吉住のネタを何年か前に見た時に思ったのは友近の下位互換ではないか。
私の好みのネタをやっていて面白いが歌唱力やモノマネという武器を持っている
友近に比べて、それらを有していないから下位互換ということになってしまう。
笑いのセンスや観察眼などから生まれるネタは素晴らしいので、彼女が芸を
磨いたら面白い存在になるだろうなというものでした。

 吉住自身がストーリー性のあるネタが好きであるということと、割に
演じるキャラクターに説得力を感じられるセリフであったり、彼女の演技力
が合わさったら、いいネタができますね。

 彼女の成長というものが勲章となって形になったのがTBSラジオの
「マイナビラフターナイト」でのオンエア争奪バトルでのオンエア獲得と
月間チャンピオンだったのですが、色々な芸人がいるなかでこの番組の
月間チャンピオンになるというのは決して簡単なことではない。
そこでしっかりと結果を出したことが今回への大きなステップに繋がった
と思います。

 同時に思うのはナイツの塙宣之さんがお笑いの賞レースに関して書いた
著書の「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」で触れているように女芸人が容姿や恋愛をたたき台にしたネタというのは作りやすいのか演じる
ことが多い。しかし、これが続くと見ている側は食傷気味になり脳みそが
疲れる。これは私も強く感じています。

 個人的には容姿や恋愛をテーマにしたネタでも強い毒や高い演技力が
あればいいがそうでないと笑えなくなりますね。

 吉住の決勝のネタは恋愛をネタにしている部分が縦糸にありながら、
銀行強盗というシチュエーションが横糸で鮮やかにストーリーを展開して
ところどころに馬鹿さ加減とかくだらなさが絶妙のバランスで配置されて
見どころが多いネタで面白さを感じました。

 M1とは違う勝ち抜き戦であるところとか、ブロック分けなど運も左右
されるフォーマットであることは事実ですが、吉住のネタがいいネタで
あったことは事実で、それが優勝を決めるあの一番での圧倒的なスコア差に
あらわれていたと思います。

 登場順やブロック分け、対戦相手などの運の要素も手にして、本人の
快心のネタを演じることができた。まさに優勝者にふさわしいパフォーマンス
だったと思います。「ブステレビ」で一緒に出演していた人たちには芸人を
やっていたり、女優でコメディを演じる人もいると思うのですが、今回の
彼女の圧巻の勝利を見てどう思っているのか気になっています。

 

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