28日の午後は体が空いていたので、お笑いライブを見ようと思っていた
ところ、エルカブキ、街裏ピンク、ラムズなど私の好みの芸人さんが集まる
いいメンバーが出演だったのでチケットを抑えて中野小劇場へ
「今年のベストネタ発表会」というライブを見に行きました。

 今回のお目当ての一人はぺこぱでした。M1グランプリでの快進撃から六日。
あの衝撃からチケットを購入した人も多く、何と前売りで完売。中野小劇場には
お笑いグルメが集まっていました。

 今回のライブというのは芸人さんがたくさん出演するライブで今年の演じた
ネタで本人がベストだと思うネタを上演するというものでした。
それだけにネタのクオリティが高くほとんどの芸人さんが面白かったですね。

 今回のトリはぺこぱ。当然、彼らのベストネタというのはM1でのネタ
だったのですが、それに多少、加えたり削ったりしてこちらの期待を上回り、
予想を少々超えてくるものでした。

 私は彼らのネタを何度かライブで見ていて、最近では11月に新宿の
小規模会場で見ていました。
(その時のライブレポートはこちら
https://yasumarzo.diarynote.jp/201912020722109326/

 この11月の終わりの時でもかなり仕上がっていて面白かったのですが、
そこからテレビ朝日のスタジオという大きな空間を有効に使ったり、
ネタの細かい手直しや言葉のチョイスを考えたり、ボリューム感を出して
大爆発したのが先日のM1グランプリでした。

 ネタに関してはそういった修正や改良があったのですが、M1の後で
元オスカープロモーションの芸人が集まって、ぺこぱのことを応援して
いたところをyou tubeにアップしていました。
(https://www.youtube.com/watch?v=hiyEwrItNBk)

それを見て思い出したのは2012年のTHE MANZAIのアルコ&ピースの「忍者」というネタでした。

 あの時はすでに平子祐希には二人の子供がいた。業界評価はされているが
お笑いだけで稼ぐことが出来ていない状態で人生設計とか家庭のことを
考えると大当たりして売れないとお笑いを辞めて違う人生を歩むことを
考えなければいけないという状況だった。
 
 その中である種の土壇場の力が働き、架空の忍者をモチーフにした
ストーリーと現実の苦しい生活とをネタの中でシンクロさせて大きな
笑いを生み、観客を笑わせながら、審査している芸人や業界関係者を
爆笑させたのがあのネタでした。

 技術とかネタが好きな私なので、あまり苦労話やハングリーガッツという
ものが色濃く舞台に反映されるのは好きではないのですが、生活がかかって
地上波のゴールデンタイムでの出演で大きな勝負に出て、それに勝利して
生活環境を一変させたのが、あの時のアルコ&ピースでした。

 同じようなことは実はM1グランプリのぺこぱにも言えるところがあり、
今年の正月のおもしろ荘で優勝し、これから大躍進となるかと思いきや
優勝しなかったが、発想とリズム感のおもしろさで夢屋まさるさんのほうが
売れていき、ぺこぱの方は結果を出しながら経済的な利益にはそれほど
反映されなかった。

 さらに彼らが所属していたオスカープロモーションがバラエティ部門を
閉鎖してしまって、所属事務所がない状態となってしまった。

 事務所がないと、それまで開催していた事務所主催のライブがないから
当然、場数を踏むことができなくなりますし、自ら経験を積むために
ライブを主催するにしても法人だから契約できるところが不可能になる。

 よしもとや松竹が劇場を保有して、芸人が経験を積むことができるが
フリーだとそれができないというデメリットが明らかに存在する。

 そんななかでもがき苦しみながら、自らの能力と縁があって
サンミュージックでの所属が決まり、落ち着いて活動をすることができ
何とかのし上がろうというなかで色々なライブに出演して、作ったネタに
修正をかけたり、M1の予選での持ち時間に合わせてフレーズの増減を
して出来上がったネタというのが、日曜日のゴールデンタイムのテレビ
朝日の番組で観客と審査員に大きな衝撃を与え大爆笑をかっさらい、
高い評価を得たものでした。

 そのM1で衝撃から六日後のこの中野での舞台。ぺこぱを目当てにした
客も多かったと思うのですが、多くの客が見ていたテレビ朝日での画面上
でのネタからさらにボリュームアップして、舞台のサイズを有効活用して、
今までにないフレーズのチョイスなど手なおしを入れて予想を超えて
期待を上回り、館内が大爆笑になりました。

 彼らの深化と進化というものが見ることができてうれしかったですね。

 能力のある人がハングリーガッツを持ち、大当たりしたネタにさらに
改良を加えて面白くしようとする。生活に根差したハングリーさと
常に面白いネタを作りたい、ネタをよりよくしたいといういい意味での
欲深さというものが舞台から強いエネルギーを有して発信されていました。
(シュウペイさんの見た目からは欲深さは感じないのでしょうが、おそらく
大きな欲を持っているはず)

 ライブ終わりの最後の締めのあいさつでMCの方がこのライブのタイトルを
忘れて「えー、何だったっけ」なんて言っていましたが明らかにぺこぱの
ベストネタの発表会だったなと確信しています。

 

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