名古屋の自宅を出て、平田町駅へ行き、マウリツィオを迎えにホテルへと
行き、彼と合流。車内で先週のイタリア選手権のイモラの話をしながら、
今年のイタリア選手権のことに触れながら移動してピットに入る。

 ヤマハのピットに行くと、そこに何とパオロ・ゴッツィの姿。彼ほどの
ジャーナリストが来るというのは今年の8耐が非常にニュースバリューの
あることを示している。

 今年のホンダの8耐の体制。全日本のことなどをうだうだと話す。
同時に思ったのはバレンティーノ・ロッシが8耐を戦った時にジョバンニ・
ザマーニあたりも来ていてレースが特別な価値を生み出す時はイタリアの
ジャーナリストも来るものだなというものであった。ただし今回が
ジョバンニ・ザマーニが鈴鹿に来た時と大きく違うのはパオロ・ゴッツィに
とってはSBKのUSラウンド、鈴鹿8耐、SBKのマレーシアという三週連続
の取材であるということだ。この三つの中の二週はまだしも、三週連続は
結構しんどいと思う。

 そこにブレンボのエウジェーニオ登場。しばらく、うだうだと話す。
パドックを歩いていたら、きれいなおねえちゃんが多くなってきたことを
実感する。さすがに木曜日から分厚く宣伝活動をするチームやメーカーは
少ないのだろうが、今日や明日からの観客に向けてやることが多いことを
実感する。

 今年の8耐で唯一のイタリア人ライダーである、エミリアーノ・ベルッチ
のピットに行く。彼が言うのにはこのサーキットは本当に素晴らしい。
近年のサーキットはストップアンドゴーのところばかりでどこも同じに
感じてしまうが、ここはロングストレート、スローコーナー、ファストコーナー
があり、アップダウンもあって、エンジニアにもライダーにも難しいが
実にチャレンジングなところという評価である。これは彼に限らず、数多くの
海外のライダーから聞く話。私も地元の身びいきで言うわけではなく、
鈴鹿はブルノ、アッセン、バルセロナ、ムジェッロと同様にエキサイティング
なサーキットだと思う。

 彼と話をしていて、たまたまライダーの選択という話になった。
私が10年ほど前に新垣敏之さんと話をしていて、できることなら8耐に
ウィリアム・コストとクリスティアーノ・ミッリョラーティを呼んでチームを
作りたいという話があった。そこで私に上記の二人以外でリッターバイクの
経験があり、複数のメーカーに乗ったことがあり、一定以上の実力がある
ライダーで鈴鹿8耐に乗せて面白いのは誰だという質問を受けて、10年前の
私の答えが『ジョバンニ・ブセイとマウロ・サンキーニ』であった。

 同じ質問を5年前にされて、スポンサー次第だが、お金を払えない、あるいは
払ったとしても少額だが、この日本で一番注目されていて業界人への
最大のアピールになるレースにリッターバイクで走れる能力があるのは誰か
と言われた時の私の回答は『ジャンルカ・ヴィッツィエッロ、ジャンルカ・ナンネッリ、ロレンツォ・アルフォンシ、ロレンツォ・ランツィ』であった。
こういう私の理解力に基づくライダーの評価を話すことはあまりないのだが
答えを聞いて彼が思ったのは、割に彼らのような能力はあるがスポンサー
を持参できなくて、チャンスがなかったり、ビッグチームで望んだカテゴリーで
参戦できなかったライダーは喜んでイタリアから来るのではないかというもの
であった。

 ヤマハのピットの辺りを歩いていたらアレックスフォトのマッテオと会う。
そこにパオロ・ゴッツィが合流。来週のスーパーバイク世界選手権の
マレーシアのことを話す。アプリリアでマックス・ビアッジが走り、
今シーズンを再び走れそうにない不運なダビデ・ジュリアーノの代打は
予想通りミケーレ・ピッロであることを知る。現在は長いお休みとなった
マルコ・メランドリはどうなるのかと話すと目線がヤマハのR1の方に。
まぁ、ヤマハとしても再参入となると実力があって、世界選手権レベルでの
経験も豊富なメランドリというのはいくつかある中の有力な候補者であるのは
間違いない。

 マルコ・メランドリ以外で考えられるのはシルヴァン・ギュントリや
マックス・ノイキルフナーらしい。さらにフローリアン・マリーノも候補者
であるとのこと。

 昨日に続いて、エルワン・ニゴンと話す。彼はフランス人だが、今年は
この耐久レース以外の主要な活動というのはドイツ選手権である。彼の理解
ではフランス選手権で競り合いになるのは一人か二人だが、ドイツ選手権
では5人以上になる。マックス・ノイキルフナー、ロレンツォ・ランツィと
いった世界レベルでの勝った経験のある連中がここで戦っていて、さらに
ハビ・フォレス、マテイ・シュムルツも時にトップクラスの走りをして
現在、ドイツで業界評価が高くなっているマルクス・レイテルベルガーが
いるからほぼ同じ条件でどちらをやるのかという選択になった場合、
ドイツを選んで、レースウィークが重複しない時にこうして日本のチーム
との交渉がまとまれば来日したり、他の耐久のチームで違う大会に出る
ということでシーズンを進めているとのこと。

 ここでもマルクス・レイテルベルガーの名前が挙がっていて、果たして
2016年シーズンに若きスター候補生がスーパーバイク世界選手権に
参戦を果たすのか、BMWイタリアでメーカーのサポートを受けながら
アイルトン・バドビーニとチームを組んで世界で走るのかかなり気になる。

 コース上に目を移すと、エルワン・ニゴンと話していた内容もあって
BMWの快速ぶりがかなり気になる。どうしてもハルク・プロとサクライホンダ、
ヤマハファクトリーとチームグリーン、チーム加賀山のメーカーの関与度に
濃淡はあるが手の入っていて、いいタイムを叩きだしているマシンとライダーは目を奪われるのだが、同時にBMWの速さは出色でライダーがいいのは当然
だが、マシンもかなりいいのだろう。来季のスーパーバイク世界選手権に
BMWがただ、マシンを出すだけという形でなくて、力を入れてきたら
面白いことになるし、そこにヤマハのR1も加われば実にエキサイティング
なシーズンになるだろう。

 ヤマハGMTのピットの辺りにいるとジャンマルクと会う。現在の彼の
活動はシャークヘルメットではなくて、色々と素材や材質関連だったり、
ライディングギアに関するものでシャークは離れているということらしい。

 しばらく、シャークヘルメットのブースで会わなかったのでどうしているのか
と思っていたら、こういう活動の転向ということがあったということだ。

 私がジャンマルクと話しているところに現れたのが何とウィリアム・コスト。
ずいぶん久しぶりである。今回のこの8耐は注目度が高く、ユーロスポート
での放送もあって、今回の彼はユーロスポートフランスのコメンテーター
ということでの来日。現在の彼はこういった放送関係とライダーのコーチ業
が主なことになっているとのこと。

 しばらく会っていなかったり、懐かしい顔を見たりできるというのも
レースの規模が大きかったり、注目度が高いからであって、今年の8耐の
持つ意味を強く感じる。

 その後、マウリツィオと合流して、イオンに行き、食事をして私は名古屋へと
戻る。長い一日が終わった。


 
 

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