『スミダスマイル』というライブに行ってきました。 

 みどりコミュニティセンターで毎月一回開催されている『スミダスマイル』
というライブは500円で8組のネタを見られるのですが、ここでのライブでは
賞レースであるとか、事務所のライブとは違うので、ある種の制約とか縛り
というものが存在しない。

 となるとやってみたかったけれど使っていない技術であったり、実験的な
試みをやってみる土壌が存在する。

 ミュージシャンが色々な商業的な制約の中で曲をヒットさせなければ
いけない。あるいは今までの当たった曲に近い作品でヒット作を購入して
くれた人に届けて数字を稼ごうとする。

 そんなアーティストが活動を続ける上で商業的な成功は必要なんですが
創作者としては興味はあるがやっていなかった作風の作品を作りたく
なったり、今まで使っていなかった技術を用いてみたくなったりすること
があって、それをシングルのカップリング曲にしたり、アルバムの中に
入れることがあります。

 濃いミスチルやスピッツのファンはビッグヒットになった曲も好きですが、
彼らがやってみたい作風を曲にしてアルバムの中に入れた作品も好きですね。
ミュージシャンとして当てに行った曲が誰にとっても飲みやすい濃度の
カルピスだとすると、濃いファンはミュージシャンの欲望や希望が具現化
された原液のカルピスを飲みたいと思うのでしょうね。

 お笑いライブの現場でも今まで使っていなかった作風のネタをやりたく
なったり、やまり使っていない技術を使ってみたいということがあり、
それをやる場所があってもいいと思うのですが、それが今回見た
『スミダスマイル』のなかで感じられました。

 この私のブログの読者の方々は私がラムズのファンであることは先刻承知
だと思うのですが、今回見たラムズのネタは今までにないものでしたし、
確かな演技力はありましたが、笑いの物量としては低くて、それほど
面白くなかった。しかし、こういうネタをやってみようという
意欲だとかセリフやキャラクター設定に実験性を感じました。
私はそういう試みというのは素晴らしいものだと思っています。
ガソリン車を作っていた人が10年後を考えて、電気充電する車を
作ってみたら、同じ車であっても車体の重量配分やエンジンの出力特性が
想像と違って思い通りにはいかなかったが、そこから学んだり、生かせる
データを得ることができたという感じでしょうか。

 今回のこの『スミダスマイル』の中で私にとって一番笑えたのは
オシエルズだったのですが、彼らが今回発表したネタはここが初めてでした。

 私は面白くて、ネタ作りでかなり練りこんで作り、実際に何回か演じて
客前でのリズムとか舞台のサイズによる動きの範囲などを適切に修正
して今回演じたのかなと思いきや、初演だったということでした。

 まぁ、モータースポーツの世界で研究開発していてパソコンの画面上の
データで出るエンジン出力や車体の安定性はあくまでベストエフォート
で、サーキットで走るとなると、長所も短所も予想外の部分が出てきて、
それをたたき台にして、さらに開発を進めるのですが、オシエルズの
今回のネタおろしはかなり仕上がりが良くて、あまり手直しをする
必要のないオートバイの走行に思えましたね。

 私としては、今回のネタを10分ぐらいの尺で、さらに枝葉をつけたり、
さらに小さなボケとツッコミを交えボリュームをつけたらどうなるのか
楽しみです。

 今までの延長線上のネタや実験性やテストやトライアンドエラーや
実技とか解析が絡み合い、経験や能力が縦糸になり、新しい試みや
実験が横糸になってお笑いライブという服が製造されていたという
思いを抱きましたね。今回は面白いというよりinterestingだなという
感想を持ったライブでした。

 

コメント