日曜日の朝である。週の前半に懸念された台風は日本の南側で進度が鈍り
まだこちらへ向かっていない。曇り空ではあるが、ドライコンディションで進むことになり
そうだ。

 牛丼を購入して待ち合わせ場所へ。マウリッツィオとステーファノと共に車中の人となる。

 日曜日ということで水戸に近いエリアのほうは空いているが、サーキットに近づくにつれて車やバイクの台数が多くなる。日曜日のサーキットであることを実感する。

 心配していた渋滞はなく、サーキット入り。一安心である。

 荷物を置いて、牛丼を渡して、すこしパドックを歩くと明らかにキャンペーンガールの
数が違う。日曜日のサーキットの姿である。

 そんなことを思っているなかでノーランヘルメットのスタッフがやって来た。
チェックアウトしたホテルに携帯を忘れたらしい。ホテルに電話して、携帯が
あることを確認して、レース後に取りに行くということで話がまとまり一安心である。

 そして、AGVのオフィスに戻るとマウリッツィオが朝の9時なのにランチのために
持ってきた牛丼をおいしそうに食べている。

 まぁ、温かいものを温かいまま食べたいというのはよくわかるが9時に牛丼を食べて
おいしいというのはすごいと思う。アラン・プロストがマクラーレンホンダ時代に
何度もシーズンオフに来日して、好んで牛丼を食べていたことを思い出す。

 レースに関するセレモニーに興味がないので、上記のやり取りで時間が過ぎて
AGVの仮設オフィスに戻ると、マウリッツィオから羽田まで乗せられないと言われる。
日曜日の11時前にそう言われるとどうしようかかなり困るがこういうことがあるのが
イタリア人と付き合いとこういうことも起こりうる。ノーランヘルメットに行き、何とか
水戸までは乗せてもらえることとなり、レースを安心して見ることとする。

 予定調和のMoto3クラスとMoto2クラスが終わり、MotoGPクラスのレースとなる。
レース自体は面白くエンジョイできた。いつの時でもそうだが、ワールドチャンピオン
決定の瞬間というのは特別な空気感を感じる。若き王者の見事なタイトル防衛を
見たのと同時に業界人がチャンピオンはマルケスだが世界最速ライダーはロレンソ
だというのは非常に理解できる内容だった。

 まぁ、ペドロサはスズキからのオファーに600万ユーロや800万ユーロを求めたのか
報道が分かれているが、浜松サイドはそれに合意できなくてホンダ残留を決めて、
マルケスも複数年契約なのでロレンソがホンダに乗ることはできないわけでヤマハ
でいかに勝つのかということを脳みそから汗が出るほど考えて走って優勝した
レースに思えた。

 レース後にアンドレア・イアンノーネの親父、ドゥカティのマネージャーの
パオロ・チァベッティと会い、うだうだ話す。雨が降ったりドヴィツィオーゾにチャンスが
あったと思うが、まぁ、仕方なかったねという話になる。

 イオダレーシングに行き、ダニーロ・ペトルッチと会う。リタイヤの理由はブレーキ
トラブルだったらしい。三週連続レースである。一週目にひどいクラッシュとなると
三週続けてゼロポイントになるわけで体に何も起きなかったのが何よりである。

 その後、ロッサーノ・ブラッツィと会う。今季の彼はロッシの始めたMoto3チームの
エンジニアという立場らしい。それで、彼らのチームのほうに足を運ぶことがなかった
ので顔を合わさなかったわけだ。久しぶりの再会に喜ぶ。

 寒さを感じる中でノーランの二人の車に乗り込み、水戸へと向かう。OZドルの高さ
と円安で日曜の夜もかなり業界関係者と顔を合わせる。同時に思うのは日本の
メーカー関係者だったり、業界人と会うとなると月曜や火曜日、水曜日の出発にした
ほうがいいのだろう。

 偶然、昼間話していたロッシのファンクラブの連中と一緒に会い、水戸駅のビルの
スーパーで寿司を買い、併設のラウンジエリアで食べて、日本のことやイタリアのことを
話して日曜日の夜は過ぎていった。
 

 
 

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