ダニ・ペドロサ、MotoGPからリタイヤ。心技体というが、全てが揃わなければ戦えないということ。

　すでに世界中のレースファンが衝撃を持って受け止めて、スペイン人の多くが悲しんだ
ニュースについて思ったのは、心技体が揃わないと戦えないし、長続きしないという
ものでした。
http://www.gpone.com/en/2015032916397/CLAMOROSO-Dani-Pedrosa-dice-basta.html

パドックでダニ・ペドロサとすれ違ったり、会った人はよく理解できると思いますし、
実際に会わなくても、テレビやネット上の映像でバレンティーノ・ロッシや
カル・クラッチローなどと並んでいる姿を見た人は強く感じるのでしょうが、
彼の身長は低い。

　その彼が125ccで活躍し、250ccクラスではホンダのマシンを走らせてタイトルを奪い
ました。その時に同じホンダのライダーでタイトルを争っていたのがロベルト・ロルフォ
だったのですが、彼がシーズン前にテスト走行でホンダのマシンにまたがった瞬間に
このバイクは小さいと感じたそうです。

　また、MotoGPクラスへステップアップして、ある年はアンドレア・ドヴィツィオーゾが
チームメイトだった時がありましたが、その時にイタリア人ライダーもマシンの小ささを
感じたそうです。

　ある意味、ダニ・ペドロサの身体的特徴や条件にアジャストしたオートバイをメーカーが
用意して戦ってきましたが、そこで勝てなくなってきた。さらにマルク・マルケスが
ステップアップして同じチームに加入しました。

　初年度というのは色々な意味で学習したり、理解することが多くて大変なのですが
MotoGPクラスで初参戦のマルク・マルケスはダニ・ペドロサを凌駕してしまった。

　ダニ・ペドロサに限らず200馬力を超えるバイクを走らせて世界の列強と戦うという
のは大変なんですが、彼の場合は体が悲鳴を上げ始めた。

　当然、毎年、オフシーズンに腕に関するケアも手術も行い、次のシーズンに備えて
してきました。

　騎手がじゃじゃ馬や気むずかしいサラブレッドを体力があり、脳の命令を体がストップをかけずに動いて走ることが名ジョッキーの条件なのでしょうが、200馬力を超えるマシンを思うようにコーナリングするために脳が命令したことを両腕が腕上がりを起こすことで思ったように走れないということになると高いレベルで走る上での限界を
感じてきました。そこを何とか精神力や技術や戦術で補ってきたのが、とりわけ最近
三年の彼の走りだったことでしょう。

　ただ、そのある程度修正ができるかできないかのギリギリのラインの走りの
中でそのラインを超えてしまってミスをすると本人にとっても危険ですし、これは
他のライダーを巻き込み惨事に繋がりかねません。

　まぁ、小さい体で今までよくやって来たと思うのですが、彼の腕の症状が収まらず
マシン的にライダーの腕の状態をサポートするようなテクノロジーが装着されないと
なるとこういうことになってしまいますね。

　ミック・ドゥーハンがひどいクラッシュで足が悪くなった時に彼のマシンだけは
他のホンダのマシンと違って、彼の足の問題をカバーするためにリアブレーキを
左手の親指で操作するようになりましたが、少なくとも現地時点ではダニ・ペドロサ
の腕の問題をカバーするテクノロジーは装着する方向に進む以前に彼は引退を
決めました。

　まぁ、心技体が揃わないとどんな偉大な王者でもキャリアを止めなければいけない
ですね。私はこの決断を惜しいとは思いません。パドックパスにはmotor sports is
dangerousという一文が掲載されていますが、彼が心技体揃っていない状態で
走ると危険だったり悲惨なことを目にすることになったかもしれません。
レースの世界の住人にとって、彼を支えたり、競り合う立場にとってしなければ
いけない決断をして危険を回避した立派な判断だったと思います。

　ただ、彼を使ってお金儲けをしようとしたり、年間の活動を実行に移していたり、
物事を進めていた人にとっては何でこの時期なんだと思ったかもしれませんし、
モータースポーツに対するスポンサードやサポートを考えていた人はこういうことが
起きる可能性があると他の競技なりイベントへ有効なお金やリソースの使い方を
したほうがいいなと思うのかもしれませんが。