ライダーもメカニックもチームスタッフもスポンサー関係者もメディア
で働いている人も劇的なレースで世界チャンピオンが決まって欲しい。
とりわけコーリン・エドワーズとトロイ・ベイリスの最終戦の第二レースで
タイトル決定を現場やメディアで見ていた人はそう思うことでしょう。
あるいはマックス・ビアッジとラルフ・ヴァルドマンの250ccの激しい
タイトル争いの末の王者決定の瞬間や昨年のワールドスーパースポート
世界選手権のチャンピオン誕生の時などを思い出して、激しいバトルや
最終ラップまでタイトルの行方がわからなくてチームやメーカー関係者が
脳みそから汗がでるような展開で世界中のレースファンは手に汗を握る展開
を求めていることでしょう。でも雨の程度が豪雨だったらどうなるの
でしょうか。

 私が思い出すのは2005年シーズンのスーパーバイク世界選手権の第二レース
です。この時は私も現場にいたのですが、サイティングラップを終えて、
雨の粒が急激に大きくなり、風も強風に変わりました。

 スタート直前で赤旗中断となり、その後リスケジュールとなり、その間に
レーシングディレクターや当時のSBKのスタッフ、ライダーがとりわけ
ひどく降っているエリアの路面状況を見て、レースディレイを決めて、
その後も天気予報を見ながら、再び水がたまっている地点の状況を見ましたが
結局、レースはキャンセルとなりました。

 激しいバトルがなくなりコロナアルスタースズキのトロイ・コーサーの
二度目の世界タイトルが決まりました。

 どのカテゴリーのレースも世界チャンピオン決定の瞬間というのは特別な
ものなので、タイトル候補ライダーの激しいレースでも一方的な展開に
なっても、その瞬間を見たいとか立ち会いたいと思っていましたが、
あの時にレースを開催したら危険なことになったと映像ではなくて、その場
にいて肌で感じました。

 そして、その決定はタイトルを争っていたライダーも甘受していました。

 私もその判断は正しいなと思っていました。そして、その数年後、私は現場に
いなかったのですが、画像で見ても相当な豪雨だと思われたワールド
スーパーバイクのロシア大会のスーパースポートクラスでの悲しい事故を
見て、その判断は間違いないものだと思いました。

 私とアンドレア・アントネッリとはレースの世界で割に近い位置にいました。
その彼を亡くしたのは、豪雨でキャンセルべき状況なのに、強行された
(と私が考える)レースでのことでした。
(http://yasumarzo.diarynote.jp/201307212040485500/
http://yasumarzo.diarynote.jp/201307222356058926/)


そんな悲しい経験をした私は仮に豪雨の中で今週末、レースを強行して、
能力のあるライダーが命を失うこともあってほしくないですし、レース中に
コントロールを失ったり、視界不良で轢いてしまったらライダーのメンタルも
非常に心配になります。

 FCC TSR honda franceとGMT94 yamahaのポイント差はわずか10ポイント
です。もちろん、世界チャンピオンになりたいと両チームのライダーも
関わっている全てのスタッフも思っているはずです。

 いい天候でレースが行われて欲しいと思いつつ、レースができないと
考えられる状態でレースをして悲劇が起きて欲しくないと思っています。

 トロイ・コーサーがワールドタイトルが決まった時は第二レースがキャンセル
になり、半券を持っている人は翌年のイモラでのスーパーバイク世界選手権の
入場を認めるということで客の思いや欲望を抑え、マーシャルや医療スタッフ
は何事もなくて良かったと安堵の気持ちを抱いていました。
http://yasumarzo.diarynote.jp/200510122308360000/

 個人的にはGMT94 yamahaの三人に逆転タイトルを獲得して、一緒に
喜びたいとは思っていますが、仮にレースがキャンセルだったり、前線までの
順位がそのまま確定してタイトルを逃しても、日曜日にレーシングスピードで
走れない状況であったり、ドクターヘリが飛べない天候であったり、
マーシャルの皆さんが来られないようなことであったら、私は甘んじて
結果を受け止める心の準備はできています。
 

 

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