この時期になると思い出す、忘れられないレース。
2018年2月20日 スポーツ スーパーバイク世界選手権の開幕が近づいてきました。開幕直前テストが
行なわれ、各ライダーの調子、マシンの仕上がり、チームの競争力などが
わかってくるなかで、気持ちが高鳴ってきました。今週末のオーストラリア
で夏から秋に向かうフィリップアイランドサーキットで行なわれる開幕戦。
この時期になると毎年、思い出すレースがあります。
2000年のスーパーバイク世界選手権のオーストラリアラウンド。
この年は日本のホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキがファクトリー体制で
参戦し、イタリアのドゥカティとアプリリアもワークスチームを結成して
いました。
そのシーズンにイタリアのリミニの従業員50人の小さなメーカーのビモータ
が参戦。リミニで勉強していた私にとっては大変興味深いものでしたが、
直前テストと南アフリカでのレースを終えて、これはビモータにとって
大メーカーと戦うことの難しさと厳しさが明らかになりました。
ライダーはそれまでの経緯があって、他のメーカーが契約にためらった
アンソニー・ゴバート。この男は生まれた瞬間からどうやってバイクの
走らせ方がわかっていたと思われるような天才ライダーでしたが、彼を
持ってしても他のメーカーとの実力差は大きく、地元のオーストラリア
に負け戦を覚悟にやってきました。
車体でやるべきことが多く、チームの予算は限られている。少ない人員で
マシンの改善をするものの、自らのマシンの進化よりも他のメーカーの
日進月歩の開発の方が進んでしまっている状況。
厳しく難しい戦いが予想される中でオーストラリアラウンドの第一レース
の決勝が雨が降ったり、止んだり、風が強く、路面温度が低く、グリップも
しない状況。そんな中でマシンの実力差が少なくなり、多くのチームが
マシンセッティングやタイヤチョイスに悩み、サスペンションエンジニアが
解決策を見出せない中でアンソニー・ゴバートが難しい路面コンディション
の中で見事なマシンコントロールで世界の列強をぶち抜いて、レース中盤から
は二位以下のライダーを大きく突き放して、十分なタイム差を保って
前日までの予選の結果からは全く考えられなかった大勝利。
空が泣いた時に笑ったのがアンソニー・ゴバートであり、小さなメーカーの
大きな勝利を味わったのがこの時のビモータでした。
諦めが悪いことが美しいことであり、天才ライダーは難しいコンディション
でも速いタイムをコンスタントにたたき出し、ライバルを突き放しても
集中力を乱さずに走りきることができるのだと改めて思いましたね。
週末に今年のスーパーバイク世界選手権が始まります。果たして今年は
どんなシーズンになるのか。アンソニー・ゴバートとビモータはサーキット
にいませんが、サーキットには美しいファンタジィと醜いリアリティが
存在します。
お楽しみはこれからだ。
行なわれ、各ライダーの調子、マシンの仕上がり、チームの競争力などが
わかってくるなかで、気持ちが高鳴ってきました。今週末のオーストラリア
で夏から秋に向かうフィリップアイランドサーキットで行なわれる開幕戦。
この時期になると毎年、思い出すレースがあります。
2000年のスーパーバイク世界選手権のオーストラリアラウンド。
この年は日本のホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキがファクトリー体制で
参戦し、イタリアのドゥカティとアプリリアもワークスチームを結成して
いました。
そのシーズンにイタリアのリミニの従業員50人の小さなメーカーのビモータ
が参戦。リミニで勉強していた私にとっては大変興味深いものでしたが、
直前テストと南アフリカでのレースを終えて、これはビモータにとって
大メーカーと戦うことの難しさと厳しさが明らかになりました。
ライダーはそれまでの経緯があって、他のメーカーが契約にためらった
アンソニー・ゴバート。この男は生まれた瞬間からどうやってバイクの
走らせ方がわかっていたと思われるような天才ライダーでしたが、彼を
持ってしても他のメーカーとの実力差は大きく、地元のオーストラリア
に負け戦を覚悟にやってきました。
車体でやるべきことが多く、チームの予算は限られている。少ない人員で
マシンの改善をするものの、自らのマシンの進化よりも他のメーカーの
日進月歩の開発の方が進んでしまっている状況。
厳しく難しい戦いが予想される中でオーストラリアラウンドの第一レース
の決勝が雨が降ったり、止んだり、風が強く、路面温度が低く、グリップも
しない状況。そんな中でマシンの実力差が少なくなり、多くのチームが
マシンセッティングやタイヤチョイスに悩み、サスペンションエンジニアが
解決策を見出せない中でアンソニー・ゴバートが難しい路面コンディション
の中で見事なマシンコントロールで世界の列強をぶち抜いて、レース中盤から
は二位以下のライダーを大きく突き放して、十分なタイム差を保って
前日までの予選の結果からは全く考えられなかった大勝利。
空が泣いた時に笑ったのがアンソニー・ゴバートであり、小さなメーカーの
大きな勝利を味わったのがこの時のビモータでした。
諦めが悪いことが美しいことであり、天才ライダーは難しいコンディション
でも速いタイムをコンスタントにたたき出し、ライバルを突き放しても
集中力を乱さずに走りきることができるのだと改めて思いましたね。
週末に今年のスーパーバイク世界選手権が始まります。果たして今年は
どんなシーズンになるのか。アンソニー・ゴバートとビモータはサーキット
にいませんが、サーキットには美しいファンタジィと醜いリアリティが
存在します。
お楽しみはこれからだ。
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