急に時間ができたので、女性芸人と男女コンビやトリオが出演する
中野にお笑いライブを見に行きました。つまらない人や今一つの人も結構
いる中でこの日の観客と私のお笑い脳を突き刺したのはあっぱれ婦人会でした。

 女芸人のネタには傾向と色合いがあって、容姿や恋愛に関するネタが多い。
これは彼女たちにとって作りやすいからだと思うのですが、これが三組も
続くと私のお笑い脳は胃もたれしてしまう。コロナのことやら株式市場
やら環境問題など世の中の大人は色々なことを思案しながら日々生活を
しているなかで女性の容姿や恋愛のことばかりを考えているわけでもないし、
そこは生活の中での優先順位が低い人もいる。

 そんなわけで、容姿や恋愛ネタはあってもいいのだが、ネタのレベルが
低いと面白くないし、その面白くないのが三組続くと嫌になってくる。

 その容姿や恋愛ネタでも素直に笑えるというのはどういうものなのかというと
毒の強さがあったり、とてもネタが練りこんであったり、コントであれば
激しいアクションとか高い演技力や思わぬ展開というものがあると舞台に
注目して、お笑い脳が活性化される。

 そして、観客側のパーソナルな歴史に根差したネタであったり、そのネタが
演者と観客の間に共通理解があると素直に見ることができる。

 この日の「テッペンハニー」というライブの会場はなかの芸能小劇場。
そのサイズ感をしっかりと理解して動き回り、客層がオーバー50であることを
考えてのネタの選択をして館内を爆笑の渦にしたあっぱれ婦人会の二人は
まさにあっぱれでした。

 小さな劇場で動き回れないとなるとある意味家庭のガスコンロの火力で
普通のフライパンで作る中華料理になると思われるところをこの
なかの芸能小劇場という大きさを利用して激しく動き回ることは中華料理屋の
火力で中華鍋を操って作る中華料理となる。

 そして、客の多くがオーバー50のバブルの時代を経験した人からすると
コンパでのバカ騒ぎなどでしていた動きを取りいれることで当時を思い出し
かつての自分を思い出しながら素直にネタを見ることができる。

 さらにネタの内容には内館牧子さん脚本のドラマで見たようなセリフや
展開があって、これは地上波放送が今よりも大きな力を持っていて
視聴していた世代に鮮やかに刺さる。

 舞台の大きさを利用し、客層をしっかりと認識して単なる恋愛や出会い
をネタにしたものを薄いジュースではなくて、味が濃くてクセのある
やみつきになるアルコールにしたのは見事だったと思いますね。

 ベッドインがロックの世界で独特の感性と価値観で面白いライブ空間を
作っているのですが、あっぱれ婦人会の二人はお笑いライブの世界で
若い女性芸人が好きで会場に来ている多くのオーバー50のオヤジたちの前で
年下のカワイイ男の子が好きでコンパに参加しているアラフォー女性の
悪あがきや前のめり感をコミカルにパワフルに毒気を入れながら演じたのは
あっぱれだったと思いますね。

 私の個人的なつながりのなかでスポーツ界で世界ナンバーワンプレイヤー
とかワールドチャンピオンとかオリンピックメダリストなどを知っていて
彼らの過剰なエネルギーとかパワーとか毒気を身近に感じているのですが
そんな私があっぱれ婦人会の二人にエネルギーとかパワーとか毒気を
強く感じたのだから、普通の人があの二人から発せられたネタで圧倒
されたのは当然なのかなと思いますね。

 

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