世界で一番愛する街、プラハにやって来ました。
街の美しさ、ビールのおいしさ、そして女性のきれいさ、
まぁ、好きになる要因はたくさんあります。

そんなプラハでは少し肌寒さを感じますが、熱くなってくるのは
アイスホッケーですね。サッカーもポピュラーな国ですが、
アイスホッケーに対する熱の高さと草の根の人口の多さを
感じます。子供達がジュニア用の道具を持って練習場に
行く様子や他の街のチームと戦うためにバスで遠征したり
している様子というのは底辺の広さを本当に感じますし、
絶対的なプレイヤー人口の多さから選ばれた人たちが
レベルの高いクラブチームやナショナルチームに入り、
そこから大きいお金が生まれる北米リーグにつながっていくんだな
とイージーに想像がつきますね。

サッカーもポピュラーですが、アメリカという国で成功している
プレイヤーが得ている金額などを考えると、一攫千金を夢見て
とっつきやすいスポーツをやろうとしたり、楽しく激しい
スポーツをやってみたいと思ったときに小さな街でもアイス
アリーナと地元のチームがあって、ジュニアの指導者がいる
という環境があるというのはいいものだと思いますね。
アンジェラ・アキのCDには美しさと強さがにじみ出ている。

順風に進み、やりたいことをやれる人もいる。
波風を浴びながら、強い意志で困難を跳ね返しながら
目的地に着こうとする人もいる。

簡単に済むにせよ、そうでないにせよ、自らの思いを
形にしていくには強い意志や思いが必要だと思います。

アンジェラ・アキというミュージシャンが心に積もった思いから
想像力や集中力を高めて、色々なものを積み重ねたり、
削ったりしながらクリエイトした歌詞とそれをピアノの
音を核としたメロディをミクスチャーしたときに傑作が
生まれました。

ハーフであること、田舎で育ったことなどがポジティブなことを
生産したこともあれば、極めて日本という社会でネガティブな
出来事につながったこともあったことでしょう。

そんなマジョリティではない彼女が感じたり体感した
歴史から紡ぎだされた歌詞とそれを引き立たせるサウンドは
私の胸を打ちます。

歌うこと、クリエイトすることで何かを生み出し、解放して
いる彼女から強さと美しさを感じます。

彼女の『HOME』という作品にめぐり合えた幸せと彼女が
世に出てきた幸運に感謝する私です。
私にとってホームサーキットは鈴鹿。名古屋人にとって
近くて、そして世界選手権の掛かったレースの舞台として
繁栄と発展を続けてきたこのコースにいろいろな思いが
あります。

そんな私にとって第二のホームサーキットはどこかとなると
ミザノアドレアティコということになりますね。かつてリミニ
でイタリア語を勉強し、世界選手権やイタリア選手権に参戦
するライダーやチームのテストを見たり、世界選手権や
イタリア選手権のレースそのものを見たりしていました。

今年も四月にスーパーバイクやスーパースポート世界選手権に
出走する連中のかなりの部分がミザノでテストを行い、
その現場に行っていたのですが、ミザノというのはいいなぁ
と思いますね。

そのマイフェイバリットレースサーキットのミザノアドレアティコ
でイタリア選手権のレースがあります。
SBKはここまで全てのレースでウィナーが異なるという大混戦。
SSはヤマハイタリアがロッコリ、ヴィッツィエッロ
カワサキライトスピードが歴戦の雄でおととしの年間チャンプ
のミッリョラーティ
ホンダはナンバーワンプレートをつけて走るサンナといて
さらにこれにジュウゴバス、クルチャーニ、コラーディといった
連中が戦いを挑むという面白いバトルとなっています。

未来のスターや今後のチームの動向など色々なモノが
見られる面白いレースとなりそうです。
今季、スーパーバイク世界選手権をホンダのリッターバイクで
戦っているバロスには来年に関して色々な話が来ているようです。

もちろん、現在のチームクラッフィでブラジルカラーのファイア
ブレードを走らせるというのもありますが、意外な話に触れること
ができました。

来シーズン、イルモアエンジニアリングによる800ccの
エンジンとエスキル・シュッターの手による車体で新規参入
してくるチームの開発ライダー兼実戦ライダーとして、
彼の名前(同時にマックス・ノイキルフナーとジェレミー・
マックウィリアムスも!!)の名前が出ています。

確かに4ストの重いバイクを高いレベルで走らせることができる
ライダーであり、エンジニアは経験のあるライダーを欲しがる。
そして、チームの工場のことだけでなく、世界選手権の
ホストサーキットのほとんどのサーキットを走ったことがある
ライダーというのは限られてきていて、そんな条件とか理由から
バロスの名前が出てきているように思います。

しかしながら、ここで思うのはバロスというのはいいライダー
であるが、注意して考える部分があるというものです。

かつてバロスがヴァレンティーノ・ロッシと入れ替わる形で
ホンダのMotoGPマシンの開発および実戦ライダーとして
戦ったシーズンがありました。

しかし、この時の彼の成績は芳しくないものでした。

彼は重いバイクをうまく操ることができる。経験もある、
ファイティングスピリットも持っている。献身的な仕事振り
も定評がある。

このことは事実ですが、エンジニアがマシンを開発したり
進化させようとして、様々な改良を加えたり、アイデアを
盛り込んだ時に、それまでのモデルとの違いを感じて、
その印象を言葉で明確に良し悪しを表現して、ライダーに
とって乗りやすい、あるいはいいタイムを出しやすい
バイクに仕上げていくという部分の才能に欠けているのでは
ないかという大きな疑問があります。

この部分の才能に関してはヴァレンティーノ・ロッシという
人はかなり秀でていて、自分の持っているスキルを発揮しやすい
マシンの方向性を提示したり、マシンをストレスなくより
速い方向に開発する考えを主張できたり、ライダーにとって
あるいは彼のライディングスタイルにとって扱いやすく
パワフルなエンジンを作り上げていく能力があると思います。

バロスは確かに完成されたマシンを高いレベルで走らせる
ライダーとしてはトップクラスだと思います。しかし、
未完成でこれから開発と改良を加えて世界の列強に対抗していく
バイクを熟成させ、作り上げていくライダーとしては
疑問を感じます。

まぁ、私がイリアンやシュッターの立場だったら、一人は
スポンサー受けするライダーか、若くて元気で世界選手権
初年度で戦闘力が劣るバイクでも絶えずプッシュしてライダーの
力を全力で出そうとして、チームに熱を与えてくれるライダー
を選び、もう一人は経験とマシンの変化と他社との違いを
感じて分析して口に出して指針を示してくれるライダーを
選びますね。

前者がノイキルフナー、イアンヌッツォ、ヴィッツィエッロ、
コルティであり

後者がゴダード、キリといった名前を挙げることができると
思います。まぁ、ゴダードさんは今はサスペンションエンジニア
をやっていてSBKの現場でお会いしますが、アプリリアの
初年度やベネッリの参戦時にイタリアのメーカーが打倒
日本ビッグメーカーを掲げてスーパーバイク世界選手権に
やって来たときに開発能力と経験を考慮して彼を求めたという
のはエンジニアリングサイドとして当然のチョイスだったと
思いましたね。
dopo aver fatto male clavicola gibernau non e’ in forma
e prima di salire sulla descosedici ducati
pensa di essere forma senza complicazione ne’ fisici
ne’ psicologici
allora la prossima gara per il pilota catalano sara’
in malesia

allora al circuit della republica ceca al suo posto
c’e’ il pilota tedesco che si chiama alex hoffman
che aveva gia garregiato con la marbolo ducati a
donington park

alex hoffman che ha esperienza da girare con la gommata
bridgeston
la gara a brno dov’e’ piu’ facile arrivare da germania
al periodo della vacanza in suo paese

allora se non avesse qualche problemma dura
fargli liberare dalla sua squadra e sponsor
credo che tanti vogliano dare la opportunita’
da girare con la moto ufficiale
percio’ lui si trova alla squadra ufficiale della ducati
corse alla questa settimana

il simpatico tedesco che mi vede subito mi dice
"ciao! italiano!" poi cominciamo parlare in italiano
tanti piloti meccanici ingerniri giornalista hanno
gia capito il nostro amicizia anzi qualche appasionata
vede la scena che il tedesco e il giapponese parlano
italiano
gli sembra che sia stranissimo! invece fra di noi
normalissimo!!

il suo talento da girare e’ importante
pero’ anche il suo carattere e il suo linguaggio
della lingua italiana sono grande carte
percio’ puo’ lavorare con la squadra italiana
senza grave problemma

alex hoffman ha gia bella opportunita’ girare con
la ducati ufficiale e tiene la bridgestone
non esisteno queslle carte che solamente partecipano
vengono da vincere da dominare le moto giapponei
e la gomma francese

credo che abbia gia capito cosa vuole cosa bisogna
spero che giri meglio e desidero che possa esprimere
il vero suo valore
ora tu c’hai la schieda da andare al top

in bocca al lupo alex!
足の治りが完璧とは言えないセテ・ジベルナウはブルノで
ドゥカティを走らせません。早く治す、あるいは、少々無理して
でも戦うということを選ばずに肉体的に完璧な状態に戻すことを
選んで欠場ということになりました。

気になる代役ですが、アレックス・ホフマンがダンティン
ドゥカティから走らずにマールボロドゥカティに移り
ジベルナウのマシンを走らせることになりました。

ドイツの隣国で開催されるグランプリであり、すでにあの
マシンを走らせた経験があり、それ故にブリヂストンタイヤの
特性を理解しているライダーというのは契約的な縛りが
厳しくなければ引っ張って走らせて見たいと思う人が
多かったのでしょう。

まぁ、この背の高いドイツ人は私を見ると

『チャオ!イタリアーノ』なんて声を掛けてくれてイタリア語で
話をするような仲です。(知らない人がドイツ人ライダーと
日本人がイタリア語で会話している様子を見るとおかしい
と思えますが、我々は何年もこんなことをしているので、
極めてノーマルなんですけどね)まぁ、彼の性格と外国語の
能力から考えてイタリア人の多いイタリアのチームでやって
いくのも問題ないことでしょう。

ジベルナウの負傷ということで廻ってきたチャンスですが、
ぜひモノにして欲しいと思いますね。
円の安さでもってヨーロッパ市場で日本製の商品をたくさん
売っていい思いをする人や企業がたくさんあるようですが、
止まることのない原油高がかなり色々な人や企業の思惑を
打ち砕きつつあります。

バイクのレースの世界というのは当然、日本のバイクメーカー
や様々な部品メーカーによって成立しているのですが、商品を
作り、信頼性や品質面で高い評価を得たとしても、これが
日本から、あるいは近年では日系企業の中国工場からヨーロッパ
に輸送する時に輸送コストという面で、現今の原油価格の
高騰が二年前に考えていたときと比べてとんでもないことに
なっているわけで売値の変更と上昇ということをリアルに
考えることになってしまっています。

大メーカーでこういったことに相当シビアに対策と方法論を
考えなければいけないわけで、これが中小企業や零細企業
となると存亡の危機になっていてもおかしくないですね。

そんなことを考えていて、一方でコンビニは二十四時間
営業の店で原油価格が安かった時期と今とで売っている商品
に値段の差がなかったりするのは、果たしていいことなのか
と思ってしまいます。
日本代表監督のイビチャ・オシムのセルビア語の通訳と
いうのは三人いるそうです。私はサッカーではなくて
レースの世界で通訳をしたことがありますが、まぁ、限られた
時間で的確に話していることをそのままの印象で確実に
訳すというのは頭と神経を使う難しいことが存在します。

オシム体制になりセルビア語の通訳が三人いるようですが、
そんな中で常にそばにいてメインで仕えている人が変わったそうです。

http://www.nikkansports.com/soccer/japan/p-sc-tp2-20060815-75724.html

私があるライダーの通訳として関わったときに非常に気を
使ったのが、日本人的な婉曲な表現ややわらかい物腰を
取り払うというものでした。

『出て行け』とチームマネージャーが話していることを
『すいません、お引取りください』と日本語にしてしまっては
当事者が意図した意味合いや印象を相手に与えることなく
伝えてしまいます。

『チームメイトと同じタイヤ、同じサスペンション、同じ
エンジンにマシン。それでいて君のほうは明らかに遅い。
一体、何が足りないんだ、何が欠けているんだ、何が
必要なんだ。言ってみろ。』

こんなことを仕事を始めたどしょっぱつにそのままの印象と
勢いで訳し、

『いいか、この週末は君にとっても私にとっても非常に大事だ』
という言葉をそのまま訳した私は信頼を得ることができましたが
冷静さというか醒めた目を持っているからできたわけです。

話している人が怒っているときに訳す立場の人も怒ったような
口調で訳し、冷静に話しているときには物静かに通訳する。
通訳は言葉を訳すだけの機械ではなく、いろいろなものを
吟味した上で表現する料理評論家であり、話し手の顔色を
見てキャラクターを変えて言葉を紡いでいく俳優でもあり、
全体と個々を見渡しながら的確なものをチョイスしていく
指揮者でもある。言葉を訳すだけの機械ではないと理解して
います。
勝っているときは何をやってもうまくいくのか、
あるいはうまくいっているから勝ち続けるのか。
眼下の敵の阪神タイガースに三連勝して、優勝に大きく
近づきました。

私はドラゴンズのファンであり、かつて少年ドラゴンズ会員
でナゴヤ球場のライトスタンドで応援していた時期がありました。

そして、ドーム球場と人工芝が嫌いで、神戸でプレーして
いた頃のイチローというプレイヤーがどんなプレイをするのか
知りたいという気持ちと天然芝で広い球場でかつて近鉄
バッファローズをリーグ優勝に導いた監督が狭い藤井寺や
日生でなく、神戸グリーンスタジアムでどんな野球をやるのか
現場で見たくなって出かけたことがありました。

そこで見たイチロー、田口、本西の外野守備の素晴らしさに
目を奪われましたね。

そりゃあメジャーリーガー二人と平均以上のレベルの外野手
一人が外野手三人で広い神戸の外野エリアをがっちり守って
いたら味方のピッチャーは楽だし、相手の三塁コーチはいや
だし、打者は何本もヒットを損したり、犠牲フライがなく
なったりするするなと思いましたね。

でもって名古屋で見たのは大豊の打撃と外野守備。
広くなった外野でナゴヤ球場ではホームランだったのが
外野フライになり、ディフェンスの面では彼の守備のせいで
二塁打が三塁打になったりする有り様でした。まぁ、
大豊という人はナゴヤ球場におけるスラッガーであり、
ドームにおいては違った野球を求められたのだが、それに
アジャストできない人だったのでしょう。(それが理由で
ドラゴンズから放出され、走れて守備範囲の広い選手を
取ったのはチーム監督の星野としては同然だったと思う)

そんなドーム球場誕生間もない頃の中日ドラゴンズは嫌いで
したが、今のドラゴンズは好きですね。そして、その
好きであるポイントがかなり勝利に直結しています。

今のドラゴンズは強いし、すごいなと思いますね。
そして、それをオーガナイズしている落合監督は色々な意味で
うまいと思います。
MotoGPのシートで可能性があるのは、シュッターイルモア
かダンティン。前者はテストライダーとしての
献身的な仕事が必要とされ、相方にはノイキルフナーという
ドイツ人がドイツチームで存在する可能性が大。後者は
どのマシン、タイヤになるのか不透明で彼がもらいたい額を
チームやスポンサーが払えるのか不明瞭。となるとSBKのトップ
チームになるのでしょうが、果たしてコロナアルスタースズキ
入りはあるのでしょうか。

ベルギーのリエージュという場所から日本の浜松にフランシス・
バッタ氏が来るということは大きな議題や重大な交渉ごとが
あると見るのが自然です。

このベルギーなまりのフランス語とフランス語なまりのイタリア語を話すアルスター代表は来年もSBKクラスに二台のフルファク
トリーマシン、一台のセミワークスマシンを出走させたいと
考えていますが、そのフルファクトリーマシンの一台にトロイ・コーサーが乗るかどうかは微妙ですね。

今季の彼には取りこぼしが多く、勝たなければいけないところ
で勝てなかったことが多かった。
そして、その数が多かった。ドラゴンズファンの私は
昨年の名古屋の野球チームのここ一番で勝てなかったり
敗れた戦いの数の多さに失望したのですが、そのことと同種の
ことをバッタ氏は感じているようです。

となると実績があり、パワフルなリッターバイクを乗りこなす
ことができる技量を持ったライダーであり、ビールという個人
消費に根ざしたスポンサーを有している彼にとって人気も
実力もあるライダーであるビアッジに目がいくのは当然の
ことでしょう。

ただ、マシンやチームの体制がローマ人にとって満足できるもの
であるかどうか、そして、浜松の本社がライダーの人選として
ビアッジというライダーに満足できるのかどうかは難しい
というか微妙であるというか、かなり議論が必要になって
くると思います。

ドゥカティのベイリスがタイトルに近づき、気がつけば
R1を駆って芳賀が本領を発揮するようになり、ホンダの
マシンも速くなってきた。そんな環境で優れたテスター
ではないと言われ、今までSBKマシンを走らせたことがない
ビアッジというライダーを高いお金を積んで走らせること
にどれだけの重要度があるのか。今のアルスタースズキに
必要なのはマシンを技術陣と共に開発していき、献身的に
チームを前進させていくために労をいとわないライダー
だと思います。

プレイヤー時代スーパースターだったジーコではなく、
小さなチームで持っているカードを有効に使い、
種をまきながら土壌を整備し、美しく強い花を咲かした
実績を持つ実務家のオシムを選んだのは東京の日本人です。

浜松の日本人はどう考えているのでしょうか。
スーパーバイク世界選手権のワンメイクタイヤによる
世界選手権という案と実行は論議と波紋を呼びましたが、
私が見る限り、成功したと思います。ドゥカティの
速さを同じタイヤメーカーのタイヤを使っていた当時のペトロ
ナスのコーサーは『あいつらは三秒以上速いタイヤを使って
いる』なんて話していましたし、パオロ・フラミーニ氏は
『一部のメーカーがトップチームのためにスペシャルタイヤ
を使うことで一秒のアドバンテージを得ているが、これは
競争のためにはよくない。』と危機感を抱いて、タイヤワン
メイクの方向に走り出しました。

まぁ、コーサーのドゥカティのタイヤが三秒速いというのは
どうかと思いますが、特定のチームやライダーのために
そのマシンにだけベストマッチしたタイヤを作り上げ、
そのタイヤでスーパーラップを奪ったのは事実だと思います。

大規模なワークスチームではなく、中小のチームもトップの
チームと同様のタイヤを使えることでチームの格差をなくし、
ライダーやチーム本位の市販車ベースのレースにしようとした
フラミーニ氏の行動は反対の意見もありましたが、多くの
賛同を得て、実行に移り、それが成功(少なくとも私はそう
考えている)しました。

その成功を目にして、考えたのがF1の住人ですね。
シューマッハーのドライビングテクニックとフェッラーリの
マシンに特化したタイヤをブリヂストンは作り、
同様にアロンソの走りに好ましい製品とルノーのマシンに
マッチした特性のタイヤをミシュランは用意しました。

フェッラーリ以外のブリヂストンタイヤユーザーが
フェッラーリのマシンの性格にベストマッチである
タイヤを使いこなせないのか、あまりに特殊すぎて
使いようがないのかというのはかなり深い議論になりますが、
タイヤのメーカーを一つにして、均一のタイヤを全ての
チームが使えるようにするとなると、このタイヤメーカーが
特定のチームやドライバーのみにスペシャル過ぎるタイヤを
供給して、ほかのチームは指をくわえて眺めるだけという
状況は劇的に変化を起こします。

ブリヂストンがヨーロッパとアジアでのタイヤの販売を
考えてF1に参戦し、そしてオンリーワンのタイヤサプライヤー
としてこの先も戦っていくことでしょう。高い品質の均一の
レベルのタイヤを全ての参加者に供給していくというのは
難しい挑戦であると思いますが、よく理解し、決断した
首脳部は素晴らしいと思います。

では、ミシュランはどうするのか。

四輪に関しては街中で走っているような車をベースにして
サーキットでお行われるレースをメインにしていくことでしょう。
それがDTMのようなツーリングカーのレースであり、ドイツ
というヨーロッパの大国で観客動員のレベルが高く、
エキサイティングなレースが多いシリーズでの活動と
なるでしょう。

そして、クレルモンフェランではMotoGPのことも考えていますね。
かつてのように125や250での活動を重点チームを
探して、そのマシンやライダーにとって乗りやすく、使い
やすいスペシャルなタイヤを用意してタイトルを獲ろうと
考えているのではないか。かつてダンロップユーザー
ばかりが勝っていた125というクラスでアリー・モレナー
レーシングの青木治親というライダーとホンダのマシンに
ベストマッチしたタイヤを用意して王座を取りに行き、
その作戦を成功させた過去が私には蘇ってきます。

ミシュランは世界最大のオートバイタイヤメーカーです。
彼らはたくさんのタイトルを欲しがっているはずです。
MotoGPクラスだけでなく、他の排気量もそうですし、
話を広げればモトクロスの分野でもタイトルを求めています。
一人のライダーが独走を続け、勝ち続ける。それも国内
選手権ではなく、世界の列強が集まり、レベルの高い
カテゴリーの世界選手権でそれをやってのける。それは
本当にすごいことだし、素晴らしいことだと思います。

しかし、これは本当に私の勝手な見方であり、都合だと
思うのですが、そんなレースは見ていてつまらない。
全盛期のタイソンのヘビー級のボクシング、シューマッハーが
二桁勝利に近づいた時期のF1,ナブラチロワが年に一回か
二回しか負けなかったころの女子テニス。王者が飛びぬけて
いて戦いの前に勝敗の大体の予想がついてしまうというのは
見る側としてはつまらなかったですね。

同じようなことは今年のシーズンが始まってからの
スーパースポート世界選手権にも当てはまりました。

チームは王者チームのテンカーテ、マシンはここのところ
タイトルを奪っているホンダのCBR、そしてライダーは
世界王者のシャーペンティエ。ライダーが速く強く走る
ための道具も環境も全てが揃っている状態でフランス人の
王者はアナザープラネットの走りをカタール、オーストラリア、
スペインと続けてきました。

オランダのチームで日本のマシンに乗るフランス人が圧倒的に
勝ち続けてタイトルを防衛するのだろうなと世界中のレース
ファンが思っていたところにシャーペンティエがブルノでの
テスト中にクラッシュして、体を痛めてしまいミザノアドレアティコ
でのレースを欠場するというニュースが入ってきました。

さらにブルノで復帰したシャーペンティエでしたが、
体調は完調ではなく、優勝争いをできずに終わりました。

ミザノアドレアティコでは地元のマッシモ・ロッコリが
ヤマハのR6を駆って優勝。そして、ブルノではヤマハジャーマニー
のカーテンがやはりヤマハのスーパースポートの最高傑作の
R6を勝利で勝利に導き、イギリスのブランズハッチに
舞台を移しました。

ブルノから二週間後に王者は復活するのか、あるいは
今季優勝しているティべりオ、ロッコリ、カーテンといった
ライダーが二勝目を挙げるのかと注目していたレースファン
は今季五番目のレースウィナーを目撃する生き証人と
なりました。

勝ったのはヤマハジャーマニーのパークス。二位にはチーム
メイトのカーテン、三位はソフオグル。以下、ハームス、
クラッチロウと続き、シャーペンティエは六位でした。

これでポイントテーブルのトップはシャーペンティエと
カーテンが同点となりました。モンツァまでのシーズンからは
考えられない展開ですが、考えられないリアルがドキュメント
として存在しています。

それもこれもシャーペンティエのテストライド中のクラッシュ
から始まったことですが、上げ潮状態のヤマハジャーマニーに
反撃していくシャーペンティエを見ることができるというのは
私から見ると面白い状況になりました。

王者が飛びぬけているのはつまらない。群雄割拠が面白い。
まったくもって不謹慎だし、ホンダの関係者やテンカーテの
チームスタッフに怒られるかもしれませんが、シーズン
前半には思いもよらなかった流れが生まれて、このスーパー
スポート世界選手権は激しさと美しさが生まれてきている
気がします。

次のオランダのアッセンはシャーペンティエが昨年タイトル
を決めた場所ですが、今回は劣勢に立たされて戦います。
そして、このオランダ北部のサーキットは特別な場所であり、
昨年、ファビアン・フォレが人やモノや予算などテンカーテ
ホンダとは違いや差がある中、ライダーの腕と能力でそれらを
埋め合わせてインプレッシブな優勝を遂げた場所です。

テニスファンにとってのウィンブルドン、ゴルフファンに
とってのオーガスタナショナルゴルフクラブが特別で
あるようにライダーやレース関係者にとって色々な意味合いと
重要さを持つアッセンでどんな戦いが待っているのか今から
楽しみです。
ブランズハッチでのスーパーバイク世界選手権。
予選の状況から見てベイリスの一勝はかなりの確度
で成立するのではないかと考えていました。
レース1を本来の(つまりチェコの時ではない)姿で
制して、ダブルウィンを第二の母国で奪おうとしたオージーに
立ちはだかったのが名古屋弁を話さない名古屋人ライダー
の芳賀でした。(かと言ってドラマ『純情きらり』のように
三河弁も話さない)

歴史的な傑作マシンと評されるヤマハのR1が、ライバル達に
差をつけられていたのは、何かが足りなかったり欠けていたり
したのでしょうが、ライダーという人種が持っている能力を
素直に発揮できる環境や土壌が出来れば、すぐにでもタイムを
簡単にアップさせることができる。中団グループでの戦い
から優勝争いになっても、大胆さと緻密さをきちんとブレンド
し、消化してつばぜり合いをすることができる。

シーズン前半の芳賀とここのところの彼の姿、
そしてブルノでのベイリスとブランズハッチでの元
世界王者の様子はそのことを真実として私たちに見せてくれま
した。

才能あるライダーがその才能を発揮できる時に美しく激しく
素晴らしいファイティングオペラがドゥカティサウンドという
テノールとヤマハミュージックというソプラノでつむがれ
序曲からフィナーレまでサーキットという舞台でクリエイト
される。足りないものや道具を埋め合わせたり、用意できた
彼らは選ばれた人であり、アーティストであることを
証明したバトルをしたと思います。
ブランズハッチでのスーパーバイク世界選手権。
予選トップはドゥカティのトロイ・ベイリスでした。
ブルノの忘れなければいけないが、心に留めておかなければ
いけないレースから二週間。ライダーやエンジニア、メカニック
は屈辱を晴らすためにファイティングスピリットを燃やした
のか、あるいは悪いことは忘れて次に備えたのか、
あるいはその両方なのかわかりませんがブルノ以前の
ベイリス&ドゥカティの世界最強タッグが復活したような
速さを土曜日に感じました。

その一方で、スーパースポートはチェコで何かを得たのか、
変わったのか。ヤマハのファクトリーチームのヤマハジャーマニー
の快足振りが目立ちます。怪我から戻ってきたシャーペン
ティエとホンダCBRを際どく打ち破りポールポジション獲得。
チェコで何かをつかみ、何かを奪ったことを証明し、具現化
した予選結果となりました。

オーストラリアで生まれ、イギリスに渡り、そこで結果を出し
認められて世界に乗り込んでいったベイリス。そんな彼の
修行時代に何度も走り、多くの友人や知人も観戦に来ている
ロンドン郊外のサーキットで本来の姿を見せることができるのか。

600ccのバイクの売り上げがメーカーの収入の大きな
部分を占めていて、各社がスーパースポートの活動に熱心に
取り組んでいる中、手ごたえや自信を持ちえた勝利から
二週間。一発だけでなく、連発をライバルに打ち込むことで
タイトルに近づくことができるのか。

二つのクラスのオージーのポールポジションはライダー、
チーム、メーカーの様々な思いや希望が縦糸と横糸となり、
つむがれて決勝につながっていきます。
スーパーバイク世界選手権のヨーロピアンラウンドとして
開催されるブランズハッチでのレースがやってきました。
前戦のチェコのブルノ、耐久の鈴鹿八耐と走ってきた連中に
とってはヨーロッパー日本ーヨーロッパというとんでもない
三週連続レースの日々。まぁ、好きであるということは
エネルギーを生み出すことをよく理解できたり、重いバイクを
スプリントでも耐久でも高いレベルで走らせる能力がある人は
興味を持つチームや関係者も多いことがわかったりするのが
三週連続で走っている人を見るとよくわかります。

南アフリカがキャンセルになり、ここでの成績が大きな意味を
持つと私は考えています。チェコでは悪夢のレースだった
ベイリスは第二の母国でどういった走りを見せるのか。
ブルノで輝いて見せたファブリッツィオはここでも速さと
強さを見せるのか、前回でキャリア初のダブルウィンを
奪った加賀山はどうなのか、コーサーの反撃はあるのだろうか
興味は尽きません。

スーパースポートではシャーペンティエの復活はあるのか、
ヤマハR6を走らせるヤマハジャーマニーのチェコの一撃は
何を意味するのか、ドゥカティのSSマシンを駆ることになった
ナンネッリはどうなのか楽しみな話題がたくさんあります。

サマーブレーク前のイギリスはどんなファンタジィとリアリティ
を見せてくれるのか楽しみです。
同じマシン、同じタイヤ、同じスポンサー。しかし、中身は
かなり違うスズキのスーパーバイクマシン。昨年のチャンピオン
マシンであるGSX-Rですが、コーサーと加賀山が走らせるマシン
とフォレのそれとは相当な違いがあったようです。

私はファビアン・フォレというライダーの才能と人間性が
好きですし、近い場所にいたこともありました。
昨年のアッセンの素晴らしい勝利、カワサキ時代のミザノ
での奇跡的な優勝など、彼のレーシングキャリアは素晴らしい
ものがあり、今季のSBKチャレンジを期待して見ていたのですが、
残念な結果に終わってしまいました。

オージーと日本人の走らせるマシンとの違いに加えて、今
までレース活動をスーパースポートのマシンでしてきた彼が
リッターバイクで走るということ、これはまぁ、スズキが
スーパースポートマシンの開発まで手が回らないということ
が大きな理由だったらしいのですが、昨年シーズン終了後の
ヴァレンシアでスズキのスーパースポートマシンを走らせ
好タイムをマークしてホンダ、カワサキ、ヤマハでの活動の
後にスズキの600を走らせる。日本の四メーカーの全て
のスーパースポートマシンを乗り、再びタイトルを目指す
ということを彼も彼の周りも、私も考えていました。

しかし、事実上スズキのスーパースポートクラス撤退という
ことを受けてスズキのリッターバイクで走らせるということ
でこれがいい方向に転ばれば面白かったのですが、色々な意味で
難しい状況でタイムも成績も芳しくなく、このSBKチャレンジを
一旦辞めるということになってしまいました。

ファビアン。私は君が能力があり、速いライダーであることを
十分理解している。去年のアッセンの時のように喜びを
分かち合える日が来ることを願っている。シャークヘルメットの
ブースで冗談を言い合える日がくることを心から待っているよ。
人生には色々なことがあったり、好まない変化が起きたり
するものだけど、我々がサーキットで楽しい時を過ごす時間が
存在するのは変わらないはずだと思っている。

フォレの代打はノイキルフナーということで、まぁ、重いバイク
での経験があって、安くて、そこそこの走りが出来る男で
ブランズハッチのレースウィークに体の空いているライダーを
選んだという感じがします。
四月のミザノアドレアティコでのテストではエドレーシングの
ヤマハR6に乗らずに、ドゥカティの749に乗り驚くべき
タイムをたたき出し、カタールとオーストラリアの不調は
ライダーではなくチーム体制であることを証明したナンネッリ。
その彼に負傷したキリの代打という形でホンダのSBKマシンの
ライディングを打診したのがホンダヨーロッパ。
このミザノでのテストの後半ではマシンを乗り換え、
ホンダファイアブレードに乗り、契約がまとまりました。

そんな彼でしたが初めてのホンダのマシン、今まで付き合った
ことのないチーム、タイヤ以外のマテリアルが大きく異なる
キャラクターを持つ道具に本領を発揮できずに負傷していた
キリは復帰して今季の彼のSBKチャレンジは終わりました。

体の空いた彼にオファーを出したのが古巣のチームカラッキ。
マシンは勝って知ったるドゥカティ。ホンダとヤマハが席捲
しているスーパースポートクラスでマシン的に苦しみ、
ライダーのチョイスという部分でもチームカラッキは
少なくとも一人はお金を持参できるライダーを選んでいます。

マシンを進化させ、発達する上で開発能力のあるライダーが
必要ですが、新人が走らせている状況であり、新人ライダー
ゆえにスーパースポートで世界選手権のサーキットを走った
ことがないライダーは混戦でレベルの高いこのカテゴリーで
苦戦をしています。

ドゥカティのマシンをよく知っていて、経験もあり、
体も空いていたナンネッリに話を持ちかけたのは必然で
あったでしょう。

苦しみから何度も立ち上がり、土壇場を何度も踏んだこの
トスカーナ人には能力もあれば、あきらめの悪さと勝利に
対する執着心があります。

スキマスイッチの『全力少年』をリアルにライダー生活として
見せてくれるナンネッリの今週末のブランズハッチでの
走りを注目したいと思っています。
鈴鹿の八耐が終わりました。勝ったのは伊藤と辻村の
FCCテクニカルスポーツ。マシンはホンダですが、いわゆる
ワークスではないマシンとチーム体制。メーカーが勝つために
桁の違う人やモノや資源をぶち込んだ体制ではありませんでした。

いかに最先端で最高のマテリアルのモノや人をつぎ込んでも
トラブルフリーで安定して高いレベルでの走行ができないと
勝利を手にすることができない。それを実証したのが今回の
八耐だったと思います。

ホンダのお膝元で行われるレースであり、今回もホンダの
力の入れ方は大きなものでした。さらに、今年は芳賀が
コーリン・エドワーズと組んで走るという衝撃的な
ニュースが入り、リッターバイクの最高傑作と言われる
ヤマハのR1にSBKとMotoGPで世界を走り、八耐を制したことも
あるこのコンビはライバルにとって強力にして厄介で嫌な
ペアでした。

しかしながら、絶対というのがないのがレースの世界であり、
セブンスターホンダにヤマハブルーレーシングのトラブルや
リタイアによって、序盤に磐石の体制を作り上げ、トラブル
フリーで走りきったのがFCCテクニカルスポーツの伊藤と
辻村のペアでした。

まぁ、ラッキーであったのは事実ですが、同時に信頼性と
高いレベルでロングラン走行をいいタイムで走れるだけの
ライダーとしての技量とチームのバックアップ体制が
あったのは間違いないことでしょう。

それに加えて道具という部分ではブリヂストンタイヤの
優位性とカヤバのサスペンション,ニッシンのブレーキという
素晴らしいモノとバックアップ体制が棚からぼた餅が落ちてきた
時にそれを奪って離さないだけのものであったのは
事実でしょう。

とりわけブリヂストンタイヤのキャップをかぶった
ライダーがどれだけ鈴鹿の表彰台に立っていたのかを考える
といいタイヤを用意した彼らの力とそのタイヤを有効に使い
ラップタイムに反映させた伊藤と辻村(伊藤とブリヂストン
は長い付き合いになりますし、辻村もかつて250で
世界で戦っていた時期にミシュランでもダンロップでもなく
ブリヂストンを使って戦っていた過去を持ち、タイヤの
キャラクターを理解していたと言える)というレースキャリア
の長い二人のレースのマネージメント能力の高さがこの
勝利をもたらしたと言えます。

運も実力のうちですが、しっかりした能力や体制がないと
棚からぼた餅が落ちてきてもつかみ取れなかったり、
掴んでも失ったりします。めぐってきたチャンスを逃がさない
精神力とチーム力を有していた彼らが優勝したのはライダー
としての走る力と長いレースをしっかりマネージメントする
能力があったからです。運が良かっただけでは片付けられない
圧勝だったと思います。
スズキの全日本選手権のファクトリーライダーから
プライベーターへ。そして、舞台を移して耐久レースの
ファクトリーチームへ入り、世界チャンピオンへ。
北川圭一というライダーのキャリアを振り返るとこういった
具合になるのでしょうが、何か彼には人間性の良さと同時に
欲の深さが少なかった気がしますし、運がなかったのと
言えるのですが、運を切り開いていくような我の強さを
感じることがなかった気がします。

藤原克昭が全日本のスーパーバイクからGPに行き、
それからワールドスーパーバイクへ行ったのですが、
彼がスズキの当時の750のマシンに乗っていてもおかしく
なかった気がしました。

また、社内的なことや結果を求められる世界で芳しくない
順位であったことからワークスライダーの座を失って
しまいましたが、あの時期に彼のマシンに他のライダーが乗って
どうなったのだろうか。このことに疑問は残ります。
確かスズキのGSX-Rというバイクに梁というライダーが
走ることでタイトルは獲ったものの個人的には梁と北川に
どれだけの違いがあったのだろうか疑問を感じます。

チームやメーカーの求めることをこなして、安定して
長時間マシンのいい部分を引き出して勝つという耐久レース
という分野で活躍し世界王者になった彼でしたが、
ある時期のヤマハの250のワークスライダーは全日本を戦って
いた時に野卑な言葉を使ってマシンの不具合や
他のメーカーとのマシンとの違いをあからさまに口にして、
エンジニアに足りないものや必要なものを作らせて、
彼のライディングスタイルに特化したマシンを製造し、
それでスプリントレースにおいてレーシングマシンを走ら
せ勝利を得ようとしていました。

それが原田哲也でした。

かつての世界グランプリの250ccクラスにおいて日本
メーカーに比べて資本力や組織力に劣っていたアプリリアに
人的物的リソースを集中させてワンアンドオンリーのマシンを
用意させてそれを勝利に導くような我の強さや勝利に対する
執着心を見せていたローマ人がいました。

それがマックス・ビアッジでした。

適材適所という言葉がありますが、彼には悪魔になりきれない
人の良さがあったように思えます。そういった意味では
ファイターとしてはよくなかっと思います。

しかし、だからこそ多くの人に愛されて、持っている才能を
市販マシンベースの耐久レースという分野でマシンの95%の
力をコンスタントに出し、壊すことなく、安定して車体や
エンジンにストレスをかけることなく走りきるという耐久
レースというカテゴリーで王座につくことができたのだと
思います。

彼に『おれがおれが』という人を押しのけてでも前に出る
部分があったらまたライダー生活も変わっていたように
思いながらも、これでよかったのかなという感想も抱いた
私でした。

彼のチームメイトのヴァンサン・フィリップは北川の
この決断をどう思うのだろうか。ヴァンサンは私の友人
でもあるのですが、加藤というグランプリの250の
世界チャンピオンと北川という耐久の世界チャンピオンの
日本人二人のライダー生活の最後を見届けることとなり
ました。この二人のチームメイトであったのはヴァンサン
一人だけです。そんな経験をするのは彼が世界でただ一人
でありますからね。機会を得られれば話を聞いてみたいと
思っています。
親が歴史に名を残すライダーであり、兄貴も世界王座を
奪ったファイター。そんな親と兄弟を持ったライダーは
恵まれている反面、難しいことも多々あるのではないか。
カーティス・ロバーツというライダーに関して思うことは
そんなことでした。その彼が来週のSBK世界選手権のブランズ
ハッチでチームペデルチーニでマックス・ノイキルフナー
が走らせていたマシンでSBK世界選手権に打って出ます。

ある意味ギャンブルだと思いますが、必要な賭けだと
報道を見て思いましたね。マシンのレベルやチームの体制など
トップクラスとは言えないのですが、そんな環境だからこそ
ミラクルを起こしたときに、賛辞と評価を得ることは今までの
歴史が証明しています。

何が何でもいいところを見せるとか、ここで一発世界の列強に
一撃を見舞ってやるとか、人を押しのけてでも前に進むという
気持ちを持てるかどうか。道具や環境の差があればあるほど
ライダーの気持ちの強さが重要です。

猪木がガウンを脱いで闘魂タオルを放り投げた瞬間に多くの
ファンは私生活でのスキャンダルや金銭的な問題などを
忘れて声援を送りました。カーティス・ロバーツが世間の
懐疑的な目を変えていくには闘争心をこれまで以上に
出して、世間を黙らせる戦いをしていく必要があります。
カーティス・ロバーツにとってブランズハッチというサーキットは猪木にとってのリングとなりえるのでしょうか。

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