今週はF1のバーレーン、日本のスーパーフォーミュラとスーパーバイクの併催
の2&4が鈴鹿で行われ、バイクの世界耐久選手権のルマン、スーパーバイク世界
選手権のオランダ、ブリティッシュスーパーバイクのブランズハッチがあり、
見たいものがたくさんあります。レースがあれば、様々な議論が巻き起こる
のですが、スーパーバイク世界選手権のオランダでのスーパースポートクラス
の優勝争いが世界中のレースファンの議論の的になっていますね。

 まぁ、何が何でも勝ちたい。ライバルに負けたくない。そんな思いを持っ
ている連中が世界格式のレースで戦うことができます。そんな中でギリギリ
のつばぜり合いなのかライバルを叩き落とす悪質な攻撃なのかは常に議論に
なります。

 オランダでのスーパースポートの最終ラップの最終コーナーでの
ケナン・ソフオーグルとジュール・クルーゼルとの争いというのは現在
進行形での議論が沸き起こっています。

 この今回の議論になっているシーンを見て思い出したのは、1991年の
ミザノアドレアティコでのルカ・カダローラとヘルムート・ブラドルの
バトルですね。昔からのレースファンはすぐに思い出せる例のフィニッシュ
です。
https://www.youtube.com/watch?v=FmoPI1B86SA

 イタリア人はカダローラの勇敢なアタックだと評価して、ドイツ人は
あれは反則でやるべきではないという判断をしている衝撃的なフィニッシュ
ですが、レースディレクションはあれはカダローラのアタックを反則だとは
見なさずにカダローラの優勝、ブラドルの二位が映像やタイム計測通り
確定しました。

 話をオランダのアッセンに戻すと、今回のソフオーグルの走りに関して
少なくとも今のところレースディレクションは反則だと見なさずに順位は
確定しています。クルーゼルサイドは異議申し立てをするかもしれませんが
日曜日のオランダ時間のレース終了30分後の段階では結果が確定しています。

 どんな際どいレースであっても、議論を呼び起こすレースであっても
レースディレクションがフィニッシュライン到達通りの順位で確定とする
ということであれば、これはソフオーグルのライディングは正しいもの
だということだと私は思っています。

 ケナン・ソフオーグルのレーシングキャリアの中で私は悲しくて辛い
シーンを見たことがあります。

 当時、ストック1000選手権でヤマハチームジャーマニーで参戦していた
ドイツ在住のトルコ人の彼がタイトルにリーチをかけて乗り込んだフランスでの
最終戦。予選を上手く乗りこなし、レースもほとんどを支配していました。

 チームメイト同士の優勝争いにしてタイトル争い。先着した方がフランス
ラウンドに勝利して、そして、タイトルを獲得するというレース。彼は
そのレースのほとんどを支配していました。

 そして、最終ラップ。チームメイトの攻撃からも逃げ切れるリードを保ち、
最終コーナーを抜けてフィニッシュするだけでした。

 その彼がマニクールの最終コーナーでまっすぐ行ってしまい、コースに
戻った時にはチームメイトはチェッカーを受けて優勝。そして、彼は
そのレースとタイトルを失いました。

 同じ間違いは二度としない。勝てるレースを二位で終わることを甘受しない。
常に全力を尽くす。諦めが肝心なんてことはありえなくて、諦めが悪いことが
美しいことだと信じている彼が勝つためにギリギリのライディングをしたという
のが私の理解であり、クルーゼルはチャンピオンや王者が持つ闘争心や粘り、
苦い体験や辛い思い出から派生したしぶとさがなかったから、ほんの僅か
かもしれないが、隙を与えてしまったのかなと思っています。

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