雨が降ってもライダーが走れるコンディションで面白いレースになれば
素晴らしいレーシングウィークエンドになる。しかし、走れないレベルと
なれば走るべきでないと思っています。

 このブログを昔からお読みの方は私の人生を変えたのは雨のレースであり、
イタリアのメーカーが勝ったレースであることをご存知だと思います。

 『ブタペストの奇跡』

 ほとんどのライダーがレインタイヤを選択した中、イタリアのカジバを
走らせるエディ・ローソンはダンロップのエンジニアと相談して、フロントに
カットスリック、リアにインターミディエイトというギャンブルに出て、
信じられない大逆転優勝を奪い、カジバに初優勝をもたらし、大騒ぎの
イタリア人を見て『イタリア人というのはいいなぁ』と思い、翌日に
伊和辞典を買い、イタリア語に走り、今に至っています。

 『狂乱のフィリップアイランド』

 日本のホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ。イタリアのドゥカティと
アプリリアがファクトリー体制で参戦している中で戦いを挑んだビモータ。
しかし、車体に問題があり、予算も少なく開幕戦を終えてトップグループとの
大きな差を感じていましたが、アンソニー・ゴバートが国内選手権で数多く
走った経験があるサーキットであり、彼の素晴らしいマシンコントロール
能力で難しいコンディションのなかを彼が中盤から世界の列強を追い抜いて
ライバルがいない独走で優勝をかっさらったレース。あの時期に今後の進路を
どうしようかと思っていたときにリミニでイタリア語を勉強していた私は
リミニのマシンが優勝したレースを見て、レース界で何とか食べていけないか
と思ってヨーロッパに再び渡りました。

 そんな人生にリンクしたレインコンディションのレースを見ていたので
雨のレースは好きだし、面白いことが起きることは重々わかっています。
その一方でレースができないコンディションと言われていたモスクワでの
レースでアンドレア・アントネッリを失ってしまいました。

 ライダーは転ぶのも嫌ですが、レース界の仲間でもあるライバルを轢いて
しまうのも当然のことですが、嫌なものです。

 そして、レースはビッグビジネスでもありますが、同時にスポーツでも
あります。

 世界選手権という戦いの中で恐々ゆっくりとしたタイムペースで走ること
やライダーの多くが出走を拒否するようなことはあって欲しくないです。

 今回、ライダーの多くがレースキャンセルに動いて、議論がされて、
結果キャンセルになったことは見たくない悲劇や惨劇、犠牲者が生まれなかった
ことやスロースピードのレースとならなかったのでいいことではないかと
思っています。

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