松戸の私の住処を離れて、松戸駅から水戸へと向かう。車中でわが友
マウリッツィオ・ビターリに水戸への到着時間を教えて、うとうとしながら
週末のレースのことなどを思いながら、金曜日のレースウィーク初日の様子を
スマホでチェック。レインコンディションの中で色々とあったようだ。
まぁ、雨でもいい成績ならそれはいい天気だし、悪いタイムなら最悪な空模様
ということになる。このもてぎで初めてグランプリが開催されたのが1999年。
あの時もレインだった。250ccでフランコ・バッタイーニが自らのチーム
FGFバッタイーニレーシングでポールポジションを奪い、あのピットに
入ってジャーコモ・グイドッティと一緒に喜びを味わい、RAIの
マッシモ・アンジェレッティから週末の予想を話し合っていたことを思い出す。

 そのバッタイーニはドゥカティのテストライダー。ジャーコモ・グイドッティ
は今年はレプソルホンダでペドロサのチーフエンジニアでRAIは放映権を
失い、マッシモ・アンジェレッティは陸上のほうをメインにやっている
わけで長い月日が流れたことを感じる。

水戸駅に到着。弱い雨に濡れながらマウリッツィオの宿泊しているホテルの
ロビーに移動する。彼を待っているところにやってきたのがガボール・タルマッチ。私と彼とも少々特別で長い付き合いがあるが、実際に会うのは久しぶりで
ある。

 2007年の125ccのワールドチャンピオンは今年は自らのチームの活動を
行ないながら、ハンガリーのテレビの解説としても動いていて、この日本
グランプリはコメンタリーボックスでレースを見るという立場。
spilerテレビのスタッフを紹介されて、ブタペストのデアクフェレンテール
あたりに居て、グアーシュを食べ、ワインを飲み、温泉に行っていた話を
する。ブタペスト好きの日本人というのは彼らにとって興味深い存在
のようだ。

 このホテルにヤマハのスタッフ、ドゥカティコルセの連中などがやって来て
再会を喜びながらうだうだ話しているところにマウリッツィオ、ステーファノ、
レンツォが到着。彼らはいったん部屋に戻り、外出の支度をする。

 彼らがロビーに戻ってきて、一緒に食事に出かける。
今週末のレースのことも気になるのだが、来週のスーパーバイク世界選手権
のヘレスでのこと、来年のスーパーバイク、スーパースポート、ストック1000
選手権のことというものに強い関心を持っているのが私でして、この日本に
来る前にフランスのマニクールの現場にいた彼らに話を聞く。

 ステファン・ブラドルのレッドブルテンカーテホンダからの離脱、
そのバイクにMVアグスタを走らせていたレオン・キャミアーの加入。
キャミアーが離れたMVアグスタに今年、MotoGPで走っていたロリス・バス
が契約した(ただし、オフィシャリーは発表は後日)という話などを
マウリッツィオ・ビターリから聞く。

 スーパーバイクのサーキットで開催されているスーパースポートはかなり
シートが埋まっているが、今のチームがライダーに求める持参金の高額化
に伴い、果たしてどうなるのかでワークス以外のチームの契約が流動化する
ということを聞き、またスーパーストック1000の話などをする。

 このスーパーストック1000だが、このカテゴリーに参戦しているのが
マウリッツィオの息子のルカ・ビターリ。マシンはアプリリアということで
話題は今年の鈴鹿八耐の話になる。

 マウリッツィオは昨年と一昨年とヤマハファクトリーで走ることになった
ポル・エスパルガロのサポートのために鈴鹿にやって来て、日本グランプリ
よりも盛り上がりを見せるレースに印象を持っていたのだが、果たして息子の
ルカはどういう思いを抱いているのかを尋ねてみると、強い関心はあるが、
今年の鈴鹿に関しては条件が合わなくて、契約しなかったという話だった。

 BMWのマシンで全日本を走り、鈴鹿八耐も参戦する酒井大作のチーム
というのはミュンヘンと強い結びつきがあり、このチームが本社にライダー
選びで相談したり、話し合いを持ったら、BMWの推奨するライダーと
割りに簡単に交渉できて、ライダーが鈴鹿での一週間を快適に過ごせる
ような条件を提示できたり、BMWが許諾を出せるということで昨年や
今年の手強いラインナップを作ることができる。

 アプリリアで鈴鹿八耐に出場するチームというのは、そういった部分で
ヨーロッパにいるライダーが喜んで来日して、快適に過ごせる条件なり
広い意味での受け入れ体制の構築というのが難しいようでビターリファミリー
としてはレース自体は大変興味があるが、深い話をする前に今年に関しては
交渉を進めなかったということらしい。

 まぁ、そんなわけで今年の鈴鹿で参戦チームのほとんどはライダー三人
体制だったが、アプリリアのユーザーチームは二人体制での戦いとなった
わけで、このあたりは日本人ライダーのチームで全日本で参戦しているが
BMWと強い関係を有している酒井大作のマネージャーとしての優秀さを
感じながら、ルカ・ビターリのレース活動の中で彼が何を求めているのか
などを同時に理解することとなった。

もてぎでワイルドカードで走るライダーや全日本に関する話を尋ねられて
答えたり、先週、終了したイタリア選手権の様子などを話し、来週の
ヘレスでのこと、能力はあるが、持ち込みマネーが足りなくて国内選手権
で走っているライダーのことなどを話しながら楽しい時間を過ごして
明日の待ち合わせ時間とランチのために牛丼を買ってくることを確認して
別れを告げる。
 
 
 

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