プレイヤーとしてブランクから復帰して、下部ツアーを戦った伊達公子が
感じた違和感と不満足感から日本のプレイヤー育成と普及しているサーフェース
の相関関係を論文にしました。それを改めて読んでみました。

 ここのところ時間ができて、テニスをプレイする機会に恵まれているのですが
公共のコートで一般のプレイヤーがテニスを楽しむ時に東京圏の都や区営の
コートは圧倒的に砂入り人工芝だということに嫌でも気が付きます。
(一般にオムニコートと呼ばれていますが、登録商標のようなので砂入り
人工芝と表記します。)

 まぁ、これは雨の時期でも水はけがいいため、簡単にプレイ可能な状態と
なり、稼働率が高まることになり、一般のプレイヤーもコートをキャンセル
しなくて済むからいいことだと日本の社会で受容されているものですね。

 区や都では住民サービスということを考えて、税金の運用ということに
関して初期費用とかメンテナンスの容易さや難しさ、稼働率の高さという
ことを考えて砂入り人工芝という選択をしているということが伊達公子さんの
論文でなんとなく思っていたことがより明確に理解できました。

 一般のプレイヤーが少々の雨でもプレイできることであったり、
水はけのよさで強い雨の後でも練習や試合ができるということで
日本中で広まったのですが、彼らのなかには砂入り人工芝は膝や腰に
やさしいと評している人もいます。

 この点は私はちょっとなぁと思うところですね。

 プレイしている中で当然のことながら、砂の多いところと少ないところが
まばらになる。そうなると思わぬところで滑って、予期せぬ部分でストップ
がかかってしまう。

 そうなると膝や腰にやさしいというのは真逆で実に危険なサーフェース
ということになります。

 私が砂入り人工芝が嫌いな理由がまさにこれでして、買って一週間ほど
しか経っていなかったショートパンツが破れて、切り傷を負ってしまったのは
砂入り人工芝というサーフェースであったからで、他のサーフェースでは
こういったことは経験したことがありません。

 私ですらこういう経験をするのですから、高いレベルになればなるほど
コートでの動きが激しくなる中で滑ったり転んだりすると危険なことに
なりますね。

 また、強いボールを叩いても、勢いが吸収されてしまうので、本当に強い
ボールを打てたのか疑問に思ってしまう。砂の多いところでバウンドすると
思わぬ方向や反発となってしまう。

 日本で行われているジュニアの大会で大阪スーパージュニアと名古屋の
ジャパンオープンジュニアという大会があります。

 前者は四大大会のすぐ下のGAというカテゴリーで後者はG2という
格式になるのですが、大阪はハードコートですが、名古屋は砂入り人工芝。
そんなわけで二週連続開催ですが、ハードコートの大阪には出場するが
砂入り人工芝の名古屋は出ないという人が結構います。

 これは出場するにも意味がなかったり、このサーフェースでやっても
得られるものがないと考えているからですね。

 ジュニアと言えども世界で行われている大会はハードコート、クレイ
コート、一か月ほどですがグラスコートというのがツアー大会での
サーフェースですから、そこで砂入り人工芝で戦うのは意味がないと
考えている人も多いことでしょう。

 税金で作られるテニスコートですから費用とか稼働率などを考えなければ
いけないのでしょうが、速乾性のいいハードコートというものも技術革新
のなかで出来ているし、昔よりも膝や腰にやさしくなってきているわけで
特殊ではないサーフェースが日本に広まったら競技者のレベルが上がり、
週末プレイヤーレベルでも転んで怖い思いをしたり、私のように買って間もない
商品が傷つくことも少なくなるのではないかと論文を読んで思いましたね。

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