8耐レースウィークどたばた日記。その四(7月30日編後編)。
2016年8月4日 スポーツ 7月30日に拾えたネタがあまりにも多くなったので、ここからは後編で
お伝えします。
8耐のトップテントライアルに入れなかったチームのライダーが割に時間に空きが
出たので結構うろついているので、話をする機会を得られた。その中の一人が
今回、酒井大作のteam motoraad39にジョイントする形で走ることになった
ルーカシュ・ペシェック。このブログの愛読者の方々には彼と私との関係が深いもの
だったり、長い付き合いだと理解している人も多いことでしょう。
今回、このチェコ人は初めてこの鈴鹿八耐を走ることになったが、考えている以上に
日本のメーカーの力の入れ方が凄いことに感銘を受けたようだ。とりわけヤマハが
GPライダーを二人引っ張ってきて、もともとの基本性能が素晴らしいR1をこのレースの
ためにさらに一段階、スペシャルなマシンに仕上げてきたら、これはもう、圧倒的な
強さを速さを見せつけて、他のカテゴリーのバイクのように思えるほどだったらしい。
かつてのホンダがGPライダーやSBKのライダーを引っ張ってきて、このレースの
ために200万ドルかけて一つのレースのためにスペシャルなバイクを用意して勝ちに
行って、実際勝っていた。その一方でタイヤやサスペンションが違うのに慣れなかったり
限界点を探りながら走るので能力を90%までは発揮できたが100%は表現できなかった
ということもあって、ジェームズ・トーズランドが転んだ時にはそれを実感したなどと
話すと納得していていました。
そのルーカシュだが、ないものねだりをしても仕方ないがやはり、これがあれば
もっと速く走れるとか、あれが装着されていたらいいのにとか自身が必要不可欠だと
思ったものが用意されていたら安心して走れてタイムが上がるということを感じている。
まぁ、これは持っている才能を発揮したいというのはライダーとして当然だし、
より速く走りたいというのは原始的な欲求でもあり、同時に彼が同じサーキットを走って
いて彼よりもただ、走るだけだとタイムが劣るライダーがパッケージングで速く
走られてしまうことに苛立つのはロジカルな話。
ほぼ、ストックと言ってもいいマシンでチームの努力とライダーの才能でワークス勢
に戦いを挑んで割って入るというようなことが実現されたらチーム力の高さとライダーの
実力に対する評価が非常に高くなるし、BMWの姿勢としてメーカー直系のファクトリー
チームがなく、BMWがシュツットガルトからダイレクトな形で分厚く力を入れてくるのは
ここではなくて、フランスで行われる二つの24時間レースだと言う。
その彼はチームメイトの二人の能力を高く評価していて、八耐以外でも世界レベル
で走れたら面白いという話題になった。
彼は私がチームライトスピードカワサキでブルーノ・ブレガとダビデ・ブレガのブレガ家
と近いというか密接な関係だった頃の様子を詳しくは知らないので、説明する。
あの親子はライダーのチョイスという部分では国籍や民族は問わないので
ライダーが怪我をしたりして、ライダーを探す時というのは、非常にオープンであったこと。
そして、あの二人はフランス語がわかるのでフランス選手権の様子を読んだり、
サーキットでフランス人ジャーナリストやチームスタッフとライダーの能力や契約的な
縛りなどを話しながら情報を仕入れていました。
まぁ、隣国の選手権で、割にすぐに飛んでいけるという部分もあったと思います。
そして、ドイツ人ライダーに関しては、ダビデ・ブレガの奥さんで現在、Moto3で走って
いるニッコロ・ブレガの母親として国際映像にも映ることのあるナタリーはドイツ人。
そんなわけで必要があれば、ドイツ語でドイツ選手権の様子も理解して、話も
進めることができた。
もちろん、国際選手権として高いレベルにあるイギリス選手権もチェックしていて、
そこに私が加われば、やらされることは全日本で走っているいいライダーはいないか
というもの。
私がその時に推していたのが酒井大作であり、彼がカワサキでSTK600で走って
チャンピオンになれば、当然、次は世界だということになり、カワサキと契約している
ライダーがメーカー直系のチームがないとなれば、カワサキのマシンで活動している
チームと交渉を持つのは自然な流れ。
同時にあの時期は今年、スーパーバイク世界選手権でワークスドゥカティで
走っているダビデ・ジュリアーノが走っていたと思うのですが、ジュリアーノは
カワサキイタリアとのメーカー契約でメーカー直系チームがなくて、ライトスピード
で走るということであのチームに所属していました。いわばサッカーの世界での
レンタル移籍。
そのジュリアーノはカワサキイタリアが他のカテゴリーだったり、違う国の選手権
に行って欲しいということになれば、それに従うわけで、ライトスピードサイドとしては
そうなった時のためにいいライダーを探す、あるいは情報収集は怠らないという
ことでした。
そこで私もお手伝いしていて、酒井大作というライダーの能力や性格に
高い評価をしていて、全日本チャンピオンになり、次は世界へということになるので
私もとても期待していたし、彼ならできると思っていたのですが、残念ながら
タイトルは取れなくて、ブルーノ・ブレガが色々な志や計画を抱いていながら
この世を去ってしまった。そして、ダビデ・ブレガはチーム運営を辞めてしまった
ので、必要な条件が整わない状況になり、彼をスーパースポート世界選手権
で走るのを見たかったが、それができなかった。
そんな過去のことルーカシュに説明すると納得していたようでした。
この話の流れでライダーの契約の話になったので、ルーカシュに来年はどうなるのだ
と話すとBMWとの契約は16年は当然あり、17年はオプション契約でライダーに行使権
があって、基本的には残留を考えているが、ライダーという人種は他のメーカーが
高性能のバイクを発表したり、いい体制での参戦活動があれば興味は抱くもの。
彼の次のレースがBMWの母国でもあるドイツでのオッシャースレーベンなので
その時にじっくりとメーカー関係者だったり、開発担当者と来年のマシンに関して
話すことになるだろうということでした。
彼から君は今年はヨーロッパには来ないのか。オッシャースレーベンには行かない
のかと尋ねられて、本当は行きたいが行けないと返答する。
私と彼とはチェコ語三割、英語七割で話していますが、チェコ語という言語は非常に
難しい。発音は日本人には割に楽だが何せ動詞の格変化が多いし、さらに名詞も
変化が七格ある。
そして、世界的にチェコ語話者というのは少ないから、あの言語を学ぶとなると
これはもうチェコで働く機会を得て、仕事以外でも24時間、必要な時に聞けたり
話せたり、質問できる状況じゃないと無理だと思う。
以前、マレーシアのクアラルンプールで働いていた時にチェコ語を勉強したい
のでチェコ大使館に行って、チェコ語の学習会などはないかと尋ねたら、チェコ人に
『この国にはチェコ人は30人しか住んでいなくてチェコ人コミュニティはないから
インターネットを使って、自力で勉強してちょうだい』と冷たくあしらわれたが、
『インターネットだとインタラクティブではなくて、質問ができないから困る』と言ったが
『チェコ語教室をやってもどれだけマレー人が来るのか想像できるでしょう』と
返答されて、それもそのとおりだなと思ってチェコ大使館を後にしました。
まぁ、そんな話はチェコ人との会話でないと出てこない話題ではある。
レースの解説というのは最近まで走っていた人というのが最新テクノロジーや
ライバルの動きなどを理解できるから、MotoGPの解説の話はチェコのテレビの
NOVAから来なかったのかと話すとどうやらテレビ放映に関してもアブラハム家
が色々な意味で力があるらしくて、ルーカシュのところに全く話が来ないらしい。
良くも悪くもアブラハム家なしではチェコのレースシーンというのはダイナミックな
展開がないから、テレビのコメンタリーなどに関してもパパアブラハムの考えが
人選に影響したり、パパアブラハムに考慮した選択になるのだろう。
こうして久しぶりにルーカシュと長く話せて、良かったなぁと思い別れを告げて
AGVのマウリツィオのところに行くと気になるのはミザノのイタリア選手権のこと。
まぁ、彼の家のイジェアマリーナから20キロほどだし、私の住んでいたリミニからも
12キロぐらいなので言ってみれば彼にとっても私にとってもホームレース。
そして、やはりイタリア人の親は子供を溺愛するというか全てを捧げるわけで
ネットで情報を収集するのは当然なのだろう。
その後、ジャンルカ・ヴィッツィエッロのところに行くと彼もやはりミザノでの
イタリア選手権のことが気になっていて、CIV(campionato italiano velocita’)の
ホームページやらイタリアのレースサイトをネットサーフィンしている。
どういうわけか彼はミケーレ・ピッロに関して仲が悪いのか彼の環境が
羨ましくてジェラシーを感じているのか、彼の勝利を苦々しく思っている。
仲が悪いのはどうしようもないが、彼の環境を羨むのは間違っていて、彼が
ドゥカティとのいい関係を手にしているのは彼の性格が南イタリア出身ながら
同じ南イタリア出身のジャンルカ・ヴィッツィエッロとは程遠いものでピッロは
物事を非常に冷静に大局観がある。
話している言葉も日本人の私でエミリアロマーニャ州の訛りのある私が聞いて
も聞きやすいイタリア語を話して、全てのイタリア語話者が聞いても
わかりやすいように話すのがドゥカティのテストライダーで環境が整えばイタリア
選手権にも出て、ライダーの負傷などがあればすぐに代役として出走するのが
ピッロであるが、ジャンルカ・ヴィッツィエッロは郷土愛の方がビジネス頭よりも
先行して私が聞いていても他のイタリア人が耳にしても時々聞き取れないような
きついマテーラ訛りのイタリア語を話す。
そして、ピッロの場合は冷静に大局観を持っているいるから何か自分として
気に入らないことや合わないことがあっても、それがどんな理由でどんな経緯で
発生したことなのかを考えるが、ヴィッツィエッロはすぐに怒って、自らの不満感を
正直に表現してしまう。
かつて、アッセンでのストック1000のレースの時に彼がトップグループで
競り合っていて中盤から後半に入り、さぁ、これから勝負を掛けるぞという時に
赤旗で中断でそのままレース終了となったことがありました。
ピットに戻ってきてから、『このレースは俺のものになったのに何で優勝
できなかったのだ』と荒れていたのですが、その時、サーキットではクラッシュした
アレッシオ・ペリーニが倒れている現場に救急車とメディカルスタッフがやってきて
救命処置をしていて、そこにドクターヘリがやって来ようという状態。
その後、表彰台のセレモニーでシャンパンファイトは自粛するとオーガナイザーに
言われて、ようやくことの次第がわかって、自らの発言がまずかったと思って反省
していたが、レースの世界に長くいたら、赤旗で中断になったら、自らの勝利に対する
欲望は置いておいて、何が理由でどうなったかを冷静に考えなければいけないのに
他のライダーが理由をスタッフに尋ねていたり、知ろうとしている中で自分の
勝利だけを考えているとなると、これはメーカーやチーム関係者は同じ程度の速さや
実力のあるライダーと交渉したくなるもの。
ジャンルカ・ヴィッツィエッロはいいライダーだし、ミケーレ・ピッロと同等の速さを
持っていると思うが、同じ南イタリア出身でもジャンルカには無くて、ミケーレが
有しているものがあると思う。
そんなライダーとチーム、ライダーとメーカーの契約のことを思っているうちに
AGVのマウリツィオが仕事を終えて、今日一日が終了。明日はいよいよ八耐決勝
である。
お伝えします。
8耐のトップテントライアルに入れなかったチームのライダーが割に時間に空きが
出たので結構うろついているので、話をする機会を得られた。その中の一人が
今回、酒井大作のteam motoraad39にジョイントする形で走ることになった
ルーカシュ・ペシェック。このブログの愛読者の方々には彼と私との関係が深いもの
だったり、長い付き合いだと理解している人も多いことでしょう。
今回、このチェコ人は初めてこの鈴鹿八耐を走ることになったが、考えている以上に
日本のメーカーの力の入れ方が凄いことに感銘を受けたようだ。とりわけヤマハが
GPライダーを二人引っ張ってきて、もともとの基本性能が素晴らしいR1をこのレースの
ためにさらに一段階、スペシャルなマシンに仕上げてきたら、これはもう、圧倒的な
強さを速さを見せつけて、他のカテゴリーのバイクのように思えるほどだったらしい。
かつてのホンダがGPライダーやSBKのライダーを引っ張ってきて、このレースの
ために200万ドルかけて一つのレースのためにスペシャルなバイクを用意して勝ちに
行って、実際勝っていた。その一方でタイヤやサスペンションが違うのに慣れなかったり
限界点を探りながら走るので能力を90%までは発揮できたが100%は表現できなかった
ということもあって、ジェームズ・トーズランドが転んだ時にはそれを実感したなどと
話すと納得していていました。
そのルーカシュだが、ないものねだりをしても仕方ないがやはり、これがあれば
もっと速く走れるとか、あれが装着されていたらいいのにとか自身が必要不可欠だと
思ったものが用意されていたら安心して走れてタイムが上がるということを感じている。
まぁ、これは持っている才能を発揮したいというのはライダーとして当然だし、
より速く走りたいというのは原始的な欲求でもあり、同時に彼が同じサーキットを走って
いて彼よりもただ、走るだけだとタイムが劣るライダーがパッケージングで速く
走られてしまうことに苛立つのはロジカルな話。
ほぼ、ストックと言ってもいいマシンでチームの努力とライダーの才能でワークス勢
に戦いを挑んで割って入るというようなことが実現されたらチーム力の高さとライダーの
実力に対する評価が非常に高くなるし、BMWの姿勢としてメーカー直系のファクトリー
チームがなく、BMWがシュツットガルトからダイレクトな形で分厚く力を入れてくるのは
ここではなくて、フランスで行われる二つの24時間レースだと言う。
その彼はチームメイトの二人の能力を高く評価していて、八耐以外でも世界レベル
で走れたら面白いという話題になった。
彼は私がチームライトスピードカワサキでブルーノ・ブレガとダビデ・ブレガのブレガ家
と近いというか密接な関係だった頃の様子を詳しくは知らないので、説明する。
あの親子はライダーのチョイスという部分では国籍や民族は問わないので
ライダーが怪我をしたりして、ライダーを探す時というのは、非常にオープンであったこと。
そして、あの二人はフランス語がわかるのでフランス選手権の様子を読んだり、
サーキットでフランス人ジャーナリストやチームスタッフとライダーの能力や契約的な
縛りなどを話しながら情報を仕入れていました。
まぁ、隣国の選手権で、割にすぐに飛んでいけるという部分もあったと思います。
そして、ドイツ人ライダーに関しては、ダビデ・ブレガの奥さんで現在、Moto3で走って
いるニッコロ・ブレガの母親として国際映像にも映ることのあるナタリーはドイツ人。
そんなわけで必要があれば、ドイツ語でドイツ選手権の様子も理解して、話も
進めることができた。
もちろん、国際選手権として高いレベルにあるイギリス選手権もチェックしていて、
そこに私が加われば、やらされることは全日本で走っているいいライダーはいないか
というもの。
私がその時に推していたのが酒井大作であり、彼がカワサキでSTK600で走って
チャンピオンになれば、当然、次は世界だということになり、カワサキと契約している
ライダーがメーカー直系のチームがないとなれば、カワサキのマシンで活動している
チームと交渉を持つのは自然な流れ。
同時にあの時期は今年、スーパーバイク世界選手権でワークスドゥカティで
走っているダビデ・ジュリアーノが走っていたと思うのですが、ジュリアーノは
カワサキイタリアとのメーカー契約でメーカー直系チームがなくて、ライトスピード
で走るということであのチームに所属していました。いわばサッカーの世界での
レンタル移籍。
そのジュリアーノはカワサキイタリアが他のカテゴリーだったり、違う国の選手権
に行って欲しいということになれば、それに従うわけで、ライトスピードサイドとしては
そうなった時のためにいいライダーを探す、あるいは情報収集は怠らないという
ことでした。
そこで私もお手伝いしていて、酒井大作というライダーの能力や性格に
高い評価をしていて、全日本チャンピオンになり、次は世界へということになるので
私もとても期待していたし、彼ならできると思っていたのですが、残念ながら
タイトルは取れなくて、ブルーノ・ブレガが色々な志や計画を抱いていながら
この世を去ってしまった。そして、ダビデ・ブレガはチーム運営を辞めてしまった
ので、必要な条件が整わない状況になり、彼をスーパースポート世界選手権
で走るのを見たかったが、それができなかった。
そんな過去のことルーカシュに説明すると納得していたようでした。
この話の流れでライダーの契約の話になったので、ルーカシュに来年はどうなるのだ
と話すとBMWとの契約は16年は当然あり、17年はオプション契約でライダーに行使権
があって、基本的には残留を考えているが、ライダーという人種は他のメーカーが
高性能のバイクを発表したり、いい体制での参戦活動があれば興味は抱くもの。
彼の次のレースがBMWの母国でもあるドイツでのオッシャースレーベンなので
その時にじっくりとメーカー関係者だったり、開発担当者と来年のマシンに関して
話すことになるだろうということでした。
彼から君は今年はヨーロッパには来ないのか。オッシャースレーベンには行かない
のかと尋ねられて、本当は行きたいが行けないと返答する。
私と彼とはチェコ語三割、英語七割で話していますが、チェコ語という言語は非常に
難しい。発音は日本人には割に楽だが何せ動詞の格変化が多いし、さらに名詞も
変化が七格ある。
そして、世界的にチェコ語話者というのは少ないから、あの言語を学ぶとなると
これはもうチェコで働く機会を得て、仕事以外でも24時間、必要な時に聞けたり
話せたり、質問できる状況じゃないと無理だと思う。
以前、マレーシアのクアラルンプールで働いていた時にチェコ語を勉強したい
のでチェコ大使館に行って、チェコ語の学習会などはないかと尋ねたら、チェコ人に
『この国にはチェコ人は30人しか住んでいなくてチェコ人コミュニティはないから
インターネットを使って、自力で勉強してちょうだい』と冷たくあしらわれたが、
『インターネットだとインタラクティブではなくて、質問ができないから困る』と言ったが
『チェコ語教室をやってもどれだけマレー人が来るのか想像できるでしょう』と
返答されて、それもそのとおりだなと思ってチェコ大使館を後にしました。
まぁ、そんな話はチェコ人との会話でないと出てこない話題ではある。
レースの解説というのは最近まで走っていた人というのが最新テクノロジーや
ライバルの動きなどを理解できるから、MotoGPの解説の話はチェコのテレビの
NOVAから来なかったのかと話すとどうやらテレビ放映に関してもアブラハム家
が色々な意味で力があるらしくて、ルーカシュのところに全く話が来ないらしい。
良くも悪くもアブラハム家なしではチェコのレースシーンというのはダイナミックな
展開がないから、テレビのコメンタリーなどに関してもパパアブラハムの考えが
人選に影響したり、パパアブラハムに考慮した選択になるのだろう。
こうして久しぶりにルーカシュと長く話せて、良かったなぁと思い別れを告げて
AGVのマウリツィオのところに行くと気になるのはミザノのイタリア選手権のこと。
まぁ、彼の家のイジェアマリーナから20キロほどだし、私の住んでいたリミニからも
12キロぐらいなので言ってみれば彼にとっても私にとってもホームレース。
そして、やはりイタリア人の親は子供を溺愛するというか全てを捧げるわけで
ネットで情報を収集するのは当然なのだろう。
その後、ジャンルカ・ヴィッツィエッロのところに行くと彼もやはりミザノでの
イタリア選手権のことが気になっていて、CIV(campionato italiano velocita’)の
ホームページやらイタリアのレースサイトをネットサーフィンしている。
どういうわけか彼はミケーレ・ピッロに関して仲が悪いのか彼の環境が
羨ましくてジェラシーを感じているのか、彼の勝利を苦々しく思っている。
仲が悪いのはどうしようもないが、彼の環境を羨むのは間違っていて、彼が
ドゥカティとのいい関係を手にしているのは彼の性格が南イタリア出身ながら
同じ南イタリア出身のジャンルカ・ヴィッツィエッロとは程遠いものでピッロは
物事を非常に冷静に大局観がある。
話している言葉も日本人の私でエミリアロマーニャ州の訛りのある私が聞いて
も聞きやすいイタリア語を話して、全てのイタリア語話者が聞いても
わかりやすいように話すのがドゥカティのテストライダーで環境が整えばイタリア
選手権にも出て、ライダーの負傷などがあればすぐに代役として出走するのが
ピッロであるが、ジャンルカ・ヴィッツィエッロは郷土愛の方がビジネス頭よりも
先行して私が聞いていても他のイタリア人が耳にしても時々聞き取れないような
きついマテーラ訛りのイタリア語を話す。
そして、ピッロの場合は冷静に大局観を持っているいるから何か自分として
気に入らないことや合わないことがあっても、それがどんな理由でどんな経緯で
発生したことなのかを考えるが、ヴィッツィエッロはすぐに怒って、自らの不満感を
正直に表現してしまう。
かつて、アッセンでのストック1000のレースの時に彼がトップグループで
競り合っていて中盤から後半に入り、さぁ、これから勝負を掛けるぞという時に
赤旗で中断でそのままレース終了となったことがありました。
ピットに戻ってきてから、『このレースは俺のものになったのに何で優勝
できなかったのだ』と荒れていたのですが、その時、サーキットではクラッシュした
アレッシオ・ペリーニが倒れている現場に救急車とメディカルスタッフがやってきて
救命処置をしていて、そこにドクターヘリがやって来ようという状態。
その後、表彰台のセレモニーでシャンパンファイトは自粛するとオーガナイザーに
言われて、ようやくことの次第がわかって、自らの発言がまずかったと思って反省
していたが、レースの世界に長くいたら、赤旗で中断になったら、自らの勝利に対する
欲望は置いておいて、何が理由でどうなったかを冷静に考えなければいけないのに
他のライダーが理由をスタッフに尋ねていたり、知ろうとしている中で自分の
勝利だけを考えているとなると、これはメーカーやチーム関係者は同じ程度の速さや
実力のあるライダーと交渉したくなるもの。
ジャンルカ・ヴィッツィエッロはいいライダーだし、ミケーレ・ピッロと同等の速さを
持っていると思うが、同じ南イタリア出身でもジャンルカには無くて、ミケーレが
有しているものがあると思う。
そんなライダーとチーム、ライダーとメーカーの契約のことを思っているうちに
AGVのマウリツィオが仕事を終えて、今日一日が終了。明日はいよいよ八耐決勝
である。
コメント