前日の金曜日は天気が持ったもてぎではあるが、どうも怪しい。
雨のレースというのは私的にはウェルカムだし、ライダーでも得意な人に
とってはいい天候ということになるので、かつてのロベルト・ロカテッリ
のような人は乗りたくないということになるのだろうが、それ以外の人
にとってはチャンスがめぐってくるということになると思う。

 ニコロ・ブレガと会う。彼は雨が好きということではないが、父親の
ダビデ・ブレガがそうであったように好きではないが、不得意ではなくて
乗りこなすということである。この世界には二世ライダーが多いが
ニコロ・ブレガもその一人で、関係者で言われているのは才能は父親より
上であり、楽しみであるというものだが、父親の三言語、母親のナタリーは
ドイツ人でドイツ語、イタリア語、英語、フランス語を話すが、どういう
わけか息子のニコロはイタリア語のみでそこの遺伝子は受け継いでいない。

 雨が強くなってきた時に思うのは、ここはホンダのサーキットであるという
ことであり、ホンダのサーキットというのは鈴鹿ともてぎであるという
ことである。

 F1のジュール・ビアンキの事故の記憶は薄れていない。ヘリコプターで
搬送するにもサーキット近辺がレースができる程度の雨量であっても
病院付近が大雨だとドクターヘリを飛ばせることができない。

 ビアンキのケースだと頭のダメージを考えてヘリコプターで移動しないという
ことだったかもしれないが、基本的に雨だと道路移動のスピードは遅くなる。
晴れていないとレースはできても色々な支障がでてきるのだが、ビアンキの
ことがあって、早期に赤旗とか、セッションを最初からキャンセルということ
はあるだろうと思う。

 実際に今年の鈴鹿八耐のウィークで土曜日開催のストック600の四時間耐久
が残り80分ほどでクラッシュするライダーが出てそこで赤旗になり、
そのままレース終了。私はプレスセンターにいたのですが、四時間耐久の後
にプレスセンターをでると普段は後ろに待機しているヘリコプターはなく、
サーキット付近も四日市も強い雨で、八耐のフリー走行やトップテントライ
アルは何とかできそうなコンディションではあったがフリー走行やトップ
テントライアルの時間帯にもドクターヘリは存在しない状態が続いて、
全てのセッションがキャンセルとなりました。

 まぁ、ビアンキの件がサーキットに雨での走行可否に影響を与えていると
は思いながら、関係者とどうなんだろうかと話を続ける。

 そんなところにやってきたのが、イゴール・アントネッリ。
ニコロ・アントネッリの父親なんですが、息子のフィジカルコンディションを
考えると体に負荷のかからないレインコンディションはウェルカムのようだ。

 アジアタレントカップのセッション中にバレンティーノ・ロッシと顔を
合わせる。運よく持ってきた本にサインを入れてもらい、写真も撮ることが
できた。彼が通る場所はすぐに人垣ができる中で、これは本当に運が良かった
と思う。

 ノーランのブースに行くとやってきたのがフランコ・バッタイーニ。
雨の土曜日のもてぎというとここでのグランプリ初開催の99年に彼が
250ccクラスでキャリア初のポールポジションをアプリリアで獲得
したことを思い出す。

 90年代前半から競争力を増してきたアプリリアであったが、雨には
マシン性能、キャラクターから弱いことやエースライダーのマックス・ビアッジ
がライダー生活の初めのころは雨が嫌いで走りたがらなかったから、
データがないからセットアップしようがないというような理由でアプリリアは
雨で弱かったがそのアプリリアでトップタイムを出したことやライダーの
フランコ・バッタイーニが前年まで戦闘力に乏しいヤマハの市販マシンで
戦っていたので、順位が能力に反映されていなかったことなどがあったが、
土曜日の雨のコンディションで新設されたFGFバッタイーニレーシング
という彼のために設立されたチームで彼が求めるセッティングや戦略が
認められて周りが動いてくれるチームでポールポジションを獲得したことは
かなりのサプライズだった。

 当時のイタリアでの放映権を持っていたのは国営のRAIだったのですが、
レポーターのマッシモ・アンジェレッティと共にチームのピットに入って
共に天気は雨で寒かったが一緒に熱さと多幸感を感じたことを思い出す。

 イタルトランスのピットの前に行くとジョバンニ・サンディが助けを求めて
いるので、話を聞く。息子でアジア選手権でドゥカティを走らせて小活躍
中のフェデリコ・サンディが歯というか歯の周りの神経が痛くて、病院を
探して欲しいという。サーキットの周りに外国語が通じる歯科医院があるとは
思えない。水戸のあたりでどうかなと思って、まずはネットで調べてみて
から、情報をまとめてきて渡すと話してここを離れる。

 大都市の東京や大阪なら簡単なことでもサーキットというのは大体
地方にあり、移動も大変なのは当然だが、こういうことがあった時に
対応が難しいということを実感する。同時に日本の地方都市が海外の企業を
誘致したい時に美しい山とか川を撮影してパンフレットを作ったり、企画書を
書くのだが、海外企業が求めているのは英語が通じる医療機関がどれだけ
あるのかとか海外から日本にやって来て住むことになる従業員の子供の
教育の問題などのことなのに、対応する場所がないから情報出しをしないのか、重要視する場所が違うのか海外企業が求めている情報を提供しないのは
問題だと改めて思う。

 ネットで調べて、土曜日でも診療していて英語が通じて水戸市内、あるいは
水戸から近いエリアの歯科医を調べるが、ここで大丈夫だろうと思えたのは
一件だけであった。場所は車で水戸駅から15分ほどの場所でこれを彼に
伝えに行くと、彼は英語情報で調べて遅い時間までやっていて、水戸駅から
歩いていける場所で近いからこちらの方がいいということで彼と同行するか
できなければ彼一人で出かけて、電話で連絡して病状などを私が通訳する
ということになった。

 土曜日ということでキャンペーンガールも徐々に集まってきた。パドックを
歩いていたら、ゴンガーシホさんと会う。そこにいたのがキャンペーンガール
なんですが、そばにいて楽しいでしょうと言われるが私の場合は女性の評価
は見た目だけでなくて、きれいであっても見ているだけでは楽しくない。
フーゾク店で一番カワイイ子がその店の売り上げナンバーワンとはならなくて、
見た目で劣っても客が喜んでくれることをしてくれたり、性的な技術を磨いて
高い満足度を提供してくれる人が客に喜ばれてカワイイ子よりも高い
売り上げを上げるということはよくあるわけで、キャンペーンガールと
一緒にいたり、カワイイ人とそばにいても楽しいとは限らない。

 AGVのブースに戻り、Moto2のセッションを見る。ニコロ・ブレガが
好調で楽しみだなと思ったら、見事に転んでしまった。調子がいいなとか
今回のレースは楽しみだなと思ったら、こういうことをしてしまうのが
彼が才能は認めながらも評価できないところである。

 場内実況が各クラスごとにアナウンサーと解説が変わるが映像で
ピエール北川さんが映るが誰かに似ているなぁと思ったらAV男優の森林原人
さんに似ていることに気がつく。レースアナウンサーにしてももAV男優も
やれる人の絶対数が少ないので顔の印象を持ちやすいのだろうが、かなり
似ているなぁと思ってしまった。ピエール北川さんに森林原人さんに
似ていますねと言ったらどういう感想を抱くのだろうか。

 カルロ・ペルナットの親父さんに会って、彼の著作を本人から買おうと
思って声掛けするが、ホテルに置き忘れたという。今日、もらわないと
日曜日の忙しい状況でもらい忘れるなんてことがあるから不安になる。
彼は明日は忘れないというが、果たしてどうなることやらである。

 イタルトランスのピットに行くと、フェデリコ・サンディはすでにサーキット
を出て病院に行ったという。まぁ、余裕を持ってピットに行ったが、
彼自身は予約の時間より早く到着して、枠に余裕があったら、少しでも早く
診察してもらおうという考えだったようだ。まぁ、一緒に出かけたらいいが
それが無理なら電話をかけてもらって、病状やらして欲しいことを説明
することになる。

 フォワードレーシングに出かける。長年世話になっているマウロ・ノッチョリ
と話す。小さい、軽い、それでいて安いというものは土産に最適なので
彼に100円ショップで買ったものを渡す。まぁ、重い、大きいものはもてぎ、
フィリップアイランド、セパンの三連戦というのはできるだけ荷物を少なく
したいということなので、渡す土産やプレゼントも考える必要性がある。

 彼は99年にチームカッパにいた時に渡した孫の手を今も使ってくれていると
いう。嬉しい限りであるが、レースのことに関して言うとかつてロッシ、
カピロッシといったライダーでワールドチャンピオンになった彼の能力は
高いものがあるが、彼の能力を発揮できていない体制だったり、若くて元気
はあるがマウロの深い解析だったり、話していることを理解できなくて
速く走ることができないのは極めて残念である。

 このあたりはこのスポーツの特徴でロッシ、カピロッシというライダーは
マウロ・ノッチョリを始めエンジニアグループの話すことが理解できて、
どこを修正したり何を加えればいいのか瞬時に知りえて、タイムや順位を
よくできたし、それ故にワールドチャンピオンになったのだが、現状の
チームフォワードのライダーはそれができていないから現状のタイムや順位
ということなんだろう。

 以前、私が手伝っていたチームインターモトで元世界チャンピオンの
ファビアン・フォレはK-Techのサスペンションエンジニアの言うことが
細かいところ、深いところまで理解できて細かいセッティングの変更が
可能でそのセッティングで高いレベルの話ができるが、チームメイトの
若手のフローリアン・マリノはある程度はわかるがフォレほどではなくて
それがデータ解析するとフォレはマシンのいいところを目いっぱい使って
いるが、それがマリノは全てのコーナーではできていなくて、7つのコーナー
でコンマ一秒遅いとそれが同じマシンでありながら、コンマ7から1秒の
タイム差に反映されてしまっていると話していたが、エンジニアが能力が
高くてライダーを速く走らせたいと思っていても、マシンの対する理解力
がないと宝のもちぐされとなってしまう。

 AGVのブースに戻ってフランチェスコ・レヴィとうだうだと話していた
ところにフェデリコ・サンディの到着した歯科医院から電話がかかってきたが
症状を説明できないとなると間違った理解で治療したり処方したりで医療事故
になったらまずいということや一度で治まることが二度三度とかかってしまう
のでまずいということを言われて、診療できないと言われてしまう。

 こういうことがあるかもしれないから、距離的には少々離れてしまうし、
土曜日の午後の診療時間が短いが英語が通じる場所を案内したが、彼は
水戸駅からのアクセスで症状の説明は携帯で話して、それを訳してもらって
何とかなるだろうと思っていたが、結果はまずい展開になってしまった。
まぁ、本人が選択したので納得はしていたが、関わった立場としては非常に
後味の悪い一連の展開ではあった。

 この土曜日に関しては、書きたいことが渋滞しているので稿を改めて
また書きます。

コメント