書こうと思いながら、「MANZAI魂」を見に行った時の感想を書けて
いなかったので、書きたいと思います。

 好きな芸人が何組も出て、低料金で長時間楽しめるライブだった「MANZAI魂」
まさしく80年代の全日本プロレスを見ている私にとってはお笑い版の
「世界最強タッグ」だったのですが実力者がそろっていて面白かったですね。

 エル・カブキ、赤もみじ、根菜キャバレー、きつね、ポンループなど
私が面白いと思っていて、笑えるコンビが出演していたのですが、私が
面白かったのは錦鯉とぺこぱでした。

 お笑いに関して雑食属性があるので、色々な特性の芸人を面白がるの
ですが、錦鯉に関しては、見た目からして昭和の芸人を思わせるような
ところから、確かな構成とすぐれた話術とネタの面白さがあって、
かつて博多華丸・大吉が評価していたり、お笑い大好きなリスナーが
集う「マイナビラフターナイト」の月間チャンピオンを獲得するような
髙いレベルの面白さがあるのですが、ストレートな面白さと確かな技術が
あって面白かったですね。
https://natalie.mu/owarai/news/166801
https://www.tbsradio.jp/warai954/2019/07/index.html

 そして、今回少々の驚きを持ちながら、私を笑わせてくれたのは
ぺこぱでした。

 普通にボケとツッコミがあるのですが、そのツッコミでシンプルに終わらずに
ツッコんだ後にボケが入るという流れがあって、そのボケによって、ストーリー
がシンプルに終わらずに余韻と次の流れを生むような構成になっていました。

 私のようなイタリア語をやっていた人にとってはイタリア語では一つの単語に接頭詞がついたり、打消しの言葉や語尾に副詞化するような語を加えたりして、一つの単語ができるのことが頭の中に深く刷り込まれている。そんなイタリア語頭を持っている人に突き刺さるような展開だから、日本語とイタリア語を
ある程度のレベルで話せる日本語の能力とイタリア語頭を持っている人に
突き刺さると思います。

 また、いわゆるツッコミで一段落ではなくて、そこからボケを加えるような
流れというのは予定調和から外れていくので、きれいすぎることが嫌いな
人やライブ感を味わいたい人にとって非常に面白く感じる。ある意味、
じゃるじゃるが以前、M1グランプリで披露したネタを面白く感じるような
お笑い好きの人に受けると思いますね。

 野球のピッチャーで例えるならば、錦鯉のきれいな投球フォームから
繰り出される速いボールと大きく曲がる変化球にすごいという印象を抱く。
一方でぺこぱの場合は変則フォームから投げられたボールがホームベース
直前までこのボールだろうと思っていたら、そこから思わぬ曲がり方をして
この変化球はすごいなと思わせるところがありました。

 歴史教科書と参考書をじっくり読み込んで歴史の面白さを感じる人も
いれば、教科書と参考書は必要かもしれないけれど、つまらないものだと
思って歴史小説に歴史を知る楽しさを感じる人がいるように新宿のお笑い
の小さな(それ故に熱気が充満する)会場で月曜の夜という行きにくい
曜日と時間帯にあの場所に来場しようと考えたコアな歴史好きに刺さる
色々なアプローチの研究者やマニアの講義を見たような脳みそが活性化
するような時間を過ごしました。

 その今回取り上げた錦鯉とぺこぱですがM1グランプリの準決勝に
進出しています。この二組の面白さを知っている私は12月の終わりに
地上波のゴールデンタイムで日本中の方々が面白さを知ってくれたら
いいなと思っています。

 頑張っている人たちに頑張ってとは言わない。やりたいことをやって
私を楽しませて欲しいですね。

 他の面白い芸人さんに関しては稿を改めて取り上げたいなと思っています。

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