様々なイベント、コンサート、スポーツの大会や試合が延期や中止になったり
無観客試合となっているなかで2日の月曜日に高円寺にお笑いライブを
見に行きました。

 土日がお休みの人は週の初めから深い時間まで遊ぶことや帰宅時間が
遅くなることに躊躇する。そして、コロナウィルスの脅威で政府が
あまりにも遅いのではあるが、方向性を示した(しかし、強制はしていない)
ことでかなりのお笑いライブが中止や日程の変更をしました。

 主催者や組織によって、対応が分かれましたが、いくつかのライブは
この東京圏で開催されていて、同日の同時間帯に行われていた新宿と
高円寺のどちらにしようかと悩んだのですが、高円寺に足を運びました。

 まぁ、新宿でのライブに比べて演者のラインナップ的には劣る。
しかしながら、気になる芸人や好きなコメディアンヌが出ていたので
高円寺まで出かけました。

 注意事項とか主催者からのお願いなどを知らせる前説というのは
きれいに発話してくれる人がしてほしいのですが、そうではなくて、
さらに話に枝葉がついて無駄に長いとこれから出てくる好きな芸人さんの
持ち時間が少なくなってしまうと思うので前説は苦痛そのものでしたね。
早く感じる五分もあれば、長く感じる五分も存在しますが、まぁ、長く
感じました。

 何組か面白いと思った芸人がいたのですが、一番面白かったのは
高田ぽる子さんでしたね。

 これは前説の芸人の話とも関連性があるのですが、高田ぽる子さんの
発声は決してきれいではない。しかし、丁寧にゆっくりと話すことで
その先のストーリーに入っていけます。無駄な脱線や不必要な枝葉は
なくて、このネタがどうなるのかという集中力だけが研ぎ澄まされていく
なかで思わぬ発想力とか想定外の小道具の使い方などもあり、予想を
外しながら、お笑いライブを見に来た私の期待を超えていく。

 ある意味、ギャリー・マッコイのライディングのようなもので、本来なら
リアタイヤをスライドさせて走ることはタイムロスにつながるかもしれないが
本人はこの走り方やタイヤの使い方で速く走ることができている。

 高田ぽる子さんのネタというのは重厚な古典落語とかよしもとの
劇場で育まれたきれいな漫才というものとはあきらかに違うのですが
彼女の感性を縦軸にして、お笑い脳を横軸にして話し方、小道具、
舞台のサイズを考えて笑いが生まれる支点、力点、作用点を考えて
笑いを生む最適解を脳みそから汗が出るほど考察した。

 そして、生まれた答えを具現化して見せた。そこはきれいな
ライディングではないが、本人の感性とライディングスタイルと
タイヤのコンディションと限界値を考えていいタイムをたたき出し、
一時はトップライダーの仲間入りをしたギャリー・マッコイにが優勝した
南アフリカやポルトガルの時の走りと考えが近いのかなと思いますね。

 ワン&オンリーの面白さというものを楽しみました。

 ラムズに関しては今回は漫才をやっていたのですが、テーマが忍者を
たたき台にしたものでした。そして、衣装はラムズのTシャツにジーパン。

 衣装が忍者のコスチュームだったら、ネタに入っていきやすかったのかな
と思いましたね。これはとりわけ彼女たちの女子プロレスラーとコーチ
という設定であったり、女子アナとゆるきゃらというテーマでのネタという
ものが見た目とネタが見事にマッチしている。今までに見てきた舞台での
二人は滝田栄のやる戦国武将や石黒賢の演じる医者のようなもので実に
見た目と設定がマッチしていたので、Tシャツにジーパンではなくて、
忍者の格好で出てきたら、見る側からするとストーリーに入って
いけたのかなと思いましたね。

 そるとさんは私は好きな芸人さんなんですが、今回のネタは高田ぽる子
さんのネタの時に感じたような意外性とか想定外のものが感じられずに
想定内でネタがおさまっていたように思いましたね。彼女には以前この
ブログで取り上げたようにネタにおけるコサキン成分とか山里亮太のような
言葉のチョイスにセンスや毒を感じているのですが、今回は意外性もなくて
毒も薄くて、一言でいうと残念でした。まぁ、毎回面白いネタをできる
わけでもないので、月曜日に19時以降の開演でも来場したお笑いマニア
の反応を見て、今後に生かして欲しいですね。彼女は優れたお笑い脳や
感性を持っていると信じています。

 有元さくら子さんはおそらく日常の中で作りやすいネタを作っていたと
思うのですが、これは短いスパンのなかで何度も見ると、さすがに飽きてくる。
納言の漫才のパターン化された東京の一部の地域をディスるネタというもの
が取り上げる地域が何度も聞いて一回りすると笑えないのと一緒ですね。

 このあたりはラムズが確かな演技力とか自らの身体的特徴を生かして
役割設定したことでリアリティがあり、舞台のサイズを考えて暴れると
同じネタであっても面白いし、その時によって多少の修正を加えることで
ネタが分厚くなる。同じネタを同じようにやられたり、似たようなネタを
いつも通りに演じられるとこちらは飽きてしまう。

 一つ、当ったネタや笑いを生み出したネタがあるのは素晴らしいこと
ですが、そればかりだったり、そのネタの亜流ばかりだと飽きてしまう。
今の世の中がコロナウィルスや株価や米中関係など世の中の大人は色々な
ことに目を向けて、日々生活している中で、JK社会のあるあるネタをやら
れても、すんなりとネタに入れない。女の子社会のあるあるネタでも
ちょーちんあんこーのような規格外のパワーや暴走であったり、ラムズの
ような演技力があれば入っていけるのですが、それがないと見ていて
つまらないと思ってしまいますね。これは彼女に限らず、私がネタの展開が
想定内であったり、毒が薄いなと思った芸人すべてに当てはまることでは
ありますが。

 ワン&オンリーのキャラクターと想定外の展開や小道具や部隊のサイズ
さえも自らのネタのワールドに引き込んでしまう高田ぽる子にある種の
ファンタジスタぶりを感じた一夜でした。

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