今年も8耐ウィークが始まり、ライダーやエンジニア、チームスタッフは大体
火曜日か水曜日に現地入りしているが、AGVヘルメットのマウリツィオ・ビターリは
色々なスケジュールの縛りがあり、木曜日に名古屋のセントエアに到着。
それに合わせて、お迎えにあがる。

 顔を合わせて、すぐにSIMカードかルーターを購入するかレンタルするかを
考えて、ショップに行き、スペックと料金を聞いて、ルーターということになり
レンタルすることになり、すぐにセットアップして、今度はレンタカーオフィスに行き
鈴鹿へと向かう。

 AGVというメーカーとしては八耐人気がヨーロッパでも盛り上がり、カレンダー上
スーパーバイク世界選手権のレースがほぼ二ヶ月なく、MotoGPも夏休みで
ユーロスポートの決勝生中継があり、そこにポル・エスパルガロが出場すると
なると、ライダーの要請もあって、彼が来るということになる。

 昨年のこのレースのヤマハファクトリーの速さと強さ。そして、ポル・エスパルガロ
の凄さを見ている私としてはやはり、今年のレースでもヤマハが予算をしっかり
と確保して、チーム組織をオーガナイズして、ライダーもあの素晴らしい予選の
神ラップを見せてくれたポル・エスパルガロを再び走らせるというのはヤマハの本気
を感じる。

 話題が日本人ライダーとメーカーの話になり、前述の昨年の八耐、そして、ここまでの
全日本選手権の中須賀の強さを見ていて、ミザノアドレアティコとラグナセカに
不幸にも回復が間に合わずシルヴァン・ギュントリが走れないという時にヤマハ
が中須賀を走らせないというところに疑問を感じると話す。

 このブログの愛読者の方はご存知のように私とマルコ・メランドリは非常に近い
関係にあるし、ニッコロ・カネパとは彼がカワサキでストック600、スーパースポート
世界選手権で走っていた頃から仲がいいから、ヤマハサイドがメランドリと交渉を
持つことはいいことだと思うし、イタリア選手権や世界耐久選手権でR1を走らせ
ているカネパの起用というのはうれしいと思うが、その一方で全日本でアンタッチャブル
の速さを持っている中須賀がレギュラーライダーのフランス人が走れない時に
R1を走り慣れていて、全日本で結果を出している彼が走ることができないというのは
非常に悲しいことだと話す。

 他のメーカーの話題になり、私が気になっているのがBMWのユーザーチームの
BMWモトラッド39だと言う。

 ライダーの酒井大作はキャリア初期はホンダの250のライダーで彼がワイルドカード
参戦した鈴鹿のグランプリでウェットコンディションで素晴らしい走りを見せて
大殊勲の2位を獲得しイタリア人ジャーナリストに頼まれて彼のところに話を聞きに
行き、取材して、マルコ・マセッティやマッシモ・アンジェレッティに評価をいただいたこと。

 その後のホンダのパーティでちょうどスコットレーシングチーム
の連中がいたので、チームの連中に彼を紹介して、チャンスがあれば、深い話を
したいなどと挨拶がてら話をした時から気になる存在である。

 その時にいきなり全日本でトップを走っていても、そこから500なりMotoGPというのは
難しいし、当時、存在したヤマハの250というのは不可能に近いという話になり、
ホンダで250ぐらいしかないなという話を彼と彼のスタッフと話していた。

 その話の流れで私が持ちだした話というのがスーパースポート世界選手権という
カテゴリー。

 ヨーロッパでスーパーバイク世界選手権を見ていた私としては、250に出場できない
と4ストローク600ということになるが、スーパースポート世界選手権は非常にある意味
オープンなカテゴリーでマシンによる差が小さく、リアルライダーチャンピオンシップ
に近いのではないか。モンツァの予選で1.1秒以内にポールポジションから21位まで
が密集して、最終コーナーを六台並んでフィニッシュするというレースを見ている
そこに日本人で能力があったり、250ではしれなくて500は当然難しいとなると
4スト600で世界の列強がしのぎを削るカテゴリーであり、ここで活躍してスーパーバイク
世界選手権なりMotoGPに行こうとしている連中が戦うカテゴリーに行くというのは
ヨーロッパ目線だとあるから、この方法で世界に出て行くことがあってもいい
などと話すと顔は笑っているが、途中から彼から視線に圧を感じました。

 まぁ、これは私の知る、世界のスターライダーと同じ行動パターンで気になる話題、
レース関係の理解しておいたほうがいいと思える話になった時に顔は笑っていても
視線が明らかに違ってきたり、話す口調が異なるわけで、彼もトップライダーの
持つ、空気感があるななどと思いました。

 マウリツィオが非常に興味深く聞いていたので、その日本人ライダーのその後は
どうなったのかということを尋ねたので話を続ける。

 その後、酒井大作はしばらくして、カワサキの600で全日本のストック600を戦うこと
になりました。

 私はヨーロッパで当時、スーパースポート世界選手権に参戦していたライトスピード
カワサキのダビデ・ブレガと近い関係にあったのでライダーの人選という話題
になった時に私が推していたのが酒井大作で、もし、彼が全日本チャンピオンになり、
次は世界だということになったら、チームがライトスピードでカワサキのマシンで
私が通訳兼コーデイネーターという形になったはずだが、チームオーナーの
ブルーノ・ブレガが亡くなり、マネージャーのダビデ・ブレガが世界選手権からの
撤退をして、現在はMoto3で走っているニッコロ・ブレガのミニバイクでの活動
のみに集中するということになってしまい、ライトスピードサイドの活動停止
になってしまったこと。

 また、酒井大作もカワサキでの活動の後に方針を転換しや彼の飲食関係の
仕事の比重などもあって、紆余曲折の後にヨシムラで2009年の台風の影響で
三度もセーフティカーが先導したレースをしっかりと勝ちきり評価を高めて、
この数年はBMWとの関係を深めて、現在はほぼストックの状態ながら
全日本選手権で日本メーカーのファクトリー勢やセミワークスを
脅かす速さを見せていることやチームのパワーがアップして今回はシュツットガルト
のBMWサイドが推奨するルーカシュ・ペシェックとケニー・フォレイが走ることや
事実上のジュニアチームを有して若いライダーが走ることなどを彼が
BMWと強い関係性を有していること説明する。

 AGVユーザーのルーカシュ・ペシェックが私と彼がチェコ語三割、英語七割で
会話をしていることを何度も見ていて、近い関係を間近に見ていたり、彼が
AGVを使うことでチェコでの商品訴求力だったり、浸透度を肌で感じているから
その彼が今回ジョイントするチームのことが気になったりマウリツィオの息子の
ルカ・ビターリがBMWでストック1000選手権を走っていることもあって、このチーム
の活動や成績や結果が気になるようだ。

 その後、ステファン・ブラドルのホンダSBKチーム入りとマルコ・メランドリの
ドゥカティSBK加入の話になる。

 マックス・ノイキルフナーがアルスタースズキで勝利を奪い、ドイツのレースファン
が喜んだのは考えてみればもう2008年のことだし、マルクス・レイテルベルガー
の活動がBMWとの動きとリンクしているわけで、BMWの方向性次第という部分が
あるとなるとドイツ人ライダーがファクトリーバイクで走ることでドイツ市場が活性化
する可能性が高いこと。

 イタリア人ライダーが勝てていないなかでイタリアで地上波放映権を有している
メディアセットがかなりプレッシャーを掛けていたこと、ドゥカティSBKの
メインスポンサーのアルバが現在のダビデ・ジュリアーノに満足せず、
勝てるライダーで現在は浪人中のマルコ・メランドリを求めたことなどがあっての
ライダー市場の動きが急になり、こうした発表になったこと、その裏側にライダーの
勝ちたいとか勝てるバイクで走りたいという思いと同時に大きな組織の不満足感
が現状を変えることや方向転換に関わっていることなどを話す。

 そんなこんな、ライダーマーケットの話題とメーカーの動きなどうだうだ話している
うちに鈴鹿サーキットに到着。

 続きはまた、後ほど。

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