サンドロ・コルテーゼの素晴らしい週末。スーパースポート初参戦で初の表彰台。
 この私のブログをお読みの方は私のサンドロ・コルテーゼへの思いや関係性
をお分かりの人も多いかと思いますが、オフシーズン、難しい時間を過ごして
何とか15万ユーロをかき集めてスーパースポート世界選手権への参戦にこぎ
つけてオーストラリアにやってきたサンドロ・コルテーゼが日曜日のレースで
三位表彰台を獲得しました。

 まぁ、冬の間の資金集めのこと、難しい交渉のことなどを考えると夢のような
話ですね。

 彼のような能力はあるが、スポンサーを持っていないライダーにとって
サブプライムローン事件以降、難しいレース環境になっているのですが
そんな中で何とか契約がまとまり走ることができてほっとしました。

 その彼にとって、ヤマハR6とピレリタイヤは初体験。そして、周りの
ライダーのレベルも高く、数戦は難しい戦いになるのかなと思いました。

 レースはスタートに成功したとは言えずに中団グループからの戦いに
なるかと思いましたが、赤旗中段となり再レースとなったのは、落ち着いて
レース展開や戦術を考える上でいい休憩となったと思います。

 再スタートとなり、レース距離も短くなったレースで四番手で走っていた
彼で無理して追いかけるのか、無難に四位でいいのか難しい位置での走り
となりましたが、残り二周でぐっと近づき、最終ラップの最終コーナーから
見事なオーバーテイクを仕掛けて、このカテゴリーで初めてのレースで
見事に表彰台を奪いました。

 レースにはウィナーが当然いて、ウィナーとヒーローが同一のことも
ありますが、サンドロ・コルテーゼのこの三ヶ月のことを知っている立場
からすると今回のレースのウィナーは完璧なレース運びを見せてしっかりと
勝ちきったルーカス・マイアスですが、ヒーローはサンドロ・コルテーゼ
でしたね。

 今回のこのレースを見ていて、アルノー・ヴァンサンが125ccクラスで
ワールドチャンピオンになった時のことを思い出していました。

 前年、芳しくない成績で終えた彼にはオファーがなく、時折入ってきた
話は持参金の額が明確に書かれたもの。

 彼には持ち込みスポンサーがなく、引退を含めて、難しい決断を強いられて
いた時に持参金はないが、ノーギャラで走ることになるオファーが舞い込み
ました。

 彼はアプリリアの125ccとダンロップタイヤというパッケージで走るという
チームの体制に納得して、開幕二週間前という時期に契約書を交わして
開幕戦の鈴鹿にやってきました。

 予選はダメダメでしたが、彼の得意のレインコンディションで先行する
ライダーの脱落に助けられ、トップに立ち、このまま独走かと思われたら、
残り三周でマシンが悲鳴を上げてきて、苦しい中、何とかマシンをなだめて
優勝するというレースとなり、もう一周があったら、後続に抜かれていたか
マシンが壊れてゼロポイントに終わったかという際どいレースで優勝した
戦いがありました。

 その後、彼は翌戦でも優勝して、確実にポイントを重ねて、その年の世界
チャンピオンになり、私は彼のシーズン前の苦しみを知っていたから
号泣していたのですが、一定以上の走る能力はあるが、持参金を持っていない
ライダーの有する苦しさが痛いほどわかります。

 サンドロ・コルテーゼはとにもかくにもスタートラインに着き、そして
初めてのR6とピレリタイヤで結果を出しました。彼の今シーズンは
非常に明るいものに思えてきました。次のタイでどんなレースを見せるのか、
そして、彼の今シーズンがどんなものになるのか楽しみです。

(写真は昨年のもてぎのダイネーゼの仮設オフィスでのもの)

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