主に若手とか新人のお笑い芸人が集まって開催されるライブというのは
当たり外れがあったり、面白くない人も結構いるのですが、昨日の『お智だち
ライブ』はかなり面白かったですね。

 私が初めてメルヘン須長の存在をしったのはabemaTVの『フリップ王
決定戦』なんですが、モノマネの上手さとネタの毒に天才性を感じました。

 その彼女が電波媒体ではなくて、ライブとなると表現しやすいこともある。
彼女のピンのネタも面白かったのですが、いわゆる賞レースに向けてユニットを
組んでやったネタがありました。

 これなどはテニスプレイヤーがお金やランキングが関係ないエキジビション
マッチで考えてはいるが使っていない技術を試してみて、使える武器なのか
そうではないのかを判断することに似ていて、お笑い好きだが、他の芸人の
ファンも集まる場所で受けるかどうかを判断しているように思いましたね。

 私はピンのネタもユニットでのネタも笑えましたし、彼女の天才性を
感じました。

 ホタテーズはネタの運びというのは常に一定で80年代の漫才ブームを
通ってきた人にとっては紳助竜介やB&Bの漫才のように一方が八割話して
ツッコミが二割話すという形で進めていくのですが、こででネタが今までに
ない、日本の社会の面倒くささと本人の貧乏話をクロスさせていく話
だったので、観客の心に刺さって笑えましたね。

 マザーテラサワのネタというのは私好みのネタで面白いのですが、今回は
ゲームを題材にしたものでした。そうすると、ゲーマーだけが笑って、
ゲームを知らない人は置いてけぼりになる可能性が高いのですが、私の
ようにゲームに理解のない人でも笑えるネタにしていたのは良かったですね。

 また、ラムズですが今回は漫才をやっていました。
これは私は彼女達が一つの実験をしているように思いましたね。

 アルコ&ピースの二人が漫才とコントにそれほど違いを設定していないと
話していて、実際に彼らは漫才もコントもしていて、コントをやっているから
役柄を設定した漫才に生きるということがあったり、漫才をやっているから
ラジオでのトークに技術移植ができるということを公にしていますが
そういったことはラムズの二人がこの段階で漫才ということをしたという
のは今後の活動のために舞台という土壌で種を撒いて、どんな作物が収穫
できるのか実験をしているように思いましたね。

 HENHEN事変には成長を感じました。私が初めて彼女達を見たときは
面白さを感じなかった。そして、彼女たちのファンがお約束のネタで
笑っていたのですが、そこにネタの面白さを感じなかった。

 しかし、どうも彼女たちが単独ライブをやった後あたりから、言葉の
チョイスも練れていて、リズム感もよくなり、彼女達のファンでなくても
面白くて笑う人が多くなった。

 これはやはり単独ライブで10分や15分のネタをやるには勢いだけでは
だめだし、練りこんだ台本を作る必要があるし、練習もしっかりして、
いいネタを作らなければいけない。

 また、そんななかで何がやりやすいのか、やりにくいネタだが受けるのか、
何を削って、何をボリュームアップした方がいいのかなどを必然的に考える
ことになる。

 単独ライブを経験することから学んだり、体験的に感じたことから新ネタを
作ったり、今までのネタをアレンジしたりすることで笑いを生んでいるような
気がしますね。

 そして、この日一番面白かったのがハナイチゴ。

 恐らく、かっちりした正統的な漫才をしたくてネタを作っているのが
コンプライアンス小笠原ですが、相方は笑いのためには水着にもなるし、
女性向けフーゾクの体験レポートもしたり、自らの性経験も話す関谷友美。

 でもって、ネタ中にもたついたり、噛んだりするのですが、それすらもネタ
にして決められた台本とその場の空気感を笑いに繋いでいく。

 笑いには伝統的なものや正統的な形もあるのですが、その一方で新しかったり
卑怯な笑いもあって、私はお笑いグルメとしては雑食なので、全てを楽しむ
ようなところがあるのですが、練りこんだネタから脱線しながら、関谷
友美の私生活や性癖を混ぜながらライブで舞台だから感じられる空気感
から生まれる笑いがありましたね。

 もたついたり、噛んだりというのはマイナス要素なんですが、それを
ジョーカーに使うところにコンプライアンス小笠原のアドリブ性の高さを
感じましたが、ひょっとしたら相方がああいう人だからアドリブが強く
なったのかななどとも思ってしまいました。それはひょっとしたら幸運な
偶然かもしれませんが、偶然から生まれる笑いには予想から外れる大きな
笑いが生まれたわけで、本人が望んでいないかもしれませんが、見る側から
すると面白くて楽しい時間を過ごして、笑った後にコンビ仲がそれほどよく
なくても、いいビジネスパートナーとして存在しているのかなとおぼんこぼん
の二人の姿を想像しながらハナイチゴの二人のネタを楽しんでいました。

 わくせいチョモランマに関しては長くなるので時を改めて書きたいと
思います。



 

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