例年、名古屋の東山公園テニスセンターで開催されているジャパンオープンジュニア。
アンダー18のプレイヤーが戦う大会にいつもだったら大体二日は顔を出すのですが
今年は決勝の一日だけ観戦しました。

 午前中、名古屋の中川区の荒越公園で週末プレイヤーの方々とプレイ。彼らの中で
観戦に行く人はいるのかなと思いきや、どなたも行かないということで自転車で会場へと
向かう。

 途中、いりなかから会場に行く途中のバローで食べ物と飲み物を補充。テニスを見る
時にワンサイドマッチは腹が減らないが、タフマッチとなると腹は減るし、のどが乾く。
そんなわけで、スーパーに立ち寄り会場へ。

 会場へ入るところの交差点でプレイヤーとその母親かコーチと思われる外国人と
顔が合い、『hello!』とあいさつし、プレイヤーがパンを食べているので『bon appetit』
と話す。一人がアメリカ人でもう一人がフランス人だと言う。少しフランス語で話すが
驚いていた様子だった。彼女たちは来週の大阪にも出場するということなので、
大阪で会いましょうと言って別れる。

 第三コートの試合はすでに終了していて、もぬけの殻。センターコートに行く。

 この時点で13時20分。昨夜オーダーオブプレイを読んだら、第一試合が11時スタート
ということでこれから第二試合が見られるのかなと思ったらなんとまだ第一試合の
ガールズのシングルスの最中。ファイナルセットの中盤であった。

 まぁ、テニスという競技は改めて地上波放送に合わなくて衛星放送での中継
ばかりになるということを実感する。

 ただ、このガールズシングルスの決勝。無駄に長いというわけではなくて、二人の
ファイナリストが技術と体力とテニス頭を振り絞っての素晴らしい打ち合い。それが
ロングラリーとなり、マラソンマッチになっていたのであった。

 私は昨年のこの大会も大阪スーパージュニアも行っていないのでケーティー・スワン
も村松千裕も見るのが初めてだが、実に素晴らしい。大きく回りこんで叩き込むフォア。
そして、決まったかに思われるショットに追いつきディフェンスからニュートラルへ
持ち込む足とショットの選択。色々なショットを織り交ぜながらの展開でエースか
エース級のショットでポイントが確定するいいバトルであった。

 結果、優勝したのは村松千裕。ファイナルセットは勝利が見えた中で決めきれずに
もつれたがしっかりと最後は刺すべきとどめを刺して勝ったわけで、勝てそうで勝ちきれ
なかったり、とどめを刺しきれないと大きな隙を与えてしまうが、きちんととどめを刺して
勝利したのは素晴らしかったですね。

 同時に思ったのは、我々のような週末プレイヤーはこの二人の戦いを見て、大いに
勉強になることが多かったのですが、観客はまばら。しっかりとキラーショットを
打ちたいとか追い込まれた時にディフェンスからニュートラルへ盛り返すのに困って
いるとか、回り込んで打ち込むことを覚えたいというような人はこの試合を見て
その後、練習に励んだら上達したり、改良できるのになと思いましたね。

 表彰式が始まるセンターコートを離れてトイレに行こうとしたところで、私の耳に
入ってきたのはイタリア語訛りの英語。ITFのユニフォームを着ているので、大会関係者
だと思い、イタリア語を話しますかと尋ねると、イタリア人でローマ出身だと言う。

 そんなわけで、エミリアロマーニャ訛りのイタリア語を話す私はイタリア語で話す。

 イタリアのテニス業界内にいる人というのは大体、共通の友人や知人がいるもので
私が錦織圭の育った松岡修造の修造チャレンジに関して、情報だしをしてイタリア人と
記事を作ったことやヒンギスが東京体育館で開催されていた時の東レパンパシフィック
オープンの時のubitennisの特派員だっただの話すと喜んで会話が弾む。

 まぁ、名古屋弁なまりの日本語を話すイタリア人で武田薫や山口奈緒美や吉松忠弘
といった日本人テニスジャーナリストと親しいという人はいない。

 だが、エミリアロマーニャ訛りのイタリア語を話す日本人でウバルド・スカナガッタ、ミケーレ・フィミアーニ、ロベルト・コメントゥッチというイタリア人テニスジャーナリストと
仲がいいというのは確実に一人いて、それが私と言うことになる。

 私との会話に付き合ってくれた彼女はレフリーということで準備があり、私はボーイズシングルスの決勝を見るということで別れて、トイレに行った後、再びセンターコートへ。

 これがヨハン・ニクルスと綿貫陽介の戦いだが、これもハードな叩き合いで、素晴ら
しいつばぜり合い。

 ほとんどのショットを胸元や肩口でしっかりと叩き、隙があれば、エースを狙って
キラーショットを打つという叩きあいで見ていて気持ちがいい。それで仮にミスが
出ても攻撃的な姿勢を感じて、マストアイテムに付随するエラーだと思えるので
見ていて楽しい。(やるほうは大変だが)

 緊張感漂う戦いでファーストをニクルスが奪い、集中力が切れた綿貫にニクルスが
襲い掛かり、2セットで攻勢に出てリードするが、そこから粘りを見せた綿貫が集中力
を取り戻し、ほぼ互角の展開となる。

 これで第二セットを綿貫が取れば面白くなると思ったが、終盤にオフェンスもディフ
ェンスも意外なミスが出てストレートでニクルスが勝利。

彼が勝利して、コーチのところに駆け寄って話していたが、その言語がフランス語。
そんなわけで私がフランス語で『おめでとう』と言うと、びっくりしながら『ありがとう』
と返事をしてくれた。

 彼が表彰式のためにコートに戻る。私はコーチに祝福の声をかけながら質問。
今回がG2レベルでの初勝利であること、まだ、プロのフューチャーズやチャンレジャー
には出なくて、来年からジュニアは大きな大会だけに絞り、プロの大会に出始める
ということ、コーチはフランス人だが住んでいるのがスイスでプレイヤーとコーチの
関係で二年になるということ、次の大会は大阪になることなどを話してくれた。

 かつてのF1ドライバーのアラン・プロストや昔のテニスプレイヤーのアンリ・ルコント
のようにフランス人でもスイスに好んで住む人がいるようにフランス人の彼も
スイスのほうが色々な意味でスイス人プレイヤーと共に仕事をするうえで合理的で
あることや利便性などを話してくれた。

 ガールズダブルスの試合を見るために第三コートへ。日本人ペア同士の決勝で
あるが、これが両チームともにポーチに出ることやパッシングを決めることが多くて
エースで決まるポイントが多い楽しいダブルス。我々のような週末プレイヤーが
戦術面で参考になることが多く、映像で見るのはシングルスだが、四人以上人が
集まってプレイするのはダブルスという人にとって勉強になり、なおかつ楽しい試合
であった。

 この試合のレフリーが先ほどうだうだ話していたイタリア人の女性。試合が終わり、
彼女はすぐに今晩のうちに大阪入りしなければいけないという。これがイタリアだったら
100キロ以上の移動を鉄道でというとひやひやするのだろうが、ここは日本である。
新幹線のよさを味わうことであろう。

 見て楽しく勉強になった東山公園テニスセンターの大会最終日であった。

 ガールズもボーイズも表彰式で副賞が渡されるシーンを見なかったが、何年か
前に大会側から表彰式のときに東海テレビのマスコットのかわいいとは言えない
やっぱイチバン君が渡された時に土居美咲が微妙な顔をしていたが、今年もあ
れは渡されたのだろうか。

コメント