いよいよグランプリウィークの始まりである。昨日とは違って朝の
7時に集合。そこにいたのがダビデ・タルドゥッチ。かつてのスーパーバイク
世界選手権のことなどを話していたところにマウリッツィオがやってきて
会話を切り上げて車中の人となる。

 例によってパリダカラリーのような運転にはらはらどきどきしながら
サーキット入り。

 いつものようにAGVのオフィスに入ったところにダビデ・ブレガがやって
来た。まぁ、イタリア人の父親のやること、ライダーの親父でマネージャーの
考えることというのはみな一緒で息子を速く走る状況を作ってあげたい、
いい環境を用意したいというもので、前日は南海部品に出かけていろいろと
探しものをして、少しでも成績に結びつけるためのマテリアルを探していた
とのこと。まぁ、初めてこのモテギを走るわけでそれはできる限りのことを
してあげたいということなんだろう。

 続々とライダー本人、あるいはチームスタッフやマネージャーがAGV
のヘルメットを取りに来たり、ダイネーぜのライディングスーツをピックアップ
に来ている中でサンドロ・コルテーゼと会う。

 イタリアというのは実に地方色が豊かでそれぞれの方言を話すが、
現在、ドイツ国籍でイタリアのレース関係者と話すときはイタリア語を
話す彼はきれいなイタリア語を話す。親のカラーブリアなまりが感じられない
のは不思議だと思いながら、そのことを口にすると彼自身は習ったり、
親しんでいる言葉を話しているだけでことさらフィレンツェ方言という
いわゆるイタリア語を話しているつもりはないと言う。

 ノーランのオフィスに行き、ここでエンリコと話す。そこにレース業界の
トラベルエージェンシーのFASTのスタッフがやってきて、一緒にうだうだと
話す。

 FASTのマネージャーの娘が日本語を勉強しているということで、日本人
がイタリア語を勉強するよりもイタリア人が日本語を勉強するほうがはるかに
難しいこと。私はイタリア語の前にフランス語をやっていたからイタリア語
の初期段階でフランス語発想してイタリア語を勉強すればいいので実に
楽だったことなどを話す。

 いったん、AGVのオフィスに戻ったあと、ぶらつくとカルロ・ペルナット
の親父さんがパオロ・スカレアと話していて、そこにさらにやってきたのが
スズキのチームマネージャーのダビデ・ブリービィオ。来シーズンに関する
こと、他社の動きやミシュランのタイヤの話などをする。

 昼飯のテイクアウトした牛丼を食べ終わって、話題に上がったのがスペイン
で今週開催のスーパーバイク世界選手権のスペインラウンドのこと。
来季のホンダのマシンのこと、アプリリアの体制などわかっていることを
話しながらすごす。

 Moto3やMotoGPで結構転倒が多いなと思っていたところでダニ・ペトロサの
とんでもないクラッシュ。マシンの問題なのか、エンジンに理由を求める
べきなのかわからないが今年のミシュランの出来そのものだったり、
ミシュランのタイヤに合わせる必要があるなかでビッグクラッシュが
多くなっているとタイヤに何が大きな理由が存在するんではないかと
思ってしまう。

 パドック内でその素朴な疑問をぶつけるとオフィシャリーな場所ではミシュラン
批判をしない人ばかりだが、個人的な意見と前置きをして、ブリヂストンに比べて
いろいろな意味で問題があるとか、スペックをたくさん作りすぎているという話を聞く。
確かに不思議に思える転倒などがあると世界最高峰のライダーがコントロール
できないのにはタイヤの要因が強いように思える。

 ぶらぶらと歩いていると日本人の旧友と再会。彼はヘルメットオタクで知識も
収集欲もある人で彼と一緒にAGV,ノーラン、シャークといったメーカーのオフィスに
出かける。

 イタリアの二社のAGVとノーランに関してはスペックに関する質問が多かったが
シャークに関しては彼は今まで装着したことがなく、日本で流通自体がしていないのか
ということを尋ねると、シャークの市場はヨーロッパとアメリカ、カナダが主なところで
アジアではスクーター人口の多いマレーシアでは強い関心と意欲を持って活動しているが
ほかのアジアの国では日本のメーカーが強いことや距離的にも心理的にも遠いと
いうことで販売はしていないということらしい。

 この日本人の友人とパドックを歩きながら、年齢を重ねてきたことを実感するのが
我々の年代だとエッテルといえばぺトルであり、ブラドルという名前で想起するのが
ヘルムートであり、ブレガと聞いて思い浮かべるのがダビデであるわけで、長く
レースを見てきているが、近年のライダーのファミリーネームを聞いて、父親の姿が
頭に浮かぶことを二人して実感する。

 彼と別れて歩いていると久しぶりにヨハン・シュティゲフェルトと顔を合わせる。
彼が250ccクラスで走っていたときやスーパースポートでの活動をしていた時期、
さらにチームマネージャーとして自らのチームを率いていたときにはよく顔を合わせて
いたが、こうして会って話す機会を持つというのは実にうれしいものだ。

 その彼のチームだが、現行のラインナップから来季はメンバーを変えてくる。
その名前というのが結構サプライズ感を感じさせるもので、私も少々の驚きを
感じたライダーで公式のアナウンスはできないが君だけにだぞといって教えて
くれた。

 その後、カルロ・ペルナットの親父さんやグイドッティ兄弟とうだうだ話した後に
AGV&ダイネーゼのスタッフとともにサーキットを離れる。まず、ホームセンターで
買いたいものがいくつかあるということで出かけるがしばらく商品を探しているうちに
現れたのがアプリリアのスタッフ。そこにイタルトランスの連中もやってきたわけで
世界は狭いものだというか類を持って集うものだと実感する。

 ホテルに戻りすしとてんぷら両方食べたいという彼らとアントネッリの親父の
イゴールとともに和食の店に行って、今日の出来事、今週起きそうなことなどを
話しながら飲み食いして金曜日が終了。果たして土日はどんな日になるのだろうか。

 
 

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