コントで演じる姿があまりにもリアリティがないと見る側はネタに入って
いけない。そして、実際の姿と演じる役の相似性が強いと演じる姿が近いと
本当にこういう人がいて、こんな感じの発言をするのだろうなと思うことが
できる。単純に演技力があるということ以前に見た目や背格好を生かすことが
できたらこれは大きなアドバンテージになる。それを感じさせてくれたのは
たぬきごはんのほりゆうこさんと宍倉孝さんでした。

 土日に遊んでいた人は週の初めの月曜日に帰宅時間が遅くなるような
自由時間の過ごし方をしない。そんな出かけにくい曜日のお笑いライブに
やってくる客というのはかなりのお笑いジャンキーだと思うのですが、
色々なタイプの芸人が出演して、様々な芸風の人が出演するというライブを
好んで見るというのは雑食属性が強い。私を含めて雑食のお笑い好きが
見ていて演じる役にリアリティを感じてすんなりネタに入っていけて、
笑っていたのはたぬきごはんのネタでした。

 女性の政治家と秘書と思える男性スタッフの見た目がマッチするのが
たぬきごはんの二人。そして、この日のライブに出演していた芸人の
何割かが芸歴が浅くて、20人から30人程度の劇場での出演が多いせいか、
前の方の座席に向けてネタをやっていて、後ろの席の人はケアしていない
ような感覚を受けたのですが、たぬきごはんの二人は経験があるのか、
劇場の後ろの方にも届くような発話や視線の向け方をしていて、後方の席の
人にも届く。

 「全裸監督」の山田孝之や森田望智が明らかにはまり役で80年代の
アダルトビデオを舞台にした物語にすんなりと入って見ることができたり、
多くのモノマネタレントが好きな歌手やスポーツ選手が好きすぎて真似している
と体つきや所作が本人にどんどん似ていき、見ていてリアリティを持って
見られるようにたぬきごはんの二人は自らの身体的特徴を確かに理解して
役割設定をしてネタを作った。

 長い時間のライブでかなり客もだれてきていたのですが、たぬきごはん
のネタには目を奪われ、すんなりと再び集中して見ることができるものが
あったと思います。

 終演後、お二人の姿を劇場の外で見ることができたのですが、ほりゆうこ
さんも宍倉孝さんもそれほど大きくなかったのですが、舞台上では大きく
見えたというのは存在感であったり、見る側がしっかりフォーカスするような
空気感を出していたからだろうなと思いましたね。

 

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