チェコ時代の作品に素晴らしいものがあり、さらにプラハの春以降に
アメリカへと渡り、名作を作ったのちにまだ冷戦中であり、当時の
チェコスロバキアを離れてアメリカ国籍を取った彼がヨーロッパベースで
「アマデウス」を作った。そして、さらに創作意欲を持って傑作映画を
創造しました。彼の作品は名作ぞろいだと思います。

 私のなかでの彼の最高傑作は「ラリー・フリント」ですね。
(オリジナルタイトルはthe people vs larry flynt)

 私の好きなテーマ性があるから、私にとって集中して見やすいという
部分もあるのでしょうが、アクションとコミカルと社会性がいいバランスで
保たれているからずっと集中して見ることができて時間が短く感じる。

 そして、アメリカという国の保守性と革新性というものがとてもわかりやすく
理解できる。

 このことは大資本のコロンビアピクチャーが莫大なバックアップ体制
を有していながらも、ヨーロッパの真ん中でドイツとロシアの狭間で生きてきた
チェコ人のミロス・フォアマンがアメリカという国を生まれも育ちもアメリカ
ではないから出来上がった脚本や映画会社のいうことを部分的な修正を
加えながら創造できたのではないかと思いますね。

 ジャック・ニコルソンとルイーズ・フレッチャーの狂気じみた演技を
させた作品も監督自身が冷戦下でありながら大いなる帰還を果たして
サリエリとモーツァルトの愛と憎しみの世界をプラハで撮影した映像も
素晴らしいと思いますが、村西とおると黒木香の過激にして典雅な映像と
二人の栄光と挫折を知っている私にとっては「ラリー・フリント」が
私的な最高傑作だと思っています。


 

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