かつてユニバーサルプロレス、新生U.W.F. のフロントスタッフとして
活躍した鈴木浩充氏の本を読みました。

 フロントスタッフの方のサイドから見た当時のことが理解できてよかった
というのが率直な感想ですね。

 個人的には私は名古屋人なのでこの団体が唯一自主興行ではなくて、
中京テレビ事業とキョードー名古屋に売った大会のことが印象に残りましたね。

 自主興行をした時でほかのエリアでの大会だと、かなりレスラーがメディアに
出演して大会の告知をしていたり、各地のメディアでのイベント展開が
結構ありましたが、この名古屋の愛知県体育館での大会はそれほど露出なり
告知活動がなかったと記憶しています。

 私はこの大会に行かなかったのですが、それはチケットの金額にありました。

 話を持ってきた中京テレビ事業とキョードー名古屋に断ろうとする意図が
あってU.W.F.の鈴木氏が大きな額を示したところ、その額で納得して
大きな買い物をしてくれた。

 そんな団体内の実務関係者が驚くような大金での興行権の買取だった
わけで、ビッグスポンサーがなかったら、当然のことながらチケット料金は
高くなってしまう。

 そして、中京テレビというのは日本テレビの中部地方の系列局なのですが、
「全日本プロレス中継」の編成に関して、かなり冷淡というか、商品価値を
見出していないようで、何かビッグイベントがあったら、番組を中止
したりする。放送時間というのも深夜での放送でオンタイムの視聴者の
ことを考えていないような時間帯での放送でした。

 「週刊プロレス」や「週刊ゴング」が高く評価したような大会や試合
であっても、中京テレビが自社制作の番組だったり、特番などで
放送を取りやめることが数多くあった。

 普段、日本テレビが放映権を有していて、系列局の中京テレビがプロレス
を放送できる環境にありながら、中部地方のプロレスファンが失望したり、
怒るような番組編成をしていながら、U.W.F.という団体が盛り上がって
面白そうだと思ったら、その勢いに乗っかって大会を開催することになったが
中部地方のプロレスファンは中京テレビに対するアレルギー感が強く存在して
いて、さらにチケット料金がかなり高い額となるとかなりのコアなファンで
ないと行かないという判断をした人が多かったと思いますね。

 さすがに前売りチケットの売り上げが伸びていないということであわてて
中京テレビの自社制作番組にレスラーがやってきて告知していましたが、
結局、売り上げが伸びずにU.W.Fは超満員記録が続いていましたが、
キャパシティの大きな愛知県体育館を全部埋めることができずに満員という
発表をしていました。

 団体なり主催者が満員と言ったらそうなんでしょうが、大きさの関係も
あってかなり空席が目立っていたようです。

 今の時代ではコアなプロレスファンは地上波ではなくて、有料の配信とか
CSでの放送でいくらか払ってでもいいから、じっくり見たいという考えの
人が多くなりましたが、80年代後半や90年代前半となると、見られるのが
地上波に限られていて、放送できる中京テレビがプロレスに商品価値を
認めなくて、放送される時間が悪い上に、相当なディレイの遅れネット
だったり、放送中止をしていたわけで、その中京テレビが新しく出てきた
プロレス団体という流行りものに乗っかってもチケットを買わないという
選択をして、中京テレビ事業はしっぺ返しを食らったことを思い出しました。

 

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