新宿V1でのライブでのお話の続きです。今回はターリーターキーの
たまはるかさんのネタに触れたいと思います。

 お笑いライブでコンビでしか見たことがない(伊藤那美さんがTBSラジオで
レポートをしていることを聴くことはある)私にとっては、たまはるかという
芸人が一人でどんなネタをするのかというのは、テニスのダブルススペシャ
リストやプロレスのタッグ屋がシングルマッチをやったときにどんな動き
や試合をするのか楽しみだと思うことと同じ気持ちを抱いていました。

 ネタに関して言えば、オーバー30の女性の思いであったり、つらさや
悲しさや毒の部分が出ていていて面白かったですね。

 プロレスに関して80年代後半ぐらいまでにあれはリアルな戦いでないから
認められないというリアル格闘技原理主義というか実力の測定を第一に
考えるという人がいる一方で、プロレスの内包する格闘技性と同時に
興行団体として観客や視聴者に受けるようなムーブや技というものを
含めてリアル格闘技ではありえない展開も含めてコミコミで楽しもうという
人がいました。

 今回のたまはるかさんのネタというのは彼女のリアルな叫びや悲しみ
の部分とお笑いのために作った設定や盛ったり、過剰にしたところなどが
あったのですが、これはプロレス内の格闘技性と興行団体として客を
ひきつけるためにやっている仕掛けだったり、客にダメージや効果を
わかりやすく見せるための過剰なムーブや技が合わさった、観客をヒート
させるいいプロレスラーのいい試合やファイトのように思えましたね。

 リアリティがないとネタに入っていけないが、悲しかったり悲惨だったり
暗さばかりに覆われたリアリティだと見る側は笑えなくて、濃度の高い
ドキュメンタリーになるわけで、毒や落差を内包するフィクションを
コーティングしてネタにした。リアルとフィクションのほどよい濃さの
ミクスチャーが内包されたパワーのあるネタが新宿の日曜日の夜に笑い
を求めてきていたお笑いグルメはたまはるかのピンネタという珍味を食べる
ことができて大きな笑いになっていたと思いますね。

 書くことが渋滞しているので、他の芸人さんに関することは稿を改め
たいと思います。

 
 

 

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