大阪城ホール大会でのタイトルマッチがテレビ朝日で放送されましたが
IWGPジュニアヘビー級タイトルマッチとヘビー級タイトルマッチの
二試合が放送されました。

 試合時間が長くなったヘビー級タイトルマッチでありながら、番組内容
としてはジュニアヘビーとヘビー級のタイトルマッチが放送された。
会場内の盛り上がりは結構あったようですが、テレビ的に一試合をじっくり
ということではなくて、二試合のテレビ的に盛り上がるところを放送するという
選択をテレビ朝日はしました。

 このことは内藤哲也とKENTAのテレビ朝日の評価が放送時間に表れて
いると思いますね。

 新日本プロレスの看板タイトルである試合で東京ドーム大会以降、
この大会、このタイトルマッチに盛り上がりがあったなかで会場は
満員になった。そして、ロングマッチにはなったものの、この試合や
マッチメイクで30分番組をこの一試合で埋めるということは難しい
という判断だったのでしょう。

 同時に考えられるのは四月の改編期でBS朝日で金曜日の夜8時という枠で
一時間番組での放送がある。地上波では満足できない。それでいて月額
1000円程度の金額での配信サービスに入ろうとは思っていないという
層にBS朝日での放送をぶつけていこうという策をテレビ朝日が考えている
のかなと思いますね。

 新日本プロレスの暗黒時代に何度も「ワールドプロレスリング」の放送
中止のうわさが流れた。しかしながら、テレビ東京の釣りの番組が全体
視聴率は低いが釣りファンは確実に見て、そこにコマーシャルを出したい
企業があって、番組が続いているように「ワールドプロレスリング」の
視聴率は低いがプロレスファン人口のかなりの部分が見ている。
そして、一つの会場での収録から地上波放送、衛星放送、DVDの商品化という
ワンソースマルチユースが図られることや歴史的にテレビ朝日と系列各局
との番組制作における結びつきが弱いなかで地方局に制作協力してもらえる
体制を保った方がいいという考えもあって、この番組は続いてきました。

 そんな歴史があるなかで今回の地上波放送はどんな内容になるのだろうか
と思い、テレビ朝日が内藤哲也とKENTAにどれぐらいの商品価値を感じていて
どれぐらいの時間をかけるのだろうかと思っていたのですが、この二人の
タイトルマッチで放送時間の全てをかけるのは難しいということになった
のだと思います。

 タイトルを防衛した内藤哲也にしても、敗れたKENTAにしても今後は
色々な仕掛けであったり、素晴らしい試合でないとなかなかテレビ朝日の
地上波での中継の画面には長い時間が出られないよという判断がされた
のかなという気がしてならないですね。内藤哲也に関しては一時期の
コンディションの不良の問題とかで激しい戦いが難しくなっている
のかなと思えますし、それはチャレンジャーだったKENTAにも言える。

 レスラー以外のファクターでこのヘビー級タイトルマッチが短い時間と
なったとするならば、考えられるのは流血戦になってしまい、基本的に
イメージが悪いから流血してからの長い試合は流したくないという
コンプライアンス的な部分が働いたのかなと思いますね。実際に内藤の
流血後はカメラが顔面のアップに行くことがなく、引いたショットが
多かった。

 昨今のコロナウィルスの問題で流血と感染症というものに地上波放送
のディレクションが敏感になって、あまり長い時間を流血している
ところを流したくない。あるいは番組イメージや局のイメージを悪化
させることになることは避けようという意思が番組制作サイドが
有していたのかなとも思います。

 「ワールドプロレスリング」制作側の色々な思惑や考えが透けて見えた
放送でした。

 

 

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