先週末はMotoGPもスーパーバイク世界選手権のレースもなく、
世界中のレースファンの注目はポルトガルで開催された世界耐久選手権の
ポルティマオ12時間でした。このレースが素晴らしく美しい戦いとなりました。

 耐久レースでのチェッカードフラッグの瞬間というのは勝者が少なくとも30秒以上
差をつけたり、一周以上のアドバンテージを築いて最終ラップは観客に手を
振ったりしながら、観客から賞賛を浴びながらゆっくりと走ってのフィニッシュと
なるものがほとんどです。

 日本人で耐久レースを見ている人からすると唯一に近い例外というのは
1994年の鈴鹿八耐でのテールトゥノーズの戦いでしょう。
http://www.suzukacircuit.jp/motorsports_s/library/img/history/1994-final.gif

 このレースは最後の最後までどうなるのかわからなかった戦いでコンマ3秒差
での決着となって面白かったのですが、最後のスティントで仕掛けるのかなと
思っていましたが、アタックにいって転倒するリスクもあり、激しい攻防というものが
なく、順位の入れ替わりはなく終わりました。

 しかし、先週末のポルティマオ12時間は最終ライダー同士で凄まじいバトルに
なりましたね。

 そして、最終的な結果は12時間戦って、ウィナーと二位の差が1000分の81秒差。
ダビデ・チェカは何が何でも勝とうとして、100%どころか110%の力を出して
オーバーテイクをして、そして、リードを築こうとして走りました。

 耐久レースとは思えないような素晴らしい戦いで、耐久レースの歴史に残る
素晴らしいバトルとなりました。

 今日に至るまでダビデ・チェカは国内選手権でも世界選手権でも勝利を
奪ってきました。しかし、先週のポルティマオ12時間というのは彼のレーシング
キャリアの中でも最も輝きを持つレースになったと思います。

 素晴らしいレースを見られた幸福感を感じながら、鈴鹿八耐でも彼が
輝いて欲しいと思いますね。

 私と彼との間には今まで色々な立ち位置で言葉を交わしてきました。
人間関係なので近い時もあれば少々離れた時期もあったのですが、
彼の力量を認めているのは昔も今も変わりません。

 今回の勝利を心から喜びながら、鈴鹿でいい戦いを見せて欲しいなと
思っています。

 何度も見たくなるレースですね。彼のポストレースインタビューも大変
印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=g-2YBdQ0zeo

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