イタリアのようなcampanilismo(=郷土愛絶対主義)が強すぎて、
オリンピックとワールドカップがなければ国としてまとまらないところに
いたら、自分の街が好きで方言を使い、育ったり住んでいる街の料理や
風習を第一に考えて、そこにサッカーが結びついて週末に熱狂的に
『我々のチーム』を応援するということが当然だと思うので、地方出身者の
芸人さんが方言を用いることに心理的なバリアはないどころか、ウェルカム
なんですが、そこで考えたことがあります。

 私の好きな芸人さんにU字工事とちぐはぐがあります。

 U字工事はもともとは標準語を使って漫才をしていたようですが、どうしても
栃木訛りが出てしまう。

 そこを治そうとしていたのですが、どうも滑らかさがなくなってしまって
脳で考えていたことと脳の命令が口から発せられることにリズム感に微妙な
違いが生まれてしまう。

 そんななかで他の地方出身者がいわゆる標準語を話すために練習を重ねて
周りの関係者や芸人の大多数が標準語を身につけて話す経験をしていて
そうするなかで水道橋博士は逆に差別化を図るためにもっと栃木訛りを
強くした方がいいという提案をして、彼らは考えに考えたあげく、
そちらを選択して、ネタも栃木の地方紙の下野新聞を読み込んでローカルな
話題を取り込むようになりリズム感があり、栃木色の強いネタを創作
できるようになり、実力を蓄えて人気も出てきた。

 熊本と大分出身の女性コンビのちぐはぐはもともと無理に標準語に治す
ことを選択せず、お互いが普段から話している方言を話すことで独特の
リズムを作り出し、同時に客側にとって聴きやすいスピードを生み出している。

 訛りは強くてもリズムが良くて、聴きやすいスピードであれば数多い
というかほとんどの東京で活動している芸人が標準語を話している中でも
見る側がすんなりと聴くことができますね。

 私は元々名古屋なので名古屋弁は問題なく聞けますし、名古屋の放送局の
番組制作能力び問題もあって、関西芸人が出演する関西圏の局の制作の放送を
見ていたので関西弁にもさほど抵抗感がなく聞ける。

 そう思っていたのですが、先日Aマッソという女性の関西出身の芸人コンビ
が関西出身の芸人がMCを勤める番組で出演していた時に彼女達が関西弁
でネタを展開するところを見たのですが、これはちょっと私のキャパシティを
超えていましたね。

 コテコテの関西弁で露天商と客という設定のコントをやっていたのですが
濃度が強すぎというか、言葉があまりにもきつ過ぎるというか、毒気が
あまりにもありすぎて、私はお笑いグルメとしては雑食属性があり、
前述のように方言も受け入れるのですが、さすがに素材はいいかもしれないが
馬鹿みたいにソースをかけまくったようで私には合わなかったですね。

 まぁ、これは彼女達の容姿がそれなりに整っているので、その見た目から
発せられるきつい訛りがより強い訛りに感じてしまうということもあった
と思います。

 私ですらこういう感想を抱くので、関西弁を聞きなれていない人だったら
土着関西弁とも言える様なネタを関西の庶民設定での漫才やコントだったら
聞き取れないか、言葉のきつさに受け付けないことになるのかなと
思いますね。

 島田紳介という人は明らかに在京局と在阪局で関西弁の濃度を変えてい
ましたが、訛りの強い人はそういう工夫などがあったのかなという思いを
抱きました。

 方言をナチュラルに上手く使っている人と状況に応じて使い分けている
人というのは見る側を上手く引き込むのかなと思いますね。

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