世界選手権での活動を辞めてしまうと、ライバルメーカーの開発が進んで
いる中で一年のブランクがあって、そこから追いつこうとするとかなり
大変なこととなる。メーカーのレース活動というのはエンジニアのやる気
だけでなくて、市販マシンベースの場合だと新型モデルが出るタイミング
であったり、メーカーや関係する部品供給メーカーとのつながりや協力も
ないといけないわけでいきなり世界選手権に戻ってくるのはリスクが大きすぎる。

 そんなことが十分に理解しているアプリリアは来年、イタリア選手権で
M2 RACINGと組みリッターバイクを走らせて、ワイルドカードで何戦か
スーパーバイク世界選手権を走り、2021年を見据えています。

 今季、スペイン選手権を走っていたクリストフ・ポンソンが来年、
どのカテゴリーで戦うのかというのはフランス人、スペイン人、イギリス人
が注目していたのですが、彼はアプリリアのリッターバイクでイタリア選手権
のスーパーバイククラスを戦うことを発表しました。そして、彼の活動は
イタリア選手権だけでなくて、スーパーバイク世界選手権のなかの
3レースを走ることが明らかになっています。
https://www.gpone.com/it/2019/11/29/sbk/tre-wild-card-per-christophe-ponsson-nel-2020-con-laprilia-rsv-4.html

 そして、同じチームで同じマシンをリカルド・ルッソが走らせることが
公表されました。
https://www.corsedimoto.com/in-pista/civ/civ-superbike-nuova-m2-racing-riccardo-russo/

 これは非常に楽しみですね。ヤマハの傑作バイクで走っていた経験を
持つフランス人とドゥカティで今季イタリア選手権を戦っていたイタリア人
がアプリリアに加入するとなると、ヤマハとドゥカティのどの部分が長所
であり、どういった特徴があるのかライダーが開発エンジニアに伝えることが
できる。

 そして、リカルド・ルッソというライダーはこのブログのファンの方々は
ご存知のようにストック600選手権時代に速さを見せて、将来の
スターライダー候補でした。

 しかしながら、彼はビッグスポンサーを有していない。持参金もない。
そして、そういったライダーはいいチームで走れなかったり、理想的な
条件での参戦体制で活動できなかったりする。

 リカルド・ルッソが下部カテゴリーのストック600選手権で素晴らしい才能
を見せて、マイケル・ファンデルマルクと激しいバトルでタイトルを争った
この二人が2010年台後半からの世界のレースシーンで戦う未来を感じて
いたのですが、オランダ人は予想を裏切らず素晴らしい成長を見せたが、
イタリア人は予想も期待も裏切り輝けなかった。

 そのリカルド・ルッソが持参金とかスポンサーといったことを考える
ことがなくて活動できるいい環境を得たのではないかと思いますね。

 アプリリアの来年からの活動と走る能力があるがスポンサーや持参金が
ないライダーがどんな輝きを見せるのか。イタリア選手権はミケーレ・ピッロ
がエースライダーとしてドゥカティ本社からの人的物的サポートを
受けながら戦っています。そこにアプリリアがライダー2人体制で
メーカーからの技術サポートを注いで打倒ドゥカティに心血を注ぎながら
近い未来のイタリア選手権の制覇を考えながら、少々先のスーパーバイク
世界選手権への復帰を考えるシーズンとなる2020年は面白いことが
イタリアのサーキットから発信されることでしょう。

 

  

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