お笑いライブが延期になったり、中止になったりする。芸人さんも
出演する予定が急きょキャンセルになったりすることもある。そんななかで
それまでのネタを見てきて、新ネタでも大体こういう感じだろうという私の
予想を裏切り、期待を上回るネタを見た時には感動を伴った快楽を感じますね。
なかの芸能小劇場での「TEPPEN ハニー」のタダノリモンスターのネタ
には好きなミュージシャンが確かな技量と共にそれまでには見られなかった
作風を意識した鮮やかな想像物を感じました。

 若手の芸人が出ていた前半の部分は普段出演している場所が小さな劇場
であるからなのか、舞台を大きく使うことがなく、前方の座席に発話している
ようなところを感じました。

 しかし、タダノリモンスターの二人はネタの構成上の要素もあるのですが
舞台を大きく使い、確かな発話で後方の客にもわかりやすくネタを展開
していました。

 そして、確かな演技力を有している二人がしっかりと役に入っていけば
見る側はノーストレスで舞台に集中できる。それまでの出演者がネタを
飛ばしたりして危うさと緊張感を持ちながら見てしまったのですが、
このタダノリモンスターの二人に関してはそういうことはなく、流麗に
して典雅なセリフが流れていく。

 添ねぇのセーラー服姿というのは水戸かなさんや風間ゆみさんといった
熟女AV女優が出演している作品のなかの高校時代の回想シーンを思わせる
ものがあったのですが、おばさんくさい所作や言葉使いがないから
すんなりと見ることができる。

 舞台のサイズや客席との距離感を利用しながら、不自然な設定でも
強い違和感を感じさせないところに二人のうまさとクレバーさを感じましたね。

 ネタを見て笑ったあとに、振り返ってタダノリモンスターの二人の進化
とある種の冒険心や挑戦を感じましたね。車の開発担当者がリッターで10キロ
しか走らない車を見て、車というものはこういうものだと思っていたら
リッターで50キロ走る車の開発などできないし、電気自動車などは
考えられない。技術の革新や挑戦する気持ちから新しい発明が生まれるように
タダノリモンスターの二人には自らの実力や見た目をどのように生かして
いって新しいネタを作ろうかという強い野望や欲深さを感じています。

 

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