東京の小規模劇場や区の施設などで行われるお笑いライブの公演開始時間は
夜の七時であることが多い。なかの芸能小劇場や新宿や渋谷で行われる
お笑いライブに行く時にワクワク感を感じながらスマホでpizzicato five
の「東京は夜の七時」という年代を問わずに愛されている曲を聴きながら
気持ちを上げていくのですが、お笑いファンになじみのない西早稲田の
小規模会場で見た目があれな男の芸人がほとんどのライブに行ってきました。

 雑居ビルのような建物の地下三階という会場でスーパーのレジ袋を渡され
て靴を入れて、少し傷んでいる靴下を気にしながら入ると、beatlesの
「all you need is love」が流れていました。

 このライブの出演者を見るともがきながら苦しみながら栄光を目指してい
て生活環境を一変させるような奇跡を求めている芸人たちの彼らに合う作品は
ポップでありながら未来への強いメッセージや願望も感じる
mike and mechanicsの「all i need is miracle」ではないのかと思って
いたら、曲が変わりこのライブの主催者がbeatlesマニアなのか「revolution」
が流れ始めました。そして、このライブのコンセプトがピン芸人が
集まり来年開催のR1グランプリで本気で勝ち抜こうと考えて場数を踏んで
ネタを進化させるものと知り、芸人の内面の内なる革命とお笑い業界内に
革命を起こそうという強い野望と思いを理解して見ることになりました。

 東京という街で様々な娯楽があるなかであまり知られていない会場で
ライブを開催し、登場する芸人とそこに集う客との怪しくいかがわしい
共犯関係が存在する中でライブが始まりました。

 私の好きな芸人であり、最近もいいネタを見ていたそるとさんですが、
今回は二本ネタをやっていて、見ることができました。

 一本目のネタは新宿の大きめの会場で長めのネタであり、これを
いかにR1グランプリの早いラウンドでの二分という制限時間に落とし込めるか
考えるために披露したネタで、もう一本は直前になって考えて創造した
ネタでした。

 このネタができたのは浮かんできて一気呵成に作ることができたと
聞き思い出したのは、かもめんたるやさらば青春の光のいいネタが早く
作ることができたという話ですね。

 初期衝動があり、掘り下げたり膨らましているなかで気持ちが高揚して
時が経つのを忘れて言葉をチョイスしていたら、代表作ができた。
もちろん、練りこんだネタや苦しみながら生まれたネタもあるのでしょうが
いいネタは出来上がりが早いし、ちょっとしたきっかけで生まれるものが多い。

 そして、それは自然な流れでできているのでコントの場合はすんなりと
役割設定が可能であり、見ている側が違和感を感じないでいられるから
変なお約束に根差したストレスがなくてとても見やすい。

 U字工事の二人は初期に標準語で漫才をしていたが、ちょっとなまりのある
以外は一定以上の実力を持っているが、特徴の薄い若手芸人の一人と
評価されていました。その彼らが体に染みついている栃木なまりを出すよう
にして地元のとちぎテレビを見まくり、下野新聞をくまなく読み込んで笑いに
繋げられるだろう記事からインスピレーションを得ているうちにとちぎ
なまりと内面にやどっている栃木愛と東京へのあこがれとお笑いに対する
愛と売れたいという深い欲望が見事に絡みあい内なるレボリューション
を生み出し、人気芸人の仲間入りをしました。

 そるとの持っている関西人としての素養と土着関西人ではないことから
冷徹に状況を見ることができる観察眼があり、女芸人としてややかわいい
が体重やウェストのサイズは標準よりもちょっと大きいというルックスから
ちやほやされるような役もビジネスブスもできる容姿と今までの職歴から
自然と役作りできた経験。自然に持ちえたものと売れたいとかいいネタを作り
たいという深い欲望から後天的に加わったものがあり、そこにある種の発明やひらめきが加わった時に彼女の中にある種のレボリューションが生まれました。

 何だかこの20名にも満たない規模のお笑い好きからしても無名で馴染み
のない西早稲田の地下三階というところで「all you need is love」と
「revolution」を流して客を迎えたライブでフリップ芸を主にやっていて
その芸風が多くの東京のお笑いライブファンに認識されていたそるとが
うちなるレボリューションと業界内にレボリューションを起こそうと
しているいいものを見ることができたという喜びを感じました。

この空間を味わえたのは嗅覚とお笑い偏差値の強い私だという偏った選民思想と好みは分かれるが愛飲することになることになったクセの強いアルコールを
初めて飲んだような喜びとがごちゃ混ぜになっていました。

 ある種の無秩序ななかで何かを生み出そうとするなかで中心人物は
パワーやエネルギーを持っている人であることを実感して、それが悪い方
に行くとお笑いにだけ盲目的に突き進んで部屋の片づけはできなくて
汚い部屋で生活することになり、いい方向に行くととんでもない集中力で
いいネタを作れるのだなと思いましたね。

 革命の中心人物と付き合うのは大変。しかし、少し離れた場所にいる人で
現状に満足していなくて新しい何かを求めている人にとっては最高の
首謀者でクリエイターだと思いますね。

 果たしてそるとのうちなるレボリューションは果たして何を生み出すのか
お笑いグルメで雑食属性がありクセのあるものも好きな私は楽しみにして
います。

 
 

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