バイクを走らせる高い能力はある。しかし、今日のレース界ではそれだけ
では世界選手権レベルで走ることは難しい。その厳しい現実に直面していた
サンドロ・コルテーゼですが、スーパースポート世界選手権の参戦を発表
しました。
http://www.corsedimoto.com/in-pista/mondiale-sbk/supersport-ufficiale-kallio-racing-ingaggia-sandro-cortese/

 もてぎでサンドロ・コルテーゼと話していた時にMoto2での成績とチームと
の良好な関係から2018年シーズンも引き続き同じ体制で走る予定だと教えて
くれたドイツ人ライダー(ただし、私とは彼が家庭で話しているイタリア語で
話す。)

 その彼に思わぬ苦難が待っていて、違うチームやカテゴリーを考えなければ
いけなくなりました。

 様々な可能性を考え、スポンサーと協議を重ねて、脳みそから汗が出るような
時間を過ごして、最終的にはチームカリオでヤマハのR6でスーパースポート
世界選手権を走ることを第一に交渉を重ねました。

 フィンランドの小さなチームが自力だけで世界選手権を戦うことはできず
ライダーに求めた持参金は15万ユーロ。MotoGPよりスーパーバイク
世界選手権は開幕が早く、第一戦は2月25日決勝。そういった理由で
持参金を集めて、契約までの時間は2月10日ぐらい。

 かなり厳しい環境の中で彼と彼のマネージャーは今までのスポンサーや
新規のスポンサー獲得というレース界で慣習的に行なわれていた解決方法
を踏襲しながら、今日的な方法論も考えました。

 ファンにクラウドファンディングでの支援を訴えて、ある意味なりふり
構わない方法でいい意味での彼の欲の深さとレース界の現状を主張しました。

 厳しい状況にありながらもヤマハR6というチャンピオンマシンで走る
チャンスを逃したくない。そして、ドイツ、イタリアを始めとする彼の
ファンが彼の不在のシーズンは深い悲劇だと考えたなかでクラウドファンディング
での持参金を集める活動がスタートしました。

 一喜一憂しながら迫り来る交渉期限直前に彼の訴えが実り何とか15万ユーロ
という額が集まり、彼は契約書にサインすることができ、オーストラリアに
飛び立つことができました。

 オートバイの世界選手権ではライダーに求められるものはライディング能力
だけでなく、経済、政治、民族といったものを背景に持参金や持込スポンサー
が必要となっているなかでクラウドファンディングという方法論で個人消費者
であるファンと繋がり持参金を集めるという方法は現在のレース界や
スポンサーのあり方などを考えさせることとなりました。

 私の中で色々な思いがありますが、とにもかくにも彼は今年、
スーパースポート世界選手権を戦います。果たして、彼の今シーズンは
どうなるのか、楽しみに見たいと思っています。

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