abemaTVの『フリップ芸人王座決定戦2017』でメルヘン須長さんの
ネタを見て以来、大変気になる存在であり、ぜひ、ライブで見てみたいと
思いながら、見ることができなかったのですが、ようやく生で見ることが
できました。

 それほど大きくない劇場でフリップを使っても見ることができ、声も
しっかり通る場所というのは彼女にとってパフォーマンスを発揮できる
場所だと思います。

 そういう意味では彼女のネタを十二分に味わうことができる最適な
規模のなかのzero視聴覚ホールで見られたのも良かったと思います。

abemaTVでのフリップ芸を見たときの印象というのは凄まじいもので
あんなに声を変えることができることとモノマネのクオリティの高さに
ものすごい衝撃を受けてしまいました。
(その時の模様はhttps://www.youtube.com/watch?v=nUmbdowgjYk
の33:11からと1:11:41から、そして1:41:32から見ることができます。)

 まぁ、abemaTVということで地上波ではできないネタをできたり、
モノマネの対象をチョイスできることもあってか、本人がやりたいネタ
だったり、好きなネタをパフォームできたわけで、周りの芸人もショックを
受けるほどのクオリティの高さでした。

 見ている私のようなお笑いグルメも喜びながら、彼女の天才性を感じて
いて、果たして実際にライブではどうなのかなと思っていたのですが、
私の期待を裏切ることなく、30組ほど出たこの中野の『お智だちライブ』
の中で一番面白かったですね。

 私はオートバイのレースの世界の片隅にいるから強く思ったのですが、
感性が鋭くて、特徴であったり、変化を敏感に理解できて、どこに目付けを
したり、どこを捉えて、どうすればいいのかを判断できる人は優れた
テストライダー、開発担当エンジニアになりえる。

 メルヘン須長さんはアニメの声優であったり、女優の声質であったり、
抑揚やくせを見抜いて、声の高さであったり、口調やセリフ回しなどを
理解して、どういう工夫を加えればいいかを的確に理解できているような
気がしますね。

 そのモノマネだけであったら、笑いには結びつかないのですが、穏やかな
家族向けのアニメの中に大人の世界の毒気であったり、組織の思惑などを
放り込んで笑いを取ることに成功している。

 まさに優れたテストライダーや開発担当エンジニアが車体のどこの部分を
改良したり、エンジンの可も不可もない部分にマイルドなエンジン特性や
ビッグパワーを加えるのにどうしたらいいか、テストランの後に個人の
感性とコンピューターでのデータをミックスしてライダーにとってノーストレス
でストレートでも低速、高速コーナーでも乗りやすいマシンを作るような
ことを一人で全てこなしているように思えました。

 そんなメルヘン須長さんのライブは面白さと同時に芸人としてのスキルの
高さであったり、天才性を感じるのでまた見たいなと思いますね。
同時に思ったのは、ある芸人さんが営業で家族向けのイベントに呼ばれて
ネタをやったら、周りで見ている親御さんだけが笑っていて、
子供はさほど盛り上がることがなかった。

 モノマネを駆使して、家族向けのアニメを見てから練りこんだネタを
やって家族で来ているお客さんの中でお父さんとお母さんは爆笑していて
子供はモノマネの上手さに感心しても大人の社会のギスギス感とか利権を
めぐる欲望の争いなどは笑えないだろうなと思いましたね。

 また、同時にこの日のライブで思ったのは、メンバーがネタをやり終えて
企画の暴露話をしていたところで、観客の数とか媒体が入っていないこと
を考えたらメルヘン須長さんはもっと話を盛ったり大げさにして笑いを
取ってもいいのに、それをしなくて、ナナちゃんの過去の口説いた男の
話であったり、ラムズの風間春菜さんの結果自爆するような告白などには
笑いを取るための見事なテロリストぶりを感じましたが、メルヘン須長
さんにはそのような無軌道な笑いを取るためのテロリスト原理を感じなかった
ですね。

 そこがちょっと残念であった一方で、私生活の暴露ではなくて、興味を
持ったことに関して観察して、トライ&エラーを繰り返して、精度の高い
ことをじっくりと練りこんだネタにしていく彼女の姿勢が見られて、無軌道
な笑いではなくて、丁寧に作りこんだ笑いが彼女のネタから今後も見られるの
かなと思いました。

 今の私にとってとても気になる存在です。今後も彼女のネタを見に行きたい
なと思っています。

 

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