1997年のレジス・ラコニ。その五。

　グランプリサーカスはチェコのブルノへ。チェコ第二の都市のブルノから
30キロほどの山あいのサーキット。初めて私が訪れた時に思ったのは、テレビ
の映像を見るよりもはるかにアップダウンが激しく、非常にパワーが必要とする
サーキットだというものでした。

　そのサーキットでの金曜日の予選一回目。寒さを感じる強い雨が降る中で
世界の列強を相手にしてしばらくトップタイムをマークしていたのが何と
レジス・ラコニが走らせるホンダV２でした。

　鬼気迫る走りというか、雨の中での誰よりも深いバンク角で快走する
ゼッケン55のホンダV2のマシン。国際映像もフランスの放送局の
制作ではないのにチェコテレビの制作する映像が長い時間捉えていたのは
テクマスグランプリがレジス・ラコニの好みのバイク、好きなセッティングを
聞き入れて出来上がったマシンでした。

　残り15分を切った当たりで日本メーカーのV4のファクトリーバイクが
彼のタイムを追い抜いて行きましたが、金曜日のヒーローは間違いなく
彼であり、彼のフィジカルコンディションが戻ってきていること。
パワーサーキットでも彼のハイスピードコーナーでの走りが大きくタイムに
寄与していることが明らかでした。

　このチェコのブルノでのレース。決勝も大健闘を見せて何と7位。
このサーキットで未来のスターライダーが彼であるということを証明
しました。