追悼アニマル・ウォリアー。

　80年代中盤から一気にアメリカのマット界を席巻したロードウォリアーズ
のアニマル・ウォリアーの死去が明らかになりました。
https://www.nikkansports.com/battle/news/202009230001274.html

　よそがやらないことをやることが好きなテレビ東京の「世界のプロレス」の
なかで圧倒的な説得力のある肉体とスピードとパワーで対戦相手を
オーバーパワーする試合運び。ロードウォリアーズがアメリカのマットの
常識を変えて、さらにテレビ東京のプッシュがあり、日本のプロレスファン
に大きなインパクトを与えました。

　そして、全日本プロレスへ来日。日本に来てもほとんどの場合は相手に
合わせることなく彼らの試合を見せて日本のプロレスファンを魅了しました。

　ミル・マスカラスの「sky high」スタン・ハンセンの「sunrise」のように
彼らの登場とブラックサバスの「iron man」はキャラクターとマッチして
プロレス会場におけるお祭りの空気感やスターを待つ期待感が重なり
素晴らしい空間を作っていました。

　相方のホーク・ウォリアーは生前、ステロイダーであることを認めていた
ようで、彼の早死にの原因の一つに薬物があったのではないか。素晴らしい
筋肉の鎧を作るのに熱心で内臓に大きな負担と副作用で若くして亡くなった
と言われていますが、アニマル・ウォリアーの60歳での死去の報道を読み
あの肉体とステロイドの危険性が理解される前の時代背景との関連性を
感じています。

　地上波放送が大きな力を持ち、土曜日のゴールデンタイムで他のキー局が
高い視聴率を獲得していた中でテレビ東京は高くない料金でアメリカの
ローカルテレビ局からプロレスの映像を買い取り、一時間番組を作り
プロレスファンに届けた。

　日本においてまだ見ぬ強豪であり、プロレスのセオリーを無視して
攻撃一辺倒で試合をしてしまう。そして、パワーファイターというのは
スピードの面で劣るのが通説だった中でスピーディーなファイトで
相手を圧倒してしまうロードウォリアーズのファイトが人気となり
プロモータージャイアント馬場、全日本プロレスの視聴率を上げたい
日本テレビがテレビ東京の仕掛けと盛り上がりに乗っかってビッグマネーを
用意して来日させたということも地殻変動を感じさせました。

　一時代を築いたプロレスラーの死去というのは悲しいものがあります。
日本でアメリカで彼のファイトの映像を見ながら追悼しているプロレスファンが
いることでしょう。私もその一人です。

　ご冥福を祈ります。
映像を