80年代のアダルトビデオの普及と業界の成長。それをとんでもない
パワーで牽引した村西とおる監督と周りのスタッフ、そして、二作しか
出演しなかったが、伝説のAV女優となった黒木香。あの何とも言えない
エネルギーとパワーを映像表現するというのは大変なことだと思うのですが、
それをネットフリックスという会社は莫大な予算とベストマッチと呼べる
キャストで可能にして、傑作を生みだしました。
本橋信宏さんという村西とおる監督と近い場所にいて、あの時代の
内幕を濃密に感じていた作家が書いた「全裸監督」というのは、80年代
の空気感を感じている人にとっては分厚く、重厚であるのですが
一気に読めてしまう作品でした。彼の以前発表した村西とおるが
北海道でビニール本を使って経済的な成功を収めて、そこから
さらに写真週刊誌の発行と休刊までを描いた「裏本時代」。
そして、刑期を終えて、これからはアダルトビデオの時代であることを
理解し、失敗を重ねながら、黒木香との出会いと作品の販売、成功と
挫折を書いた「AV時代」の二作品と重なる部分と書けなかったところと
補足する部分があり、あのころを思い出して読了したサブカル好きは多か
ったと思います。
その「全裸監督」を映像化するというのは、相当に難しいのだと思い
ましたが、大金持ちのところに、優れたクリエイターが集まり、
綿密に作品を作り、細部までこだわりを持ち、エネルギーやパワーが
集まったら、ものすごい作品が生まれますね。
私は映画でもテレビ番組でも雑食属性があるので、お金をかけた
超大作も好きな一方で、低予算で作られた傑作や佳作も認めるので
自身が大規模予算の大作作りに向いていないと口にしている林海象
監督の「夢見るように眠りたい」とか昨年、大変話題になった
上田慎一郎監督の「カメラを止めるな」も評価するのですが、
その一方で大きな予算で優れた演者と裏方を結集させて作る作品の
良さも理解しています。この「全裸監督」は優れた原作とネットフリックス
のビッグマネーによるキャスティングや細かい部分にいたるまでの
裏方の丁寧な仕事ぶりが映像に宿って、素晴らしい作品になりました。
まぁ、女性の観客が目を覆いたくなるような場面があったり、
個人的には村西とおるのことを考える上では「スクランブル」の発行と
半年程度の激動の中での編集活動停止に関する部分が描かれていなかったり
と見る側からすると少々の不足感がありますが、それであっても、この
作品が傑作であるのは間違いありません。
一つの作品を作るのに小問題も大問題も生じるのでしょうし、全ての
人が満足できるとは思えませんが、地上波、衛星放送というチャンネルや
日本の映画会社ができないことに立ち向かい、ネット配信というプラット
ホームだから描くことができるという土壌で、あの80年代のとんでもない
熱を映像化して、村西とおるという狂気に満ちた天才を時代背景や
業界の当時の常識や危うさやすごさと共に描いたのは素晴らしいし、
全ての俳優の演技がいいのですが、特に森田望智のチャンレジ精神と
演技がとにかくすごい。
そして、以前「いつかギラギラする日」が公開された時におすぎさんが
当時の名古屋テレビでこの作品を紹介した時に「この作品での木村一八君と
荻野目圭子ちゃんが本当に素晴らしいの。是非、劇場で見てほしいの。
この二人、テレビじゃ見られませんよ」と興奮しながら話していましたが、
色々な問題と業界環境の中でテレビなどで見られないピエール瀧の怪演が
見られるのもこの作品だからですね。
原作を読んでいたり、本橋信宏さんの今までの著作を読んでいる読者
の方には少しの不足感やある程度の不満感はあるかもしれませんが、
傑作だと思いますね。
パワーで牽引した村西とおる監督と周りのスタッフ、そして、二作しか
出演しなかったが、伝説のAV女優となった黒木香。あの何とも言えない
エネルギーとパワーを映像表現するというのは大変なことだと思うのですが、
それをネットフリックスという会社は莫大な予算とベストマッチと呼べる
キャストで可能にして、傑作を生みだしました。
本橋信宏さんという村西とおる監督と近い場所にいて、あの時代の
内幕を濃密に感じていた作家が書いた「全裸監督」というのは、80年代
の空気感を感じている人にとっては分厚く、重厚であるのですが
一気に読めてしまう作品でした。彼の以前発表した村西とおるが
北海道でビニール本を使って経済的な成功を収めて、そこから
さらに写真週刊誌の発行と休刊までを描いた「裏本時代」。
そして、刑期を終えて、これからはアダルトビデオの時代であることを
理解し、失敗を重ねながら、黒木香との出会いと作品の販売、成功と
挫折を書いた「AV時代」の二作品と重なる部分と書けなかったところと
補足する部分があり、あのころを思い出して読了したサブカル好きは多か
ったと思います。
その「全裸監督」を映像化するというのは、相当に難しいのだと思い
ましたが、大金持ちのところに、優れたクリエイターが集まり、
綿密に作品を作り、細部までこだわりを持ち、エネルギーやパワーが
集まったら、ものすごい作品が生まれますね。
私は映画でもテレビ番組でも雑食属性があるので、お金をかけた
超大作も好きな一方で、低予算で作られた傑作や佳作も認めるので
自身が大規模予算の大作作りに向いていないと口にしている林海象
監督の「夢見るように眠りたい」とか昨年、大変話題になった
上田慎一郎監督の「カメラを止めるな」も評価するのですが、
その一方で大きな予算で優れた演者と裏方を結集させて作る作品の
良さも理解しています。この「全裸監督」は優れた原作とネットフリックス
のビッグマネーによるキャスティングや細かい部分にいたるまでの
裏方の丁寧な仕事ぶりが映像に宿って、素晴らしい作品になりました。
まぁ、女性の観客が目を覆いたくなるような場面があったり、
個人的には村西とおるのことを考える上では「スクランブル」の発行と
半年程度の激動の中での編集活動停止に関する部分が描かれていなかったり
と見る側からすると少々の不足感がありますが、それであっても、この
作品が傑作であるのは間違いありません。
一つの作品を作るのに小問題も大問題も生じるのでしょうし、全ての
人が満足できるとは思えませんが、地上波、衛星放送というチャンネルや
日本の映画会社ができないことに立ち向かい、ネット配信というプラット
ホームだから描くことができるという土壌で、あの80年代のとんでもない
熱を映像化して、村西とおるという狂気に満ちた天才を時代背景や
業界の当時の常識や危うさやすごさと共に描いたのは素晴らしいし、
全ての俳優の演技がいいのですが、特に森田望智のチャンレジ精神と
演技がとにかくすごい。
そして、以前「いつかギラギラする日」が公開された時におすぎさんが
当時の名古屋テレビでこの作品を紹介した時に「この作品での木村一八君と
荻野目圭子ちゃんが本当に素晴らしいの。是非、劇場で見てほしいの。
この二人、テレビじゃ見られませんよ」と興奮しながら話していましたが、
色々な問題と業界環境の中でテレビなどで見られないピエール瀧の怪演が
見られるのもこの作品だからですね。
原作を読んでいたり、本橋信宏さんの今までの著作を読んでいる読者
の方には少しの不足感やある程度の不満感はあるかもしれませんが、
傑作だと思いますね。
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