世界選手権レベルで走るライダーは使う製品に関して色々な話が持ち込まれる
ものですが、命を守る製品であるヘルメットをどのような観点で判断して
契約するのでしょうか。

 made in japanの品質の高さを高い次元で理解して日本メーカーを選択する
ライダーがいます。これは国籍を問わずにいいものを使おうという考えであったりライダーにとってもメーカーにとってもいい関係が構築されているからという
ことがあります。

 イタリアとフランスのメーカーに関してはこれは地方選手権や国内選手権
で他の国のメーカーがサポートしていないので、自国のメーカーのヘルメットを
使用して、特に不満もないので世界選手権にやってきてもある程度の契約
内容の変更はあってもサーキット内でのサポート体制がしっかりしていたら
そのまま同じメーカーのヘルメットを使い続けるという感じですね。

 それ以外の国のメーカーで近年シェアを伸ばしてきているメーカーに関しては
お金を積んでトップライダーを獲得して、市販品の売上を伸ばそうという
感じですね。それまでの実績のないメーカーがトップライダーを獲得する
にはライダーが求める密着したサポート体制と同じくらいお金が必要と
なりますね。

 ただ、お金というのは大事だけれどもすべてではないわけで、お金の部分
での条件は良かったが、サーキット内でのサポート体制であったり、
長い付き合いであったり、チームやマネージャーとヘルメットメーカーとの
関係性(よく言われるのはジャンピエロ・サッキとAGVの関係性)などで
業界的な付き合いの中でヘルメットメーカーが決まってくる。
ただ、そんななかでもライダーの意見が通ることもあるわけで、ずっとアライ
ヘルメットを使用してきた宇井陽一ですが、彼がデルビと契約すると
ジャンピエロ・サッキとAGVとの関係性でイタリアのヘルメットを使う
ことになりました。

 その一年目で結果やチームやメーカーの求める成績や開発をしてから
翌年以降は彼の希望通りに日本のアライに戻ったことがありました。
この辺りはライダーが高い能力を示したり、バイクメーカーやチームが
有能なライダーを引き留めるために譲歩したり、特例を認めるということが
あるのでしょう。

 以前、ポル・エスパルガロが鈴鹿八耐に来ていた時に当時の契約メーカー
はAGVだったのですが、その鈴鹿のレースウィークだけのためにレーシング
サービス部門のマウリッツィオ・ビターリが来日してライダーの求める
通気性や汗の吸収性、視認性や天候とライダーの好みでヘルメットバイザーが
透明なものやサングラスのようにダークな色などを装着していましたが
鈴鹿八耐だけのためにこうしてライダーのリクエストに応えてくれるという
ことでヘルメットメーカーを選んでいるということもありますね。

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