2019鈴鹿八耐ドタバタ日記その三。
2019年7月30日 スポーツ 台風も去り、どう考えても酷暑となりそうな日曜日の朝。例によって
近鉄で出かけると、明らかに金曜、土曜とは観客数が違うなと思える。
白子駅に着くと、時間帯的に前の電車でやってきたであろう人がバスを
待っている。10年前のような客数ではなくて、30年前のような動員数に
近づいていることを感じる。
サーキットに入り、フリープラクティスが終わりピットウォークが
始まる。これだけ暑くなると当然のことながらキャンペーンガールの
露出度も高まるし、客数が多いから、PR活動に積極的になるのはよくわかる。
開会セレモニーがあり、ピットがオープン。サイティングラップが終わり
ダミーグリッド上にマシンとライダーが集まる。
熊本での天災で大きな被害を受けた年の鈴鹿では当時のFIMの会長の
ヴィット・イッポリート氏が何と日本語でお悔やみを申し上げて、その
悲しみや苦しみがある日本で世界格式のレースが行なわれることに謝意を
口にするということがあり、その会長がダミーグリッド上にやってきた時に
お話しする機会があり、私は御礼を申し上げたとこがあった。
鈴鹿八耐や日本グランプリの際にお話する時間があり、私とは
英語でもスペイン語でもなく、イタリア語で会話していた会長の姿が
なく、新しい会長となっていることに寂しさを感じる。
まぁ、長期政権とか老害ということに気を配り、後進に今後をお任せする
ということはある種醜い姿をさらけ出すことがないわけで、勇気とか
先進性というものをおもちなのかななどと思っていると、サーキットに
新会長がいらっしゃるらしい。前会長が観客動員やレースの面白さを
口にしていたが、この鈴鹿八耐の重要度というものをお考えなのかなと
思う。
ライダーにはレース前に極度に緊張する人もいれば、そうでない人も
いたり、緊張をほぐすためにえげつない下ネタを話すような人もいるのだが、
シルヴァン・ギュントリを目にして、そういえば彼のグランプリ時代の初の
表彰台はここの雨の鈴鹿でカンペテッラレーシングでアプリリアの250を
走らせていたときのものだったなぁなんてことを思い出し、そのことを
話そうとするが、明らかに緊張感が強くなっているので、bonne chance
(英語だとgood luckの意味)とだけ話して、他のグリッドへと行く。
土曜日が雨のため、ピットや仮設オフィスに入り浸りになってしまった
ため話したり、挨拶できなかった旧知のライダーと会って、激励する。
昨年のGMTヤマハで走っていたダビデ・チェカには難しいが今回のレースで
世界王者になるチャンスがある。彼の勝ったレースは記録にも記憶にも
残るレースがあるが、今回はどうなるのだろうか。緊張とリラックスの
ほどよいバランスを考えている耐久レースの名手は私を見ると、くだけた
会話をすることとなった。
セバスチャン・ジャンベールとランディ・ドゥピュニエは今回ホンダ系の
チームでの走行。何度もここにやってきて、このコースの面白さと厳しさを
知っている二人というのは割にリラックスしている様子で、できうる限りの
最良の成績を残したいと言ってくれた。
今回でチームマネージャーが引退となるSERTはここでのタイトルがかかって
いるが、それほどダミーグリッド上はしんみりとした様子はなく、目の前の
ことに集中しているようで、ヴァンサン・フィリップもいつもの様子だった。
彼は自然体であることとか平常心というものがいい成績だったりタイムを
出すことだと以前から考えているようなので、あまりパドックで歩いて
いるときとの違いを感じない。まぁ、ベテランの域に入ってきて、場数を
踏んでいるから、精神的にも安定しているのだろう。
ニコロ・カネパと会い、おきれいなチェコ人の彼女はヤマハのウェアを
着てグリッドガールをしている。昨日、会ったときは彼女は座っていたので
気がつかなかったのだが、まぁ、腰の位置が高くて膝から下が長いのには
驚く。ビッグメーカーが自社のイメージをアップするのに美的レベルの
低い人を選ぶことはないので、その他のヤマハのキャンペーンガールも
きれいだったり、かわいいのだが彼女の美貌は明らかに際立っている。
まぁ、このジェノバ出身のライダーは職業上の成長と同時に色々なものを
手に入れることができているのだろう。
準備が進み、サンプラザ中野君の国歌斉唱の準備が始まり、私はプレス
センターへと戻る。今回のユーロスポート2の放送でイタリアはアレッシオ・
ピアナ、チェコはヨゼフ・クビシェックが解説を担当している。まぁ、
色々な繋がりと現在の立ち位置があり、今回ここに来ていない彼らに
グリッド上で得たネタを送信しているうちにレース開始が近づく。
レース序盤はヨシムラスズキのギュントリとYARTのカネパの頑張りが
目を引いた。ヤマハ、ホンダ、カワサキのバイクとは明らかにお金のかかり方
使われているリソースなどが違って、フルファクトリーの三台とはもっと
タイム差が生じるのだろうと思っていたら、想像ほどタイム差がないのは
ギュントリやカネパが好きだったり、過去に近い場所にいた私にとっては
うれしいことであった。
前日にカネパと会った時に『ヤマハのマシンで同じ型番のマシンであっても
tech21の三人のマシンと君のマシンは内部の手の入り方が大違いだから、
彼らが2分5秒台に入れてくるのは簡単とまではいかないが、難しいこと
ではない。しかし、同じR1ながら君のバイクで2分6秒フラットや前半まで
持って来て、そのタイムを落とさないのはこれはもう君が優秀だという
証拠だと思う。』というと彼は大変満足していました。その彼がいいタイムで
ファクトリー三台にそれほど大きく引き離されないのは立派だと思う。
最初のスティントでギュントリとカネパの走りに感銘を受けながら、
フルファクトリーのカワサキ、ホンダ、ヤマハのトップ争いが激しくなり
面白さを増す。驚いたのはホンダが燃費の良さを利して、セーフティーカー
が入ったこともあり、一回目の路面温度が高い状態でロングラン作戦を
取ってきたことがあり、これがどういうことになるのか多くのファンや
関係者が考え始める。
そして、レース中盤になるとカワサキがトプラック・ラスガトリィオグル
が四回目のスティントになっても走らない。果たしてこれは何を意味する
のだろうか。
以前、私は北川圭一と新垣敏之はほぼ同等の速さをもっているのではないか
と考えていたのですが、その年の一年を通してスズキのリッターバイクを
走らせていた北川と鈴鹿だけ走ることになった新垣の二人では大体、
4秒ほどの差があった。
ライダーの慣れがあったり、好みの重量バランスやセットアップなどが
あって、チームによって誰であっても乗りやすいセットアップを考える場合と
一人のライダーの好みのセットアップにして、もう一人はライディング
スタイルが異なったり、好みではないセットアップでも同僚に合わせて
何とか走るという決定を下すチームもあって、北川の好みや乗りやすさを
重要視して、新垣は何とか合わせるというようなことで本来の走りができずに
四秒差がついていたと想像するが、ライダーが二人体制ではなくて、三人
体制となると、セットアップの好み、ライダーの体格の違いなどで
すり合わせがかなり難しくなる。その三人体制だと体力消耗では
有利かもしれないが、セットアップでは難しいということだと二人体制に
したり、登録ライダーは三人だが決勝では二人で戦うということもありえる。
トルコ人ライダーが走っていないということはカワサキ陣営は燃費で
ホンダに劣るが、違う勝負手を考えてきているのだろうと想像する。
様々な想像と深読みがプレスセンターに漂うなかで、三台のファクトリー
バイクだけが同一周回で周回を重ねていく。カワサキが前回優勝したのは
まだNHKBSが放送していて、メーカー名は言葉にするがチームのタイトル
スポンサー名を言わない時期のことであった。そんな時代ではレース開始間
もない時期にコースアウトやマシントラブルがあって、リタイヤするチームも
かなりあったのだが、今回の鈴鹿はそれが少ない。そうなると、周回遅れ
のマシンの抜き時であったり、後半の暗くなってからの最後の一時間などで
多くのマシンが走っていたり、固まっていたり、ラップタイムが三秒以内
のような追い抜くのにちょっとてこずるような展開となった時に勝敗を
左右するのではないかと思えてくる。トップチームもここまでリタイヤが
少ないのは想像できなかったのではないだろうか。また、コースアウトしても
何とか再スタートできているライダーも多いのが気になる。
そんなことを思いながら、想定内のこととが多いながら、想定外のことが
少ないレースが終盤に進み、カワサキがトップに立って、これで優勝かな
と思ったら、周回遅れと絡みそうになった一件があり、さらにSERTの
残り時間僅かになりながら、オイルをぶちまけながらようやくコースオフして
マシンを止めて、シリーズチャンピオンの行方が大きく変わったり、
残り2分を切ったところでジョナサン・レアがオイルに乗っかって激しく
クラッシュして赤旗となり、レース成立。
レース終了後の表彰式のセレモニーの準備はtech21ヤマハ、レッドブル
ホンダ、FCCテクニカルスポーツホンダの三チームが表彰台に上り表彰を
受けたが、これはあくまでも暫定の結果で、テレビ放映であったり、
タイムスケジュールの関係で暫定でも決められたことをやるためのもので
実際に暫定結果が公式結果となるのかはまだわからない。
ヤマハ陣営のピットでヤマハのキャンペーンガールが優勝Tシャツを着て
笑顔を振りまきながら、一番だと指を立てている映像を見て嫌な気持ちになる。
彼女達が能動的にやっているのではなくて、偉い人や権力のある人に
命令されてやらされているのかもしれないがやらすのはまだ早いのではないか
と思いながら、どうなるのか思案しているところに現れたのがフランス人
ジャーナリストの我が友ミッシェル・トゥルコ。
彼と話して暫定結果が公式となるのだろうかと尋ねると言葉を濁し、どんな
ことになっても相当な議論があるだろうから時間はかかると思うと言われる。
この時点でわかっていること、知っていることなどをイタリア人とチェコ人
にメッセージで送る。
まぁ、喜んでいる人もいるが、当然カワサキのファンの多くは怒って
いたり失望しながらグランドスタンドから帰っていく。
どんなレース展開でも勝ちは勝ちであり、喜ぶのかもしれないが、レースの
世界で楽しいこともあれば、辛いことも味わったことがある人に宿っている
のは怒り、困惑、悲しさ、辛さがまざった感情であった。
果たしてこのレースの公式発表はいつどんな形で行なわれて、暫定
結果がオフィシャリーなものになるのか。ただ一つ、ダビデ・チェカが
泣きながら今シーズンのタイトル獲得の喜びを分かち合っている姿だけが
私の心を多少は和ませてくれて、ひたすらスマートフォンを眺めながら
帰宅する。
帰宅後、裁定はレアがクラッシュする前の周のタイムで順位を確定とする
という発表がされて、チームは二位と三位のチームが不在のなかで報道用に
表彰台に立って、それが世界中のレースファンに届けられたが、これも
まだ暫定結果。公式結果は月曜日に発表になるということで、なんとも
後味の悪さが残る今年の鈴鹿八耐であった。今年は花火を見ても何とも
心から楽しめなかった。ただ、多くの友人、知人に会えて楽しい週末を
過ごすことができただけにルールとか基準とかレースの結末がああいった
形でありながら、指を立って喜んでいるキャンペーンガールの姿とか
疲れた脳みそのなかで沈殿する重い気持ちが日付が変わっても切り替える
ことができない私だった。
近鉄で出かけると、明らかに金曜、土曜とは観客数が違うなと思える。
白子駅に着くと、時間帯的に前の電車でやってきたであろう人がバスを
待っている。10年前のような客数ではなくて、30年前のような動員数に
近づいていることを感じる。
サーキットに入り、フリープラクティスが終わりピットウォークが
始まる。これだけ暑くなると当然のことながらキャンペーンガールの
露出度も高まるし、客数が多いから、PR活動に積極的になるのはよくわかる。
開会セレモニーがあり、ピットがオープン。サイティングラップが終わり
ダミーグリッド上にマシンとライダーが集まる。
熊本での天災で大きな被害を受けた年の鈴鹿では当時のFIMの会長の
ヴィット・イッポリート氏が何と日本語でお悔やみを申し上げて、その
悲しみや苦しみがある日本で世界格式のレースが行なわれることに謝意を
口にするということがあり、その会長がダミーグリッド上にやってきた時に
お話しする機会があり、私は御礼を申し上げたとこがあった。
鈴鹿八耐や日本グランプリの際にお話する時間があり、私とは
英語でもスペイン語でもなく、イタリア語で会話していた会長の姿が
なく、新しい会長となっていることに寂しさを感じる。
まぁ、長期政権とか老害ということに気を配り、後進に今後をお任せする
ということはある種醜い姿をさらけ出すことがないわけで、勇気とか
先進性というものをおもちなのかななどと思っていると、サーキットに
新会長がいらっしゃるらしい。前会長が観客動員やレースの面白さを
口にしていたが、この鈴鹿八耐の重要度というものをお考えなのかなと
思う。
ライダーにはレース前に極度に緊張する人もいれば、そうでない人も
いたり、緊張をほぐすためにえげつない下ネタを話すような人もいるのだが、
シルヴァン・ギュントリを目にして、そういえば彼のグランプリ時代の初の
表彰台はここの雨の鈴鹿でカンペテッラレーシングでアプリリアの250を
走らせていたときのものだったなぁなんてことを思い出し、そのことを
話そうとするが、明らかに緊張感が強くなっているので、bonne chance
(英語だとgood luckの意味)とだけ話して、他のグリッドへと行く。
土曜日が雨のため、ピットや仮設オフィスに入り浸りになってしまった
ため話したり、挨拶できなかった旧知のライダーと会って、激励する。
昨年のGMTヤマハで走っていたダビデ・チェカには難しいが今回のレースで
世界王者になるチャンスがある。彼の勝ったレースは記録にも記憶にも
残るレースがあるが、今回はどうなるのだろうか。緊張とリラックスの
ほどよいバランスを考えている耐久レースの名手は私を見ると、くだけた
会話をすることとなった。
セバスチャン・ジャンベールとランディ・ドゥピュニエは今回ホンダ系の
チームでの走行。何度もここにやってきて、このコースの面白さと厳しさを
知っている二人というのは割にリラックスしている様子で、できうる限りの
最良の成績を残したいと言ってくれた。
今回でチームマネージャーが引退となるSERTはここでのタイトルがかかって
いるが、それほどダミーグリッド上はしんみりとした様子はなく、目の前の
ことに集中しているようで、ヴァンサン・フィリップもいつもの様子だった。
彼は自然体であることとか平常心というものがいい成績だったりタイムを
出すことだと以前から考えているようなので、あまりパドックで歩いて
いるときとの違いを感じない。まぁ、ベテランの域に入ってきて、場数を
踏んでいるから、精神的にも安定しているのだろう。
ニコロ・カネパと会い、おきれいなチェコ人の彼女はヤマハのウェアを
着てグリッドガールをしている。昨日、会ったときは彼女は座っていたので
気がつかなかったのだが、まぁ、腰の位置が高くて膝から下が長いのには
驚く。ビッグメーカーが自社のイメージをアップするのに美的レベルの
低い人を選ぶことはないので、その他のヤマハのキャンペーンガールも
きれいだったり、かわいいのだが彼女の美貌は明らかに際立っている。
まぁ、このジェノバ出身のライダーは職業上の成長と同時に色々なものを
手に入れることができているのだろう。
準備が進み、サンプラザ中野君の国歌斉唱の準備が始まり、私はプレス
センターへと戻る。今回のユーロスポート2の放送でイタリアはアレッシオ・
ピアナ、チェコはヨゼフ・クビシェックが解説を担当している。まぁ、
色々な繋がりと現在の立ち位置があり、今回ここに来ていない彼らに
グリッド上で得たネタを送信しているうちにレース開始が近づく。
レース序盤はヨシムラスズキのギュントリとYARTのカネパの頑張りが
目を引いた。ヤマハ、ホンダ、カワサキのバイクとは明らかにお金のかかり方
使われているリソースなどが違って、フルファクトリーの三台とはもっと
タイム差が生じるのだろうと思っていたら、想像ほどタイム差がないのは
ギュントリやカネパが好きだったり、過去に近い場所にいた私にとっては
うれしいことであった。
前日にカネパと会った時に『ヤマハのマシンで同じ型番のマシンであっても
tech21の三人のマシンと君のマシンは内部の手の入り方が大違いだから、
彼らが2分5秒台に入れてくるのは簡単とまではいかないが、難しいこと
ではない。しかし、同じR1ながら君のバイクで2分6秒フラットや前半まで
持って来て、そのタイムを落とさないのはこれはもう君が優秀だという
証拠だと思う。』というと彼は大変満足していました。その彼がいいタイムで
ファクトリー三台にそれほど大きく引き離されないのは立派だと思う。
最初のスティントでギュントリとカネパの走りに感銘を受けながら、
フルファクトリーのカワサキ、ホンダ、ヤマハのトップ争いが激しくなり
面白さを増す。驚いたのはホンダが燃費の良さを利して、セーフティーカー
が入ったこともあり、一回目の路面温度が高い状態でロングラン作戦を
取ってきたことがあり、これがどういうことになるのか多くのファンや
関係者が考え始める。
そして、レース中盤になるとカワサキがトプラック・ラスガトリィオグル
が四回目のスティントになっても走らない。果たしてこれは何を意味する
のだろうか。
以前、私は北川圭一と新垣敏之はほぼ同等の速さをもっているのではないか
と考えていたのですが、その年の一年を通してスズキのリッターバイクを
走らせていた北川と鈴鹿だけ走ることになった新垣の二人では大体、
4秒ほどの差があった。
ライダーの慣れがあったり、好みの重量バランスやセットアップなどが
あって、チームによって誰であっても乗りやすいセットアップを考える場合と
一人のライダーの好みのセットアップにして、もう一人はライディング
スタイルが異なったり、好みではないセットアップでも同僚に合わせて
何とか走るという決定を下すチームもあって、北川の好みや乗りやすさを
重要視して、新垣は何とか合わせるというようなことで本来の走りができずに
四秒差がついていたと想像するが、ライダーが二人体制ではなくて、三人
体制となると、セットアップの好み、ライダーの体格の違いなどで
すり合わせがかなり難しくなる。その三人体制だと体力消耗では
有利かもしれないが、セットアップでは難しいということだと二人体制に
したり、登録ライダーは三人だが決勝では二人で戦うということもありえる。
トルコ人ライダーが走っていないということはカワサキ陣営は燃費で
ホンダに劣るが、違う勝負手を考えてきているのだろうと想像する。
様々な想像と深読みがプレスセンターに漂うなかで、三台のファクトリー
バイクだけが同一周回で周回を重ねていく。カワサキが前回優勝したのは
まだNHKBSが放送していて、メーカー名は言葉にするがチームのタイトル
スポンサー名を言わない時期のことであった。そんな時代ではレース開始間
もない時期にコースアウトやマシントラブルがあって、リタイヤするチームも
かなりあったのだが、今回の鈴鹿はそれが少ない。そうなると、周回遅れ
のマシンの抜き時であったり、後半の暗くなってからの最後の一時間などで
多くのマシンが走っていたり、固まっていたり、ラップタイムが三秒以内
のような追い抜くのにちょっとてこずるような展開となった時に勝敗を
左右するのではないかと思えてくる。トップチームもここまでリタイヤが
少ないのは想像できなかったのではないだろうか。また、コースアウトしても
何とか再スタートできているライダーも多いのが気になる。
そんなことを思いながら、想定内のこととが多いながら、想定外のことが
少ないレースが終盤に進み、カワサキがトップに立って、これで優勝かな
と思ったら、周回遅れと絡みそうになった一件があり、さらにSERTの
残り時間僅かになりながら、オイルをぶちまけながらようやくコースオフして
マシンを止めて、シリーズチャンピオンの行方が大きく変わったり、
残り2分を切ったところでジョナサン・レアがオイルに乗っかって激しく
クラッシュして赤旗となり、レース成立。
レース終了後の表彰式のセレモニーの準備はtech21ヤマハ、レッドブル
ホンダ、FCCテクニカルスポーツホンダの三チームが表彰台に上り表彰を
受けたが、これはあくまでも暫定の結果で、テレビ放映であったり、
タイムスケジュールの関係で暫定でも決められたことをやるためのもので
実際に暫定結果が公式結果となるのかはまだわからない。
ヤマハ陣営のピットでヤマハのキャンペーンガールが優勝Tシャツを着て
笑顔を振りまきながら、一番だと指を立てている映像を見て嫌な気持ちになる。
彼女達が能動的にやっているのではなくて、偉い人や権力のある人に
命令されてやらされているのかもしれないがやらすのはまだ早いのではないか
と思いながら、どうなるのか思案しているところに現れたのがフランス人
ジャーナリストの我が友ミッシェル・トゥルコ。
彼と話して暫定結果が公式となるのだろうかと尋ねると言葉を濁し、どんな
ことになっても相当な議論があるだろうから時間はかかると思うと言われる。
この時点でわかっていること、知っていることなどをイタリア人とチェコ人
にメッセージで送る。
まぁ、喜んでいる人もいるが、当然カワサキのファンの多くは怒って
いたり失望しながらグランドスタンドから帰っていく。
どんなレース展開でも勝ちは勝ちであり、喜ぶのかもしれないが、レースの
世界で楽しいこともあれば、辛いことも味わったことがある人に宿っている
のは怒り、困惑、悲しさ、辛さがまざった感情であった。
果たしてこのレースの公式発表はいつどんな形で行なわれて、暫定
結果がオフィシャリーなものになるのか。ただ一つ、ダビデ・チェカが
泣きながら今シーズンのタイトル獲得の喜びを分かち合っている姿だけが
私の心を多少は和ませてくれて、ひたすらスマートフォンを眺めながら
帰宅する。
帰宅後、裁定はレアがクラッシュする前の周のタイムで順位を確定とする
という発表がされて、チームは二位と三位のチームが不在のなかで報道用に
表彰台に立って、それが世界中のレースファンに届けられたが、これも
まだ暫定結果。公式結果は月曜日に発表になるということで、なんとも
後味の悪さが残る今年の鈴鹿八耐であった。今年は花火を見ても何とも
心から楽しめなかった。ただ、多くの友人、知人に会えて楽しい週末を
過ごすことができただけにルールとか基準とかレースの結末がああいった
形でありながら、指を立って喜んでいるキャンペーンガールの姿とか
疲れた脳みそのなかで沈殿する重い気持ちが日付が変わっても切り替える
ことができない私だった。
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