いいリズム感というのは人それぞれなんでしょうが、きれいな発話が
あり、確かな技術であったり、文法を理解して創造していたなかでの
掛け合い漫才はいいリズム感を感じますね。

 多くの芸人が出演した池袋GEKIBAでのお笑いライブ
「なんて素敵な昼下がり」に出ていたマリアさんでした。

 ナイツの塙さんが著書「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」の
なかで漫才の高速化を書き、さらにそこからのカウンターとしてスリムクラブ
のスローペース漫才のことを書いていました。

 50年前のNHKのアナウンサーの原稿読みが1分で400字でしたが、今の
時代は各局とも高速化が進み、1分で280から300字ぐらいと言われています。
そこからさらにしゃべくり漫才の人は早く進んでいるからコンビによっては
1分200字ぐらいのスピードで話している人もいる。その高速化が進んで
それがマジョリティとなっている中で逆に個性化と活舌の悪さを逆手に
とって見た目の特徴と合わせて確信犯的にスローテンポの漫才をしたのが
スリムクラブでした。

 今の世の中には高速化された漫才とスリムクラブとほんの一部の
漫才コンビがスローペースで話しています。(例は一部の笑い待ちを起こそう
というネタでのキュウなど)

 そんな現況のお笑い界のなかでマリアという女性コンビはちょっと
スローペースで沈黙が生まれてもそれを何かフレーズで埋めることが
なく、おそらく1分400字というかつてのNHKのアナウンサーが発していた
ようなペースでネタをやりきって私のお笑い脳を強く刺激しました。

 すべてが同じスピードや文法をなぞらなくてもいいというお笑いの自由度
の高さと個性化しないと埋没してしまうという競争社会の中での自己分析
に根差した創造性。そして、確かな技術と自らの年齢や見た目を生かした
冷静な判断力。若くてパワーを持っている人の笑いも好きですが、
経験則と技術で自らの色を出している経験を持った人の笑いもいいですね。

 私は若くてカワイイ子も好きですが熟女も好きです。節操がないのではなくて
人を楽しませてくれる立場の人が自らの強みや長所を持って表現するのは
素晴らしいことだと思っています。

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