いつものように牛丼を購入して、ホテルのロビーへと向かう。AGVとダイネーゼの
スタッフが来る前に顔を合わせたのがドゥカティのダビデ・タルドッチ。『ciao! yasuさん』
という言葉を聞いて嬉しくなる。そこに表れたのが今季からバレンティーノ・ロッシとの
関係を深めたルカ・カダローラ。彼の聞きやすいモデナなまりのイタリア語が耳に
心地いい。

 一緒に移動する仲間が三人そろったところで車に乗り、駐車場から出ようとした
ところのゲートで焦った顔をして料金の機会を前に焦った顔をしてお金を入れていた
のがノーランヘルメットのエンリコであった。
 
 水戸からモテギへと移動。金曜よりも車の台数が少なく感じる。

 サーキット入りして、AGVのオフィスに行くとダビデ・ブレガと鉢合わせ。
AGVのヘルメットとダイネーゼのつなぎには満足しているようだが、これにプラスして
南海部品に出かけて、色々と必要なものを購入して土曜日のセッションに臨んで
いるようだ。まぁ、イタリア人なので、息子のやりたいことをいい環境や条件で
させるためにエネルギーは費やすのだろう。あとで話があると言われて、かつて
世話になっていることもあって、後ほど落ち合うことにする。

 カルロ・ペルナットの親父さんと会い、今回の天気が良さそうなので、ドクターヘリの
準備もちゃんと出来て、レーススケジュールがスムーズに行きそうだという
話から加藤大治郎の最後のレースの話題になる。

 このブログでも何度か取り上げてきましたが、コラード・カタラーノのほとんど死にかけ
ながら、時間との戦いに買って紙一重のところから生還した時と加藤大治郎の死亡事故
の時では状況判断とか即時の対応とかが違いすぎるという話になる。

 コラード・カタラーノの場合はすぐに赤旗になり、ドクターたちがむごたらしい
現場に行き、救命救急活動をしているところにヘリコプターがやって来て、彼が倒れて
死にかけている現場からマンハイムの病院に搬送されて、命を失わずに済んだ。

 しかしながら加藤大治郎の場合はあんな事故が起きてしまっても、赤旗が
出されずに後続のマシンが全て過ぎ去ってから、倒れている現場に救命救急
隊員がやってきて、彼らが加藤を担架に乗せて、そこから少々離れたヘリポートに
運んでからヘリコプターで運ばれていったわけで、命の重みが違いすぎることも
話す。

 また、あの時代のバレンティーノ・ロッシに対して新しいライバルが必要だった
わけで加藤大治郎がそうなる可能性があったなかでああいったことが起きたというのは
残念だったなどと話す。

 MotoGPの後にパドックカフェに出かけて、ブレガ夫妻と会う。

 ナタリーが昨日、夜中に地震がなかったか聞いてきたが、それはなく、単純に
一緒に寝ていたダビデ・ブレガが夜中に起きてトイレに走っていった時に今の彼
が太りすぎで振動が大きかったということらしい。その話を聞いて
ステーファノ・ペルジーニの両親のことを思い出す。

 パパペルジーニがママペルジーニと付き合っていた時にははるかに痩せていて
いたが結婚して太り、産後に輪をかけてさらに太って、彼女が白い服を着ていたら
ミシュランタイヤのビバンダムに見えるらしいのだが、ビバンダムがカワイイと思える
から関係が壊れなくて続いているわけで、あのキャラが汚いと思ったらだめだった
が私は昔の彼女も今のビバンダム化した姿もカワイイと思っているからいいのだ
と言っていたが、男女の違いがあるが、ナタリーも痩せていて250ccや600ccで走って
いたダビデ・ブレガを愛して結婚したが、太って息子のマネージャー業をしている今の
旦那も愛することができているから問題ないのだろう。

 その愛する息子のニコロ・ブレガだが、昨年までの彼は言ってみれば、彼の
走る機会を作るために生まれたり、構成されたチームで走って、父親の一言で
より走りやすい環境ができたり、浮ついた空気が引き締まったりというような
ことがあった。しかし、今年はそうではなくて、大きなお金や組織のエネルギーや
パワーがかかれば、そこに様々な人の思惑や方向性が入ってくるわけで
どうもそれが彼にとっては理解していても難しいことが多いようだ。

 シーズン中盤で彼のチームメイトが急に切られたが、そんなことがあって同じ
チームに居て気持ちいいはずがないし、何か悪い流れがあった時にひょっとして
同じことが自分の身にも降りかかるのではないかと思っても仕方ない。

 そんな彼が酒を飲みすぎることはないが、母親から見ていてコーラを飲み過ぎる
ことが多いらしい。ダビデ・ブレガが少し居なくなった時にナタリーとそのことに絡めて
話す。

 私と親しくなったハンガリー人のテニスコーチと彼の教え子のプレイヤーと
大阪スーパージュニアの時に一緒に食事に行こうということになって、天満の
駅を降りて、あの長い商店街を歩きながら、食事処を見ながら食べる場所を選ぼうと
して、一緒に着いてきた10人ほどのアンダー18のプレイヤーと会話しながら
歩いていたときのこと。

 このコーチは『ハンガリーは君が知っているように海がないから、魚を食べに行こう。』
と話していて、そりゃあそうだなと思いながら、一緒に歩いていて、ここにしようか
と思っていたら、彼の教え子のプレイヤーと他の何人かのプレイヤーが言ったのは

 『マクドナルドはどこ。』というものでした。

 そこで無理強いしても仕方ないので、魚メインのレストランのグループとマクドナルド
に行く一団に分かれて食事をして、うだうだと話していたときのこと。
このコーチが『yasu、君はどう思う。せっかく、これだけたくさんレストランがあって、
おいしいものが食べられるのに私のプレイヤーはマクドナルドを選んでいる。』

 少々顔を曇らせて続けて『試合になって、タフマッチのつばぜり合いでファイナル
セットが5-5のデュース。一方が魚や鳥中心に野菜をたくさん取って、飲むものも
気をつけていて、もうひとりが週に三回マクドナルドで食事している。どっちが
土壇場で体のコンディションが良かったり、これだけ気を使って体調を整えている
から私は大丈夫だと思いこんでプレイしたり、いい体調でいいメンタルも保てる
かわかるよな』と話してくれました。

 まぁ、この話を聞いて、ナタリーは随分、納得していましたが、果たしてニコロ・ブレガ
の過剰なコーラの摂取はどうなるのか、気になります。

 Moto3の予選が始まり、見ていてやはり、テニスの錦織圭の登場によって、
BSでの中継が増えたり、楽天オープンの入場者が劇的に変わったように自国の
ヒーローの必要性というのはあることを感じる。小野の走りと結果を見ていて
好成績の時とそうでない時のサーキットの熱量が明らかに違うことを実感する。

 MotoGPは素晴らしい走りでバレンティーノ・ロッシがポールポジション。
彼の素晴らしい走りに満足なファンは多かったことだろう。でもって、ホルヘ・ロレンソ
も痛み止めを打っての走りでどれだけ体が持つのかわからないが、決勝が
楽しみではある。

 サーキット内のレース実況でドゥカティがこのコースで今まで好成績を上げている
から日曜日が楽しみだという話をしていたが、どうなのかなと思いながら、プラマック
のジャコモ・グイドッティと話をする。

 ホンダとヤマハはミシュランでここをテストで走ったことがあるから、やはりそれは
大きなアドバンテージとなるが、そうでない我々はデータもないし、一発のタイムは
出せるかもしれないが、そちらに偏った戦術を取ってロングランのセットアップ
を出さないと明らかに日曜日に後ろを走るから難しいレースになると話、
彼のライダーのダニーロ・ペトルッチは予選は大満足ではないが、いいセットアップ
が見つかれば面白くなる。ただ、やはりブリヂストンでここで走った時と今回、初めて
ミシュランでの走行では大きな違いを感じたらしく、決勝はどうなるかは路面温度で
かなり変わってくるだろうと話してくれた。

 再び、ブレガ夫妻と会い、ナタリーが『これから水戸に行くけれど、明日が息子の
誕生日なの。どこで大きなケーキを買えるか調べてくれない』と尋ねられ、いくつか
電話番号と名前をピックアップして、伝える。スマートフォンを持つようになると
本当にこういった時に便利だと実感する。

 帰り支度が住んで水戸へと移動。今日も寿司である。本当に寿司が好きなんだな
と思うのと同時にファーストフードというものをイタリア人のオーバー40は好まない
ということを実感する。まぁ、その姿を見ていて、息子や娘がどうするのかは個人差が
あるので、何とも言えないが、いいことだと思う。

 時間的にモテギでのセッションが終わり、水戸に戻ってこの街の最大級の
ホームセンターに出かける。まぁ、モテギーフィリップアイランドーセパンの三連戦は
できるだけ荷物を少なくしたいということであるが、同時にこうして日本のこの場所に
しか置いていないものや待たずに購入できるもの、高い品質のものなどもある。
ちょっと見てみたいが、かなりの時間となり、買い物を済まして、すぐ近くの
回転寿司屋で夕食の時間。食事をしながら気になるのは今週開催のスペインの
ヘレス・デ・ラ・フロンテラでのスーパーバイク選手権である。

 AGVのマウリツィオ・ビターリの立ち位置からすると当然、ストック1000選手権の
ルカ・ビターリがどうなっているのかはネットですぐに調べたいということになる。
今週のスペインの状況、ライバルたちのタイムや走り、同じメーカーのマシンを
使っている他のライダーとの比較などの話をしているうちに眠くなってきて
うとうとしてきたので、帰り支度の時間となり、待ち合わせ時間を決めて別れる。
モテギも気になるが、同時にスペインも気になり、一日中レースのことを考えている
レースウィークである。

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