台風の影響で朝からテレビは悪天候による影響の話題ばかりである。
幸いなことに近鉄は動いているのでサーキットへ向かう。大雨となると
以前、もてぎでの日本グランプリでサーキットも大雨だが、ヘリポートの
ある病院のエリア、およびその病院ともてぎまでの空路が雨や霧で
ドクターヘリが飛べないということで丸一日セッションキャンセルに
なった時のことを思い出す。

 雨が降って、少し雨脚が弱くなり、その後強くなって、再び霧雨になり
またしても雨粒が太くなり、風も強くなりの繰り返しのなかでサーキット
到着。四時間耐久は予定通り行なわれるが、ウェットコンディションでの
レースとなった。

 金曜日に会いたかった昨年GMTで走っていたニコロ・カネパや
ダビデ・チェカ、マイク・ディメリョといった連中と会っていないし、
ほぼ毎年、この鈴鹿で会うフランス人の耐久で活躍しているライダーとも
顔を合わせていない。まぁ、どうしても、雨となるとピット内か
仮設オフィスにこもってしまうから、仕方ないとは言えるがさみしいものが
ある。

 そんなわけで、時間があるのでブログをアップしながら、今週末の
イタリア選手権の情報を拾いながら、四時間耐久を見るが、これが
残り1時間20分ほどで雨が強くなってきたところで立て続けにクラッシュが
あり、赤旗が出されてレースフィニッシュとなった。

 パドックを歩いていると、アプリリアのウェアを着ている二人組みの
イタリア人と会う。昨年もだが、今回チームスガイでアプリリアを走らせる
ダニエーレ・ベギーニとそのスタッフである。イタリア選手権のスーパーバイク
クラスでのアプリリアの活動というのは実質的にワークスでの戦いでドゥカティ
に対抗していこうとしているので、かなりの物量作戦を感じるのだが、
日本での状況を考えると大きな違いがあり、BMWもそうだが、イタリアとの
大きな違いを感じる。そんなことやマウリッツィオ・ビターリは来ているのか
などを話す。

 まぁ、マウリッツィオが来たときというのはヤマハがポル・エスパルガロを
引っ張って勝ちに来ていたわけで、このAGVユーザーが来るなら、ヘルメット
メンテナンスで彼も来ることになり、そうすると私も言わば週末は
トラベルマネージャーの役割をすることになるのだが、今年は有力な
AGVユーザーライダーが不在であり、なおかつ、息子のルカ・ビターリが
同じ週の開催であるイタリアのミザノでのレースがある。子供のマネージメント
で付きっ切りになるのだろう。

 BMWのチームが固まっているエリアのピットでジーノ・レアと会う。
このブログを2010年代の初めからごらんの方は彼がステップレーシング
チームでホンダのマシンでスーパースポート世界選手権を走っていた時
のことをご存知だと思いますが、今年はイギリス選手権を戦いながら、
話がまとまった耐久のチームでの活動を並行するということになった。
そんなわけでマシンの規模は小さいながらも彼の能力の高さで意外な
速さを見せている彼と話す機会を持てたが、乗りやすいということが
タイムや順位に直結しているようだ。

 以前、クリスティアーノ・ミッリョラーティと話していたときに
どういうマシンが彼にとってのベストマシンなのかと尋ねたことがあったが、
彼にとって乗りやすいというのがベストマシンだと言っていました。
馬力がありがクセの強いじゃじゃ馬を乗るのが難しいことであったり、
乗り手の意思を感じてくれて、それに従ってくれる競走馬がジョッキーに
取っていい馬であるのが競馬の世界であるのでしょうが、ミッリョラーティ
にとって、いいマシンというのは乗りやすいバイクだということで
それだから、ライダーが燃料が多いときでも、少なくなってきても
捜査がしやすく、タイヤが新品状態でも磨耗してきてもクセがなくて
扱いやすく、操作性に秀でているのがいいバイクでタイムが出しやすく
安定的にいいリズムで走ることができる。

 ジーノ・レアにとって、今回の鈴鹿で走っているマシンは基本性能の
部分で扱いやすいバイクでいいリズムで走らせることができるようだ。

 その彼がレース後に時間があるので、名古屋でオフタイムとなるが、
どこがお勧めか尋ねられて、大須のエリアを推奨する。

 全ての新しいものと古くから存在するものが混在し、商店街の良さ
や名古屋の独特の空気感を濃密に感じられるエリアが大須だと思う。
かつて、バレンティーノ・ロッシがアプリリアからホンダに移って
走っていた二年間というのは、パトリッツィオ・カントゥ始め、
ナストロアッズーロアプリリアのスタッフがかなり関わっていて、
私と近い関係にあったのだが、彼らを大須に連れて行って楽しい時間を
過ごして喜んでいたし、テニス界ではキャリアベスト41位までいった
マリア・エレナ・カメリンとその時のコーチと一緒にあのエリアで
過ごして面白いと言ってくれたので、外国人があのあたりを歩いていて
楽しく過ごせるのではないだろうか。

 その後、ヤマハのチームが固まっているエリアをうろついていて、ようやく
ニッコロ・カネパと会う。

 三年前に来日した時はモデルであるバルバラ・フマガッリと一緒に来ていたが
その後、別れたらしく、昨年は一人で来ていた。今年はどうなんだろうかと
思っていたら美しいチェコ人の女性と一緒で、この人が今の彼女らしい。

 私がカネパとイタリア語で話していて、彼女にチェコ語で『mluvite italski』
と話すとかなり驚きながらも喜んでくれた。彼女はイタリア語はできない
ということなので、チェコ語三割、英語七割で話す。

 まぁ、私は日本とヨーロッパを行き来していたときにプラハの空港を
使っていて、そこからインターモトカワサキのあるフラデッツクラローべ
に行って、ヨゼフ・クビシェックに世話になっていたり、お手伝いを
していたの挨拶適度のチェコ語は話すが、初対面のチェコ人にとっては
日本人の私がチェコ語を使うのはかなり驚きをもって受け止められる。

 ニコロ・カネパは私とインターモトカワサキの関係性は知っていたり、
やる気になったら、チェコ語にも手を出すだろうなと思っていたようだ。

 そのかつてのインターモトカワサキのチームマネージャーの
ヨゼフ・クビシェックだが今回の鈴鹿八耐のヨーロッパの衛星放送局の
ユーロスポート2のチェコ語コメンタリーを担当するということで
雨の影響でいつフリー走行およびトップテントライアルが行なわれるか
わからないのでヨゼフにチャットで私が拾った鈴鹿での情報を届けたり
逆に最近のチェコの状況、彼が今関わっているチームのことなど情報交換
する。

 ユーロスポート2のイタリアでのコメンタリーはアレッシオ・ピアナなので
ヨゼフに送った情報を今度はミラノにいる彼にチャットで伝える。
プラハでのヨゼフ、ミラノでのアレッシオのコメンタリーにいい影響が
あれば幸いである。

 来シーズンに関する話もパドックを駆け巡っていて、スロバキアリンク
の開催がなくなり、新たにカレンダーに加わるセパンの話が出回っている。

 これはまぁ、今回セパンサーキットのCEOがいらしていて、記者発表も
あったし、噂として出回っていた話が確定的ではないかということが
わかったりとセパンのやる気とあのサーキットの体質が理解できる。

 12月にレースをしたことがないという慣習から来る心理的な敷居の
高さの問題。それに加えてヨーロッパのチームにとってヨーロッパの
真ん中に位置するスロバキアに行くことに比べてマレーシアに行くのは
費用負担が大きい。また、鈴鹿八耐に出走しているチーム数は60ほどだが
少ないエントリー数でスカスカ感が出るのはセパンサイドとしては好ましくない。

 ヨーロッパからチームからできるだけ来て欲しい。それができないなら
鈴鹿で耐久を走っているチームが来てくれないだろうか。

 マレーシアでレース界で近年、大きなプレゼンスを示しているペトロナス
を日経新聞は『マレーシアの国策石油会社』と呼ぶことが多いが、セパンも
半官半民でサーキットが運営され、近いエリアに自動車産業を育てたり
研究を進める施設が設けてあり、そこには政府の肝いりだったりする。

 マレーシアでの参加に関して税関がフリーであったり、バイクや各
マテリアルをセパンサーキット側が費用負担という話が確定的から
確定になれば、チームの使う金額が相当削減されて、初めて開催される
セパンでのレースのエントリー数が増えることだろう。

 スーパーバイク世界選手権が僅かな年数で開催しなくなり、世界選手権
格式のレースを開催したいという気持ちに経済的なバックアップが政府
レベルで付くのは大きなことだろう。

 ナゴヤドームの情報を仕入れると松坂がダメダメで連敗が続き、
雨の影響でライダーが走らない。親しいライダーや会いたいライダーとも
顔を合わさない一日となってしまった。まぁ、これも夏場の台風の時期に
行なわれるから甘受しなければいけないのだが、お客さんの中には
入場料が高いと感じるだろうなと思うし、ピットウォークが開催されても
イタリア人はキャンペーンガールの露出度が低いから不満そうだ。

 満腹感がないまま、一日が終わってしまい家路に着く。

 

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