドゥカティ首脳陣の期待に見事に応えた。

 加賀山 8

目覚めた感のある日本人ライダー。二レースともに表彰台
ゲットは立派。スーパーポールで失敗して後方スタートと
なってしまったコーサーの穴をしっかり埋めた。

 マーティン 8

マッコイがさじを投げた感の強いペトロナスで今回も予選で
力強いところを見せて、ライダーのポテンシャルを示した。
彼にいいバイクを!!

 芳賀 7.5

言うことを聞いてくれないバイクを必死に走らせてのリタイア。
そして何とか出来うる限りのことをやっての三位。予選一回目
はどうなるかと思ったが、芳賀らしさの見えた日曜日の午後。

 トーズランド 6

何か元気のなさばかり目立ってしまった印象の強い週末。
とりわけランツィの優勝を目の前にしてしまうとこんな
点数になってしまう。

 ウォーカー 8

他のカワサキスタが今ひとつ、今二つのなか、彼の元気のよさ
が目立った。マシンの戦闘力が今一歩でも彼のがんばりで
順位とタイムを稼いだフランスでのイギリス人。

 SS

 パークス 10

ファンタスティックな週末。マシン、タイヤ、サスペンションが
美しい響きを奏でれば、ライダーは気持ちよくオペラを独唱
することができることを実証。

 カーテン 9

チームメイトには負けたが見事な二位ゲット。確実に高いレベル
のタイムをコンスタントにたたき出し、予選でも決勝でも
いいレースをしたグッドガイカーテンであった。

 ファブリッツィオ 8

上手く予選を進めて、昇り調子で日曜に入ったが、何かが
足りなかった。マシンのセットアップに苦しんでいる僚友
よりコンマ二秒速ければ早く彼を抜いて前に追いつけたが、
それができなかったローマ人。

 フォレ 7.5

セットアップに苦しみながらも予選の一発でフロントローに
マシンを並べ、挙動の不確かなバイクながらそこそこのレベル
でチェッカーまで持っていったのはさすが。逆に言えば、
マシンが仕上がれば勝つこともできた地元での彼。

 STK1000

ケイミューレン 10

諦めが悪いことが美しいことであること。優勝が難しい時には
二位を走行してとにかく相手に自分の存在を見せつけることが
重要であることをレースで証明し、改組となったこのクラスの
FIMカップSTK1000のチャンプになった。しぶとくこのフランスを。
そして、ドイツ以降のレースを戦ったベルギー人であった。

ソフオグル 7.5

来季トルコでSBKが開催されるという話が広がっている中で、
来季SBKを走るという話がかなり色濃くなっているドイツ在住
のトルコ人。そんな彼はタイトルを獲得してステップアップし
地元で歓迎を受けて来季SBKを走りたかったことだろう。
そんな彼はいい走りをしながら最後に手痛いミスを犯して
優勝とタイトルの両方をチームメイトにみすみすプレゼント
してしまった。

STK600

ティべりオ 10

絶対に勝たなければいけない戦い。絶対に落とせないレース。
二位以下ではタイトルの可能性が無になってしまうという
局面で見事な集中力と安定したラップタイム、そして攻撃的な
走りとメンタルタフネスを見せて勝利を奪った。
ドラゴンズファンの私は素直に今年のドラゴンズの大事な
試合を取りこぼした名古屋のチームの姿とフランス人ライダー
の結果を比較してしまった。
強さと速さを今回も証明して見せた彼であった。

カネパ 8.5

スタートの失敗さえなければ優勝もあり得た今回のレース。
今季尻上がりに調子をあげた彼だが、勝ち味を覚えることが
必要か。

ヤマハジャーマニー 10

STK1000とSSに参戦しているこのチームだが、両方のカテゴリー
とも見事なワンツーフィニッシュ。彼らのヤマハのマシンと
ホワイトパワーのサスペンションが見事なマッチングを見せて
の圧倒的な勝利であった。
スロバキア対クロアチアという建国(独立と言ったほうが
正しいのかも)して15年にもなっていない両国のバトル
となりました。

今回の開催国はスロバキア。でもって気になるのが開催会場
ですね。

まぁ、とんでもない盛り上がりになるのは間違いないのですが
また、あのナショナルテニスセンターというウルトラ高速
ハードコートになるのでしょうか。あるいは観客数を考えて
違う場所(彼らにとってアイスホッケーは国技ですが
アイスホッケー場にカーペットをひいてやるなんてことが
あるかもしれません。)になるのでしょうか。

スロバキアで三月のデビスカップ一回戦の対スペイン戦を現場
で見た人間からするとあのハードコートと熱狂的な応援が
スロバキアの大きなアドバンテージであることは間違いなく、
かなりの可能性を感じますが、どこでやるのか気になりますね。

スペインがかつて大観衆を収容するために闘牛場にクレーを
ばらまいて大会を開いたことがありますが、同じようなことを
アイスアリーナを使ってやるような気がする私です。

まぁ、収容人数に限りがあるので、ちょっともう少し大きい
ところでやって欲しいと思う私です。
このSTK1000というカテゴリーでは同じチームのヤマハジャー
マニーのケイミューレンとソフオグル、そしてスズキのコックスヘルがタイトル争い、決勝の時を迎えました。

予選トップは今回ここを走ることとなったネベル。二番手に
ケイミューレン。ロッコリ、スカッサが続きトップ4がR1。
コックスヘルは五番手。ソフオグルは六番手で日曜日の朝のグリッドに着きました。

スタートからこのレースがタイトルを争う二人での優勝争い
になることが明らかになる。ブラックに彩られたR1が後続を
周を追うごとに引き離していく。

とにかく前に出た方がこのタイトルを獲ることができる。
両者とも必死である。トルコ人の方はドイツでのコースオフ
によるペナルティで優勝を失い、イモラで転んで、タイトルが
決まっていてもおかしくないのに、自らの過ちの大きさで
ここでタイトルを決めるしかない。一方ベルギー人の方は
敵失で願ってもないチャンスがやって来たわけで、栄冠を
得るために勝ちにきている。両者の緊張が見る側にも
伝わってくる。

二人のマッチレースとなったこの戦いは残り二周に入ったところ
で先頭に立ったソフオグルが引き離そうとスパートを掛ける。
しかし、ケイミューレンも今年一年の総決算がここである。
何とか必死に食らいついていく。

ファイナルラップに入り、相手に攻撃されないだけのリードを
得ることなくソフオグルがトップを走る。ケイミューレンも
明らかに100%の走りである。

二台のR1がコーナーの半分を過ぎる。仕掛けどころが少なく
なっていく。そして、残りの部分が少なくなり、いよいよ
最終コーナーに進入するソフオグル。

ここで彼は相手のアタックを警戒して、いつもよりブレーキング
ポイントを遅らせた。

しかし、これは相手の攻撃を阻むのではなく、自らのレーシング
ラインを換えてしまうものであった。

きれいにコーナーを立ち上がれずにはらんでしまったソフオグル
の横を通常の走りをしてフィニッシュラインに向かう
ケイミューレン。

最終ラップの最終コーナーで優勝とFIMカップSTK1000世界選手権
を得たのはケイミューレンであった。

大喜びのベルギー人ライダーと隣国からやって来た彼らのファン
達。タイトルは微妙で難しい状況であったにも関わらず
世界チャンピオンTシャツを用意してお祭り騒ぎである。

一方、パルクフェルメに戻ってきたソフオグルはヘルメットを
かぶったまま、脱力状態で座り込んでしまった。

表彰台のセレモニーでもヤマハジャーマニーの二人は全く
好対照で喜ぶケイミューレンとうなだれるソフオグル。
トルコ人はシャンパンをぶちまけることなく、静かに
チームスタッフのところに戻っていった。
SBKのヨーロッパラウンドで併催されているこの二つのレース。
前回のイモラでタイトルが決まらずにここでのタイトル決定となりました。

STK600

ポールマンはカネパ。今季このカテゴリーで走ることになった
ジェノーバ人は今回も好調である。若いライダーにとって
数多く走ることが大事であると思うが、今回の彼はライトスピ
ードカワサキでSSにエントリーし、このクラスではシーズン当初
同様カワサキベルトッキで参戦。サーキットになれるという
意味ではライバルにアドバンテージを得ている。その彼が
トップであった。

二番手はティベリオ。彼がタイトルを狙うには、ここで勝って、
コルティがノーポイントに終わらないとこのカテゴリーを
制することはできない。二位以下は敗戦と同じ。今回も一週間
前と同様勝利あるのみである。

その後ろからベルジェにシメオンが続く。コルティは今回
無理しなかったのか無理しなかったのか凡庸なタイムで
六番手であった。

SBKでのフリー走行での赤旗の影響もあり、いつもより遅れての
ピットオープンとなり、いよいよダミーグリッドへ。
泣いても笑っても最終戦。ここで今年の全てが終わり、
そして未来への扉が開かれる。

シグナルレッドからノーライトになり、全車スタート。
見事なダッシュを見せたのは二番手スタートのティベリオ。
ベルジェが一コーナーで仕掛けるが抜くまでには至らず二番手
のまま。ポールスタートのカネパはスタート失敗。コルティは
中位集団に飲まれてのオープニングとなった。

ティベリオの集中力とスピードは素晴らしく、他のライダーを
全く寄せ付けない。二周目には二位以降に三秒以上のタイム差を
築く。追うのはベルジェ、さらに今回好調のライトスピード
カワサキのナポレオーね、アントネッリの二人にシメオン、
カネパである。

カネパが前半のスタート失敗を挽回し、三番手に浮上。
ティベリオ、ベルジェ、カネパという順位でレースが中盤
固定される。

48秒台連発のティベリオに対し、何とか付いていきたいベルジェ
であるが、差は縮まらず、逆にカネパに追いつかれて、二位争い
が加熱。その後ろにシメオン、アントネッリ、ナポレオーネ
である。コルティは無理せず七位から九位の間を走行。

優勝以外は敗戦を意味するレースを戦うティベリオは48秒台を
常にキープ。攻撃的な走りを続ける。追いかけるベルジェだが
逆にカネパにつかまり、三位にダウン。カネパがフランス人
を追いかける展開となった。

終始アンタッチャブルな走りを見せたティベリオはライバル
達に影を踏ませぬパーフェクトな走りを見せて地元で初開催の
このカテゴリーのウィナーとなった。

二位にはカネパ。三位にベルジェという表彰台となった。

コルティは無理せずに結局八位でゴールして今季から始まった
このアンダー20ユーロSTK600の初代王者となった。

五勝でタイトルを決めたコルティ、四勝で二位となったティベ
リオ。残り一つはベルジェのドイツでのものだが、これも
トップを争っていたコルティとティベリオのクラッシュで
拾ったものであり、このクラスはヤマハR6のイタリア人と
ホンダCBRのフランス人を中心に展開していたのだと改めて
感じた私であった。

将来のスーパースター、グレートライダーを発掘する。
若く元気なライダーに世界格式のレースが行われているサー
キットで走らせ、経験を積ませるというFGSPORTの企画した
このカテゴリーはコルティとティベリオという素晴らしい
ライダーを発掘し、そして宿命的とも言えるライバルストーリー
と激しいバトルを残して幕を閉じた。

コルティには来季STK1000やWSSという話が出ている。
そしてティベリオは来季WSSに出世してCBRを駆ることになる。
彼らの激しく美しいライバルストーリーは始まったばかりである。
ヴァーミューレンの圧勝に納得しながら速さにあきれていた
連中はどんな策を練って、第二レースに臨むのか、誰が
彼を止めるのかが焦点となった午後三時半スタートのレース。

スタートしてすぐにピットとムジェリッジがぶつかり、スタート
直後のおしあいへし合いで想定外の動きを見せた彼らをよけき
れずマーティン、ブセイ、ドゥコスタの三人がまき沿いになり
ながら一コーナー先のグラベルへ。

部品が散らばり、倒れているライダーを尻目に他のライダーが
走っていくが、彼らにすぐに赤旗が提示された。

久しぶりに集団でヴァイオレントなクラッシュを見てしまった
レースファンである。

幸いなことに命に関わるようなことにはならず、救急活動が
迅速に行われ、ブセイとムジェリッジはネヴェールの病院に、
他の三人は再開されるレースに出走することになった。

四時二分スタートというアナウンスメントが出されて、
準備に掛かるライダー、メカニック、チームスタッフ。

再びグリッドに着いて、レーススタートとなった。

今回は大きな混乱はなくきれいに1コーナーをクリアしていく。
ダッシュを決めたのはポールスタートのヴァーミューレン。
続いて、加賀山、ランツィ、芳賀、トーズランド、ウォーカー
といった連中が続いていく。

第一レースの展開から見て、加賀山が勝つとしたら、スタートを
決めて、ヴァーミューレンと競り合い、彼にワンアンドオンリー
で走らせずにつばぜり合いに持ち込むと読んでいたが、彼は
それができずにヴァーミューレンが先頭でレースは進んでいく。

このオージーの走りに必死になってついていったのは、ランツィ
で加賀山をパスして二番手につくと、序盤からハイペースの
展開でヴァーミューレンとの競り合いとなった。

トップ争いがオージーとイタリア人で行われている後方では
加賀山と芳賀の三位争い。そして、その後方では16番グリッド
からいいスタートを切ったコーサーが徐々に順位をあげていき、
トーズランド、ウォーカーとピットといったあたりとバトルを
しながら順位を上げていった。

熾烈な争いをするトップグループと三位争い。このまま終盤に
もつれてどんなドラマが待っているのか、どんな戦いになるのか
と固唾を飲んで見守っていたファンと関係者に写ったのは、
最終コーナーからレーシングスピードとはほど遠いスピード
で直線を走るウィンストンカラーのファイアブレードで
あった。

ヴァーミューレンは直線の終わりでピットウォールの方に
マシンを寄せてリタイア。ここでのダブルウィンはマシン
トラブルという形で終わってしまった。

これで楽になったランツィは優雅なサンデークルージング状態。
後方の芳賀、加賀山とは十分なマージンがあり、タイム差を
見ながら九割の力でラップを刻んでいく。

一方、二位争いとなった芳賀と加賀山の争いは白熱し、
お互いが少しでも隙を見せれば攻撃する姿勢を見せる熱い
ものであった。

このレース2でのランツィはまさにヴァーミューレンが
いなくなってからアンタッチャブルでワークスマシンを
貸与したドゥカティ首脳陣の期待に応える走り。ラコニが
走れず、トーズランドが優勝争いに絡めない中、ボローニャ
のメーカーの希望を見事に応えた素晴らしい優勝であった。

二位争いは終盤になり、ラップタイムが低下した芳賀をよう
やく加賀山が引き離して決着、三位は結果は満足できないが
激しいバトルを楽しめた芳賀のものとなった。

四位にはコーサーが入り、五位にウォーカー、以下トーズランド
ピット、ノイキルフナー、阿部、キリというトップ10であった。
ウォームアップでどうも体調的に走れないという判断を下した
ラコニを欠き、彼目当てにやってきたフランス人がさみしさと
不満を抱いたままレース開始時間を迎えた。

スタートしてすぐにポールシッターのヴァーミューレンが
トップに立つ。追いかけるのはウォーカー、トーズランド、
芳賀、ムジェリッジ、加賀山であったが、芳賀はマシンコント
ロールに苦しんでいる様子が伝わってくる。ほどなく、この
名古屋人は転倒してリタイヤしてレース2に備えることと
なった。

加賀山の今週末の走りは素晴らしく、ただ一つのエラーが
スーパーポールでのものだったことを実証していく。
徐々に順位を上げて、二位に浮上。ヴァーミューレンに
迫っていく。三位以下はトーズランド、ウォーカー、ピット
といった面々。コーサーは16番手スタートながら六番手
まで上昇していた。

加賀山に大きなチャンスがやってきたと見ていたファンや
関係者も多かったと思うが、あまりにも相手が悪すぎた。
加賀山以上にヴァーミューレンは乗れていて、40.985という
レース中のニューレコードまで出す有り様。その後も
快調に41秒台前半を出していく。次第にトップのオージーと
二位の日本人の差が離れていく。

三位を狙って懸命の走りをするイェローカラーのカワサキを
駆るウォーカーであるが、次第に苦しくなって、ライバルの
先行を許す。まずはトーズランド、そしてムジェリッジ、
ピット、さらに後方からスタートしたコーサーである。

期待されたランツィは苦しみながらできうる限りの走りで
戦える状況ではなかった。

結局、レースはヴァーミューレンが圧倒的な速さと強さで
制した。イモラのレース1に続いての連勝である。
二番手に加賀山、三位にはトーズランドというメンバーの
表彰台となった。

以下、ムッジェリッジ、コーサー、ピット、ウォーカー
ノイキルフナー、ランツィ、阿部というトップ10であった。
朝六時に寒さで目が覚めた。まぁ、寒暖の差の激しさを感じる
フランスのマニクールである。そんな中、小さなSTK600やSTK
1000のチームの連中は結構キャンプしている連中もいる。

個人的にはこういう寒さとか夏の暑さの厳しさを体感して、
勝負に臨んで、これを勝ち抜いて、現在横目で見ているトップ
ライダーのようにメガキャンパーを買える身分になり、
世界の頂上に近づいていくことはいいことだと思う。

最初からいい環境で寝泊りして、レース活動できることは
ある意味幸せだが、同じ道具で同じ競争力を有しているライダー
同士が戦ったら、成り上がりたいとかいい生活をしたいと
思う方が強いはずなので今はこの寒さの中テントで寝泊り
していても世界のビッグチームや関係者の目の前で強さと
ガッツのあるところを見せて成長して欲しいと思う。

ロレンツォ・ランツィというライダーもそういう場所を
経験して、さらに250をカンペテッラレーシングで参戦して
いた時に我々は知り合ったのだがその後、浪人生活を経験し
能力はあるのに発揮できず悔しい思いをしていた。
そんな能力はあるのに走れない、走りたいのに場所がない
そんな時間を経験した彼には今、ワークスマシンとハングリー
ガッツがある。

二度目の予選が始まった。前日の混戦ぶりは今日も変わらない。
しかし、タイムと順位は残り20分を切ったあたりから大きく
変動してきた。

関係者に結構高い評価を与えられているが、浮き沈みの多い
ノイキルフナーが40秒台に入れてくる。今日の彼はいい時の
彼のようだ。僚友のキリがまたジャンプアップを果たす。
さらにカワサキのウォーカー、ピットが40秒台に叩き込む。

来週のオーストラリアでMotoGPデビューを果たすヴァーミューレン
も40秒台に入れてきた。誰が40秒台の前半、さらに39秒
台に入れることができるのかが焦点となってきたセッション
終了間際、イェローからであるが、アルコール広告規制の国で
coronaの文字がなく、GSX-Rと書かれている少々違和感のある
スズキのリッターバイクがやって来た。コーサーと加賀山で
ある。コーサーが40.497、加賀山が40.512に入れてきた。
しかし、それを上回ったのがドゥカティのF05を駆るランツィ
であった。出したタイムは40.450際どくニューワールド
チャンピオンを抜いて二回目の予選トップとなった。

ランツィ、コーサー、加賀山、ノイキルフナーが一列目。
ヴァーミューレン、ウォーカー、ムジェリッジ、ピットが二列目
キリ、マーティン、芳賀、ボストロムが三列目。
トーズランド、ブセイ、ダヴィデ・チェカ、ラコニが四列目で
午後四時からのスーパーポールに臨む。

スーパーポール

芳賀が一発の速さを見せた。ここのところ予選の一回目は
中団に沈むことの多い彼だが、二回目、そしてスーパーポール
と確実に順位を上げるのは実力者である証拠である。
きっちりとタイムを上げて、上位に食い込んできた。
追い抜きが難しいこのコースではこれは大変重要なことである。

しかし、その彼を上回るタイムを出すためにアタックに
入った加賀山であったが、力みや気負いがあったのか、
ほぼ予選二回目と同様のタイムであった。また、コーサーは
マシントラブルに見舞われ何とスーパーポール進出ライダーの
最後尾16位ということになってしまった。

ランツィがアタックに入る。ここでの彼も予選セッション後半
のように実に素晴らしい走りを見せる。よく集中し、見事な
走りでチェッカーを受けて記録されたタイムは40.349
いいタイムであり。まっとうなら彼がPPであるはずである。

しかし、しかしである、いいタイムである、ランツィや芳賀の
タイムを凌駕しているライダーがいたのである。

テンカーテホンダのヴァーミューレンである。

彼のホンダはホンダサウンドを響かせて直線をぶっちぎり、
オージーのライディングでコーナーをクリアし、最終の
嫌な感じのシケインをクリアしてチェッカーを受けたタイムは
何と39.836というとんでもないものであった。

これにはさすがにどよめきが起きたマニクールであった。

PPはヴァーミューレン、二番手にランツィ、三番手に芳賀、
四番手にムジェリッジというフロントロー。

以下、トーズランド、ノイキルフナー、加賀山、ピットが二列目

ウォーカー、ラコニ、ボストロム、ブセイが三列目。

ダヴィデ・チェカ、マーティン、キリ、新ワールドチャンピオンのコーサーという四列目で最終戦の決勝を迎えることとなった。
火曜、水曜と信じられない寒さと霧に包まれたマニクール。この
時期にこの場所で最終戦をやるのは信じられないが、そんな
ことを思う私の耳に入ってきた話が来季の最終戦に南アフリカ
が開催されるのではないかという話。まぁ、それで十月の
始めではなくてせめて九月にここだったらと思う私である。

金曜日になり朝は冷えたが前日までとは異なり気温が上昇。
秋の日和の中SBK一回目の予選となった。今回ここはスズキで
北川圭一と共に世界耐久選手権のタイトルを獲ったヴァンサン・
フィリップがワイルドカードでエントリー。さらに、二十四時間
レースでここを何度も走っているダヴィデ・チェカも走り、
ギャリー・マッコイの代役にアンディ・ノットマンという
顔ぶれがそろった。重いバイクが上手い連中が光るのかも
気になるところだ。

セッションスタートから好調だったのがランツィ。今回も
マシンのスペックはゼロックスドゥカティの二人と一緒である。
一時間のセッションの前半部分は彼がトップの座を占める展開。

しかし、マシンセッティングが出始めて、路面温度も上がって
きたところで各チーム成功への方程式を見出して地殻変動が
起きはじめた。

マーティンのペトロナスが前回からの好調ぶりをそのまま維持
しているようでトップ5のタイムをたたき出す。さらに
カワサキのウォーカーもタイムアップ。またピットも乗れている
ようで上位陣に名前を連ねる。そんな状況を眺めていたコロナ
アルスタースズキ(こう書きましたがフランスはタバコだけ
でなく、アルコール広告も規制があるのでcoronaのロゴは
なくGSX-Rとかかれている。)の二人がアタック開始。
少々違和感のあるカラーリングのマシンを駆って、ジャンプ
アップを果たす。

とりわけ今日の加賀山のタイムアップは素晴らしく、順調に
いいタイムを更新していく。

さらにムジェリッジのホンダ、ダヴィデ・チェカのヤマハ
も41秒台に入れてきて、トップ10に入る。まさに大混戦
である。

41秒台にひしめきあう展開から誰が抜け出すのかと思って
いたところで加賀山が40.5に入れて初日トップとなった。
そこからコンマ三秒差でムジェリッジ。この二人が40秒台
で三位以降は41秒台である。

ピットのヤマハが41.169で三番手。ランツィのドゥカが41.184
で四番手。四メーカーのマシンが一台づつ一列目に並んだ
形となった。

以下コーサーのスズキ、マーティンが好調を維持してペトロナス
を六番手に、さらにダヴィデ・チェカが七番手、ヴァーミュー
レンのホンダ、ウォーカーのカワサキ、ブセイのカワサキと
ここまでがトップ10でPPの加賀山のタイムから一秒以内。
トップ2は40秒台だが、41秒台を出したライダーが
三位のピットから十六位のカワサキの二エトまでひしめく
大混戦であった。

日本勢は昨年ここで勝っている芳賀が12位、阿部は15位に終わった。

42秒フラットの前ワールドチャンピオンのトーズランド、
42.1のキリ、42.2のラコニが17位から19位という
とんでもない予選初日であった。
マシンもエンジンもサスペンションも全てが美しいハーモニーを
かなで、チームマネージャーが見事にタクトを振り、主役の
ライダーが肉体的にも精神的にも十分な状態であれば、素晴らしいオペラが生まれる。レーシングチームはある種オーケストラ
とオペラ歌手との関係に似たものがあり、各々が素晴らしい
スペシャルなものを持ち寄れば優勝を争える。

ウィンストンテンカーテホンダにやられ続けていたほかのチーム
だったがファビアン・フォレが連勝を止めて、ドイツでは
ヤマハジャーマニーが1−2フィニッシュ。そしてイモラでは
雨になったレースで天候を味方にしてイモラで何とドゥカティ
のナンネッリが初優勝というファンタスティックで感動的
なドラマを見せてくれた。ここマニクールでは何が生まれるのか。

ドイツとフランス。この二大会でヤマハジャーマニーは
STK1000とSSで戦闘力を発揮。サスペンションが決まり、
ライダーが余裕を持って乗ることができているようだ。
実際、ここフランスでのタイムはメガバイクホンダの二人と
拮抗するものであり、一列目を分け合う形となった。

午後一時を周り、いよいよ泣いても笑っても最終戦のレース
となった。ダミーグリッドに着き、スタートを待つ。

サイティングラップを終えてレッドフラッグからオールクリア
となり、レーススタート。飛び出したのはファブリッツィオ。
それに続くのはヤマハジャーマニーの二人、一列目スタートの
フォレは、、、いつものようにスタートはよくなく、リカバーを
開始、シャンボンはいつものようにスタートよく発進となった。

序盤数ラップで多くの関係者が考えていることが実際の形と
なった。フォレがトップグループに追いつきヤマハジャーマニー
とメガバイクの2チーム四台のバトル集団が形成された。

この日のヤマハジャーマニーのオージーコンビはマシンが決まった安心感からかどうどうとした走りを披露。それに対して
追いかける立場のメガバイクのフォレとファブリッツィオだが
フォレは苦しそうにマシンを押さえこむような走り、しかし
ながらラップタイムは悪くないだけに僚友のファブリッツィオ
は抜いて追いかけたいが抜くまでには至らずランデブー走行
となる。

終盤に入り、フォレが挙動を見出し、少々膨らんでしまった
ところを突いて三位にファブリッツィオが浮上。しかし、
トップ二台を追いかけるには少々速さが足らずにトップ3
は等間隔のまま終盤戦に。

ソフトタイヤを選んで前半逃げる作戦だったヤマハジャーマニー
の二人は後半しんどくなるはずだが燃料の消費とライディング、
マシンセットアップと周回遅れのライダーの出るタイミングなど
が縦糸と横糸となり絡み合って、ファブリッツィオに追撃
させないリードをキープする。

追いかけるファブリッツィオだが、周回遅れの出るタイミング
が悪すぎて、前を阻まれトップ2をキャッチできない。

結局、パークスが逃げ残りという形で優勝。二番手にパークス
が入り、ヤマハジャーマニーの1−2フィニッシュ。三位に
ファブリッツィオ、四位に何とか暴れるマシンをなだめながら
フォレが入ったというレースであった。

パークスは初優勝。これで勝ち味を覚えれば、発売前から
史上最高傑作と呼ばれるR6で面白いシーズンを迎えるかも
しれない。

二位のカーテンも同じチームで残留であり、ドイツの
優勝、雨のイモラでしぶとく二位、そしてここでも二位と
いい形でのシーズンフィニッシュとなった。

ヤマハR6とホワイトパワーのベストマッチングがソフトタイヤを
最後まで持たせて勝利に導いた一戦であった。
火曜日から木曜日の朝のマニクールは秋を通り越して冬では
ないかと思えるほどであったが、レーススケジュールに
入った金曜からは午後はそこそこの暖かさになっている。
口の悪い連中はここで雨用のタイヤの在庫処分をピレリは
狙っているだの、雨が降って欲しい人のためのスケジュールだの
話しているが、そう考えるのも無理はないほどの天気であった。

午後は暖かくなるが、午前中はまだまだ冷えている。そして
使えるタイヤの数量は限られている。セッティングに頭を
悩ます人の多い週末である。

午後になり気温も路面温度も上がり予選スタート。
やはり調子がいいのはホンダメガバイクとヤマハジャーマニー。
シャーペンティエを欠き、藤原が本調子ではない状況では
このニチームが上がってくるのは必然である。

気温が上がると同時にマシンセッティングも仕上がり、
各ライダータイムアップを果たしていく。前日のトップタイムが
44.113であったが、残り10分を切ったあたりから多くのライダ
ーが44秒台に入れてきた。

少し迷いの見えたメガバイクチームだが、残り時間僅かの
ところでソフトコンパウンドタイヤを使いタイムアップ。
ファブリッツィオは43.835までタイムを上昇させた。

これに続いたのが43.983のカーテンであり、フォレ、
パークスが三番手四番手とメガバイク対ヤマハジャーマニー
の対決の図式が前日に続きここでも明らかになった。恐らく
このニチーム四人からウィナーが生まれることだろう。

この四人以外をウィナーに上げてヨーロッパではやっている
スポーツベッティングで儲けたい人は誰の名前を書くのだろうか。そんな穴狙いの人が目をつけるであろう能力はあるが、
体調に疑問が残り、本命に上げられない藤原は五番手。
先週のウィナーであり、精神的には乗っているナンネッリは六番手。シャーペンティエの代打でいいマテリアルを得ている
フォスは七番手、シュティゲフェルト、フォレス、シャンボン
というトップ10であった。
先週のPP獲得のブレイル贈呈のセレモニーの際に翌週の
フランスには戻ってくるとメッセージを送っていたシャーペ
ンティエであるが怪我の回復が進まずにここは欠場。さらに
藤原の体調も100%の状態とは言えないわけで、他のチームや
ライダーにはチャンスがめぐってきた今回のフランスであす。

ドイツ以来覚醒した感のあるヤマハジャーマニーの二人。
今回も好調である。テンポよくいいタイムをたたき出していく。
その彼らに対抗するのがメガバイクホンダの二人、フォレと
ファブリッツィオである。フォレにとってここは地元。そして
SBKにステップアップするファブリッツィオにとっても、シーズン
エンドまでに一つは勝っておきたいところだろう。

そのファブリッツィオであるがタイムを次々と更新していき、
才能ぶりを見せ付ける。

44.113を出してさらにアタックに入ったところで最終コーナー
で他のライダーと接触してライダーにさしたるダメージは
なかったもののマシンを傷めての帰還となった。

マシンを替えてアタックするものの、さらなるタイム更新は
ならず初日を終えた。

ヤマハジャーマニーの二人とフォレがアタックするが、
カーテンは44.177、パークスは44.770。フォレは44.311
でセッション終了。初日の天下はファブリッツィオのもの
となった。

戦前の予想通りメガバイクホンダとヤマハジャーマニーの
ぶつかり合いとなった初日で、このニチーム四人だけが
44秒台。五番手にスズキの元気者フォレス。イモラのウィナー
のナンネッリ、復調にはほど遠い藤原が七番手、シャンボン
が八番手であるが、45秒以降のタイムである。

午前中と午後の気温および路面温度の変化が大きく、朝と
昼では違うサーキットを走っている様だという声が鳴り
響くマニクールの初日であった。
私が98年住んでいたリミニから北に12キロ行くと
ミザノアドレアティコサーキット。逆に南に6キロほど
でかつてライダーで現在AGVヘルメットのレーシングサービス
担当のマウリッツィオ・ヴィターリの家で、そこからさらに
電車で50分ほどでセブンタイムスワールドチャンピオンの
生まれ育った町、pesaroペーザロになります。

MotoGPのマレーシアGPの時、私はイタリア選手権の最終戦
のためにミザノのチームアブルッツォジュニアチームのパドック
で今年、この125ccのチームの面倒を見ているマウロ・
ノッチョリと奥さんのサンドラ、そして息子のトンマーゾや
メカニック達とマレーシアでのレースを彼らの解説つきで
見ていたのですが、やはり彼らにとってもこのタイトルと
いうのは喜ばしいものでしたね。

今季、このチームアブルッツォジュニアチームでイタリア選手権
とスペイン選手権をやっていたノッチョリですが、日本人は
あまり知らないでしょうが、実はヴァレンティーノ・ロッシ
が125ccで世界に出てきたときと世界チャンプになった
時のチーフエンジニアです。(その後、彼と彼のクルーは
カピロッシと98年一緒にやった後、99年のチームカッパ
でジャンサンティ、ポッジャーリと一緒だったり、ロカテッリ
やバッタイーニの250などをやって現在に至る。)

その切れる彼がなぜマレーシアで能力を発揮せずに、ミザノ
にいるのかはチームアブルッツォの活動縮小や彼の性格、
様々な動きが絡み合ってのことですが、彼がロッシを見る
目というのはかつての同志や戦友を見る目のようでしたね。

片方の目がそうであるとしたら、もう一方の目は優れたエンジニアであり、後半の彼の走りを見て、『タイヤが終わっている』
と口にしていました。

まぁ、ロッシと共に時を過ごした人には特別な思いがあるよう
でかなり場が明るくなりましたね。

リミニの北ではこうでしたが、南のペーザロには朝早くから
46のボードを持ち、彼のTシャツを着た人が押し寄せていま
した。

その数何と4000人。

私はあの町に行ったことがありますが、あの場所で4000人
集まるということは何というかオアシス21に2万人集まる
ような感じだと思いますね。名古屋人の私としては。

地元が生んだ英雄が世界タイトルを決めるかもしれないと
いう時に大きなスクリーンを組んで、そして朝早くから起きて、
応援する。

そしてタイトルが決定したら皆で喜ぶ。

イタリアというのはいい国だなぁと思いますね。

世界タイトルが決まり、朝なのでハムやチーズはなく、
クロワッサンとビールが振舞われたそうです。

地上波生放送。パブリックビューイング、地元の理解と
熱狂。日本にバイクメーカーはあり、日本人ライダーも
世界で戦っているのですが、イタリアにあって日本に
ないものがたくさんある気がします。

それにしてもレース後のインタビューでレースを振り返って
喜びのコメントだけでなくて、タイヤに関して『レース終盤
問題で、色々やることがある』とミシュランタイヤのスタッフ
に釘を出すようなコメントを残していたところに彼の
王者である理由が見えた気がしました。
少なくともポイント差を縮めたヴァーミューレン。
まだポイント差を有しているコーサー。追うものと追われるもの
がどんな戦いをするのか、そして雨の中どういった戦いが
繰り広げられるのか色々な思いを抱きながらレース開始を
待つイモラと世界中のレースファン。

雨が強くなる中各ライダーレインタイヤを装着して、
サイティングラップへ。ダミーグリッドに着き、
最終的な確認作業を終えて一周してグリッドに着くが、
何人かのライダーが手を挙げてスタートディレイとなった。

雨の強さは変わらず、危険であると主張するライダーに
耳を傾ける審議団。WSSのレースで転倒者を発生させた責任と
いうのは彼らにあるわけで三十分の猶予期間を設けて、
天候の良化を待つこととなった。

しかしながら、雨の強さは変わらず、マーシャルカーで
特にライダーが問題視していたアクアミネラーレは文字通り
水浸しであり、これが変わることがなかった。

時を置いてもレースができる状況とは成りえず、結局
レース2のキャンセルが発表となった。

この時点で最終戦のフランスを待たずしてトロイ・コーサーが
2005年のスーパーバイク世界選手権世界チャンピオンが
決定した。

コース上でタイトルが決定しなかったのはかえすがえすも
残念であったが、今季の彼のとりわけ前半戦での速さと強さ
は王者にふさわしいものであり、祝意を表したい。

また、コロナアルスタースズキは素晴らしい仕事振りと
戦闘力のマシンを持ち込み、整備することに成功しました。
ライダータイトルと同時にコンストラクタータイトルを
スズキが獲得しましたが。アルスターのスタッフ、スズキの皆様
に心からおめでとうと言いたい。(フランシス・バッタ、
パトリッツィア・バッタとジャーコモ・グイドッティには
言いましたが。)

かくしてイモラでのレースはエンディングということになり
ました。
STK600

ティベリオ 10

カネパのリタイアはあったものの、終始高いレベルのラップ
タイムを連発し、勝たなければ後がない土壇場での戦いを制して
タイトルへの望みをつないだのは立派。来季WSS参戦の決まっている彼は関係者が多数訪れていたここイモラで彼のライダーとし
ての価値と能力の高さ、強い精神力を見せた。

ベルジェ 9

好タイムを連発し、ジュリアーノとの戦いに臆することなく
渡り合い冷静に、なおかつ熱く戦い二位を死守。よく攻め
よく守った彼であった。

ジュリアーノ 8.5

若くて元気のいい走りを披露。とにかく同じくらいの速さの
やつが前を走っていたら抜くチャンスがあれば抜いてやるという
気持ちが素晴らしい。彼の敢闘精神はひやひやしながらも
見ていてすがすがしいものがあった。

コルティ 6.5

よくないときにはよくない時なりの最良の成績を収めようと
してそれをやって見せたレース。我慢して六位を獲ったのは
立派。

カネパ 5

勝てるチャンスを大いに感じさせた今回の彼であったが
自分のミスで落としてしまった。予選での進め方、
一発のアタックなど素晴らしいものを見せてくれただけに
悔やまれるミスであった。

STK1000

キアレッロ 9

予選はたいしたことがないように思われたが、雨が降り、
チャンスが訪れたときにきちんとものにしたのは立派。
あの最終のシケインのハードブレイキングは見事。

ポリータ 8.5

勝ちたい気持ちと雨での上手さが見事なハーモニーを奏でた
レース。よく攻めたが、二位に終わってしまった。
よく頑張って得た二位だが、勝てなかったわけでもっと悔し
がった方が私は将来いいことを生むと思う。

ソフオグル 5

これがタイトルへのプレッシャーなのでしょうか。
五位や六位でいいやと思わずに優勝するんだと思うほうが
よかったと思うのは外野で見ている私だけでしょうか。
STK600

クラウディオ・コルティとヨアン・ティベリオ。二人の
若き才能あふれるファイターが火花を散らすこのクラス。
激しく燃える二人のバトルはショッキングなエンディング
となってドイツラウンドを終えた。圧倒的なリードを有する
コルティに対して、ティベリオは二位が敗戦を意味する
重く厳しい戦いを覚悟してイモラを迎えた。

予選を終えて、今回優勝の可能性の高いのはPPのカネパ、
二番手のティべりオ。コルティは今ひとつで二列目のスタート。
むしろ、ベルジェに優勝候補二人に食らいつける可能性が
あるのではないかという予選であった。

土曜日の午後、スタートの時を迎えた。

レッドシグナルからオールクリアとなり、スタート。
一列目のライダーに混乱はなく、コーナーをクリアしていった
が、初のPPで気負ったのかカワサキの600を駆るカネパが
クラッシュしてしまう。

予選の進め方、タイムアップなどかなり優勝に近いと思わせた
だけに残念な結果となってしまった。

これで労せずトップに立ったティベリオはスパート。
二周目には何と58秒フラットを出して、後続に二秒以上
のタイム差を作ってしまう。

二位争いはベルジェとジュリアーノ。四番手争いをシメオンと
アントネッリで激しく争う。コルティは序盤九番手で走行。
今週末、予選タイムも悪く、タイムの出方もよくない彼は
トップとはほど遠いタイムで走行を重ねる。

10周で行われるこのカテゴリーのレース。周回が少なくなり
トップのティベリオと二位集団との差が縮まってくるが、そこ
でもこのフランス人はしぶとく58秒台で踏みとどまり、
トップの座を保つ。

二位のベルジェ、三位のジュリアーノの順位はそのままだが
サイドバイサイドの激しいバトルを展開。コーナーの進入と
脱出で順位を入れ替えるスリリングでエキサイティングな
攻防の連続となる。四位争いはアントネッリが上がるが、
これも相手を引き離せずに攻防は続いた。

六位には中団グループのペースダウンに助けられて
ポイントリーダーのコルティが上がってきた。

後半、少しずつ二位集団に迫られたものの一度たりとも
トップを譲らずティベリオが優勝。今季三勝目となった。
二位は守りきったベルジェ。三位にはジュリアーノが
ワイルドカード参戦で金星とも呼べる表彰台ゲットとなった。
以下四位アントネッリ、五位シメオン、六位にコルティと
いう順位であった。

二位は敗戦を意味し、絶対勝たなければいけないレース。
絶対に落とせない戦いを制したティベリオ陣営のメガバイクから
歓声が起こり、大きな祝福で迎えられた。

一方タイトル争いの一方の雄。コルティはここでタイトルを
決められなかったものの王座にまた一歩大きく近づいた六位で
ハッピーな週末となった。

タイトル争いは最終戦のフランスに持ち込まれた。

STK1000

トルコ人がユーロスーパーストック1000に参戦を開始
した時に、業界人にはトルコ人が国際格式のレースに出走
していた記憶はなく、多くの人から珍しさをもって迎えられた。

そのトルコ人ライダーのソフオグルが経験を積み、勝ち味
を覚えて、今年はイモラにタイトルに王手を掛けてやってきた。
改組されFIMカップSTK1000選手権という名称になったこの
カテゴリーの初代王者になれるのだろうか。

雨が降り出して、霧雨の中でスタートを迎えた。そして、
少しづつ雨脚が強くなってきた。文字通り足元をすくわれる
ライダー、雨を苦手とするライダーが後退する中でアレッシオ・
ポリータが元気な走りを見せる。

一週間前にミザノでのイタリア選手権最終戦でSTK1000の
タイトルを奪いイモラに乗り込んできた彼はスズキのマシンを
見事に操る。しかし、その彼にひたひたと近づいてきたのが
アルスタースズキのリッターバイクを駆るキアレッロである。
中盤以降ペースをつかんだ彼は好タイムを連発し、ポリータ
に迫る。

ソフオグルには中団グループを走行。彼の頭には五位や六位で
いいという考えがあるのだろうか。あるいはタイトルを考える
と無理して走って転んでは意味がないということを描いている
のだろうか。トップとは離れたところでの走行を重ねる。

雨が強くなってきたレース終盤、重いリッターバイクの
コントロールに苦しむもの、雨が得意で走っているものの
両極に別れた感のあるライダー達。そんなラップタイムを
モニターで見ていたら衝撃的な映像が入ってきた。

ヤマハジャーマニーカラーのR1のクラッシュ。その主人公は
何とポイントリーダーのソフオグルであった。
これを見て、タイトルを争う僚友のケイミューレンはあせらず
自分のペースで走行をして最終的には五位を得ることとなった。

優勝争いはポリータとキアレッロ。ペースを上げてきた
キアレッロに対して、何とかディフェンスしようとする
ポリータ。勝敗はファイナルラップに持ち越された。

幾度とアタックしようとしたキアレッロであったが、追い抜く
までにはいたらずにコースの後半へ。

最後の抜きどころである、最終のシケインへ。
ここでインを閉めたポリータであったが、ここは技術や
戦術など関係なく、根性を決めてハードブレイキング。
見事にこじ開けて、何とかコーナーをクリアしてキアレッロが
優勝を奪いとった。

二位はポリータ。三位はコックスヘルであった。

このクラスのタイトルもマニクールで決定ということになった。
午前中にフッタ雨の中で行われたSTK1000のレース。
その後に始まるSBKのレースは開始前に15分のウェット
レース用のためのフリー走行時間が設けられた。

このセッションが始まってしばらくしてから空が青くなり、
レーシングラインがどんどん乾いていく。しかしながら
この要件の中で出させたのはウェットレース宣言。これで
途中で雨が降ってきても降雨が理由で中断されることはない。

正午スタートのレースが約20分ほど遅れたスケジュールで
始まった。ウォームアップラップが始まり、ダミーグリッド上
で頭を悩ますライダーやエンジニアが数多くいる中で、
ピットでぎりぎりまでタイヤ選定に頭を使い、最終的に
スリックを選んでサイティングラップに入ってグリッドに
着いたのがブセイとピーニであった。

各車、各ライダー、天気に確証を得ないままレーススタート。

スタートダッシュを決めたのはヴァーミューレンとコーサー
というタイトルを争う二人。やや離れてトーズランド、芳賀、
ピット、加賀山、ランツィと続くがトップ二人とは周を重ねる
ごとにタイム差がついていき、三位集団を形成。

中盤に入るまでに低温度の路面に足元をすくわれたのか、
加賀山、ピット、キリ、阿部、ランツィがクラッシュして
しまう。加賀山とピットは再スタートするが、後方集団での
走行となった。阿部、ランツィはリタイアとなり、レース2
に備えることになった。

その後三位集団はトーズランドのコースアウトがあり、
芳賀が三位を確実なものとして後半を迎える。

三位以降のライダーに背中を見せることなく素晴らしい走りを
披露するコーサーとヴァーミューレン。共に隙があれば
攻撃をするという走りを見せる。

ヴァーミューレンは高い集中力でリードを奪うと引き離そうと
するがコーサーは決してあきらめることなく、バトルはファイナルラップへ。

高い次元での攻防となり、息を飲む戦闘となった二人の
オージーの戦い。コーサーは最終ラップの最終のシケインで
アタックするかに思えたが、それをヴァーミューレンは許さず
ヴァーミューレンが優勝。コーサーは二位ということになった。

優勝したヴァーミューレンの静止したマシンをカメラが写すが
何とこれがフロントがインターミディエイトタイヤ。
二位のコーサーはスリックであった。
コーサーはともかく、ヴァーミューレンがこれで50秒台の
タイムで走り続け、コーサーに勝ってみせたというのは
信じられないが真実であり、彼のライダーとしてのスキルの
高さと勝ちたいという精神力の強さ、野望の大きさを示す
ものすごい実証例であった。

三位には芳賀、以下トーズランド、後半追い込んだマーティン
が五位。六位にウォーカーとトップ6が異なるメーカーのマシン
で占められたイモラのSBKレース1であった。
午前十一時から始まるSBKの予選二回目である。
路面温度が低いところから次第に高くなっていく時制の
中で、セッティングが詰めたライダーがタイムをアップ
させていく。逆に言えば最初の三十分は探りありで、
いいセッティングを見つけて、路面状況がよくなった時点で
フィットしたタイヤを使用してタイムアップを図るわけで、
セッション中盤から後半に入ってきてから戦いをヒートし始めた。

前日のトップタイムが49秒の前半。ここに迫ろうとするのが
このクラスに出走しているライダーたちで、前日50秒台を
出していたライダーはセッション後半に入り、49秒台に
入れてきた。また、芳賀、阿部といった金曜日に51秒台
しか出していないライダーもタイムを更新し、49秒台に
入り、熱を帯びて、盛り上がってきた。

同じ週にMotoGPのカタールがあるにも関わらず、ホンダ
ヨーロッパのフィオラーニ氏、カワサキヨーロッパのスタッフ
も駆けつけていて来季に関しての動きも活発であり、さらに
観客動員もいいイタリアということで闘争心を掻き立てる
要素が多くなっている中、戦いがヒートしていく。

前日サプライズを起こしたマーティンが今日も好調でさらに
タイムアップに成功。さらに帰ってきたラコニもアタック
に成功し、前日より一秒半タイムアップを果たす。

そんな中、加賀山が大きなタイムアップを果たす。そして
コーサーも48秒台に入れて、モニターのトップに名前を刻む。
ヴァーミューレンも追い込むがスズキドュオには及ばず
セッション終了となった。

コーサー、加賀山のアルスタースズキの1−2.三番手に
ヴァーミューレン、四番手にノイキルフナーが入り、
ラコニ、マーティン、ランツィ、芳賀、トーズランド、
ピットというトップ10であった。

スーパーポール

ヴァーミューレンのファンタスティックなあの一周を見る
だけでもイモラに来たかいがあったと思う人も多かったの
ではないだろうか。そう思わせる素晴らしいポールポジション
奪取劇であった。

ラコニの素晴らしい一発の速さに目を奪われて、驚きをもって
迎えられた48秒506というタイム。これでブレイルの時計
は彼のものになると思った人は多かったはずである。

しかしながら、ヴァーミューレンの信じられないラップは
豪快なホンダサウンドと共にラコニのタイムを上回り、
出たタイムは何と48秒075というものであった。

SSで二人のライダーを失い喪失感を抱いていたオランダの
チームに大きな勇気と元気を与える強烈な一発であり、
素晴らしいカンフル剤であった。

このタイムを見て、当然、予選二回目トップ2となった
アルスタースズキの二人もタイムを削りに行くが、加賀山は
49,2というタイムに終わり、コーサーは力みや気負いが
あったのか、48秒6というものであった。

ということでポールマンはヴァーミューレン、二位に
ラコニ、三位にコーサー、四位にトーズランドということに
なった。

以下、ランツィ、芳賀、加賀山、ボストロム、ピット、
ムジェリッジというトップ10であった。
前回のドイツでヴァーミューレンが勝てるときは勝ち、
勝てない時はできるだけ高ポイントをゲットしてポイントを
積み重ねるという作業を行ったのに対して、コーサーはまさかの
転倒で第二レースを僅かなポイントで終えて、トップと二位の
差を詰めて迎えたイタリアのイモラである。

タイトルの可能性はコーサーの方がまだまだ高いものがあるが、
ヴァーミューレンもゼロに近いところからリアルに考えられる
ようになったわけで、この二人がどういう戦いをするか、ある
いは彼ら以外にウィナーが現れるのかがポイントとなったイモラ
である。

不安定な気候の中午前中を終えて、午後の予選一回目を
迎えた。速さを見せたのはコーサーである。オランダ、ドイツ
と今ひとつの印象を抱いていた関係者の考えを一変させる
のに十分なタイムを連発。いきなり速いタイムをマークして、
そこから上積みを重ねる。

これに対抗するのはやはりヴァーミューレンで、彼の
ラップタイムの変遷もよく、路面や天候など関係なく、
速いライダーはどんな状況でも速いこと、タイトルを争う
人はゆるぎない精神を有していることを理解させる。

今回、もとのチームに戻ったランツィであるが、マシンは
ワークス仕様のものを供給された。ドゥカティの彼に対する
期待度の大きさを感じさせるものであり、彼もプレッシャー
があるがマシンの良さを活かして、セッション後半に好タイム
をマークした。

今回のビッグサプライズはマーティンのペトロナスである。
マッコイにやる気のなさというか、さじを投げた感が横溢して
いる一方、このもう一人のオージーはマシンのいいところを
十分に使って、ライバルを驚かせるタイムを連発。ペトロナス
が今回いいのか、マーティンがスペシャルなのか、判断が
難しいが、個人的にはこのオージーが素晴らしい走りをして
いると解釈している。

セッション終盤に入り、各ライダー、マシンが1分50秒台
に入れてくる。キリ、ノイキルフナーのホンダクラッフィが
好タイムを刻み、戻ってきたドゥカティのラコニ、
ヤマハのピットも50秒台に入れる。

そんな中、素晴らしいアタックで49秒台に入れたのが
スズキのコーサーであり、ヴァーミューレンであった。

初日トップのコーサーのタイムは49秒161。
二番手のヴァーミューレンは49秒280。

三番手のランツィが50秒007である。

タイトルを争うコーサーとヴァーミューレンの対決ムードが
高まるイモラの初日であった。

四番手以下は何とマーティンが大健闘の50秒028.
そこからコンマ001秒差でキリ。以下、加賀山、ピット、
トーズランド、ムジェリッジ、ラコニというトップ10で
あった。

ラコニとトーズランドにはランツィのタイムはどう映ったの
だろうか。来季の話がかなり動きを見せている中、そんな
ことを考えてしまった私であった。
ナンネッリ10

苦労人のトスカーナ人の夢に見た初優勝。ドライでのホンダ
ヤマハユーザーに迫る俊足ぶり、ウェットでの手のつけられない
速さと強さ、そして上手さ。誰からも愛される好漢ナンネッリ
に満点を。

カーテン 9

予選での好調ぶり、決勝での快足といい間違いなく今週末の
ヒーローの一人。しかし、ウェットでも速い彼だが優勝を
争うには相手が悪すぎた。実力が高いレベルであっても、
マイク・タイソン全盛期にヘビー級のチャンピオンになること
の難しさをナンネッリの背中を見て感じたのではないだろうか。

コラーディ 8

ウェットでの速さに定評のある彼だが、よく攻め、よく我慢して
よく粘っての三位は立派。

ファブリッツィオ 8

勝てるレースを逃したのは彼が悪いのではなくて、レース
中断の裁定を出すタイミングの悪さである。彼のこの週末
仕事ぶりは素晴しく、日曜日にここまで挽回してくるところに
彼の才能を感じる。勝っていたら10だが、ウェットの
レースの結果を考えると8点。

レースディレクション 3

世界のトップクラスのライダーが危険を察知したのにレース
続行。サンナ、フォレス、フォレがクラッシュしてから赤旗
というのはあまりにも遅すぎるし、危険すぎた。

< 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 >