90年代のドイツのように素晴らしいドライバーが世界選手権の場に
現れて、そして、勝利を重ねていくと大きな地殻変動が起こるわけで、
当時のドイツは二度のF1のレースが行なわれたりしましたし、テレビ視聴率
やスポンサーの増大ということにも繋がりました。
果たして、今年のイタリアでのF1というのは何か変わるのでしょうか。

 イタリアという国に最初に行った時に驚いたのは、あの国ではF1という
単語の意味は90%がフェッラーリであり、残りの10%がイタリア人パイロット
を意味するということでした。この考えは多くの人が認識しているのですが
我が友、イタリアの地上波のLa7のファブリッツィオ・カリアにいたっては
95%がスクーデリアであり、残り5%がイタリア人ドライバーだと考えて
いて、少なくない人もそう考えています。

 80年代や90年代にはイタリアの小さなチーム、つまりオゼッラやコローニ、
ダラーラやミナルディというチームが存在し、それらのチームはイタリアの
中小企業のスポンサードを得ているために、スポンサー受けするイタリア人
ドライバーを乗せたがったり、イタリアのスポンサーを有していたり、
マールボロイタリアの強力なスポンサードを持っているドライバーが
イタリアのチームで走っていました。

 しかし、イタリアのチームが無くなり、F1を走るための持参金がとんでも
ない額になってしまうとイタリア人ドライバーはいなくなってしまいました。

 2010年代に入って、F1で走る可能性があったドライバーはダヴィデ・
ヴァルセッキでしたが、複雑な地政学の中で彼がマシンを走らせる能力は
評価されていたものの、彼がロータスやルノーで走ることなく、現在は
テレビ解説者の立場でサーキットで仕事をしています。

 そんなイタリア人ドライバー不在が続いていた中で、業界内の複雑な
パズルで適切なパーツをかき集めて、幸運に恵まれて今年のシーズンを
アルファロメオレーシングでアントニオ・ジョヴィナッツィが走ります。

 果たして彼の存在がイタリアで何を生むのか、何が変わり何が変わらないのか
気になるところです。

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