土曜日の朝である。マウリッツィオとステーファノが宿泊しているホテルに向かう
前に牛丼を購入し待ち合わせのロビーへ。
 前日は平日だったせいか、駅周辺の道でどん詰まることがあったが、すんなりと
進むことができて、サーキットへ。

 いつものことだが昼食が食べれないことが多いので、マウリッツィオとステーファノに
お礼を兼ねて牛丼を渡す。ランチだと話して渡すが、マウリッツィオの方はなんと
ホテルで朝食を食べているにも関わらず9時には食べてしまった。

 まぁ、イタリア人の食に対するこだわりは日本人が驚くほどなので、温かいものを
温かいままおいしい状態で食べたいということなのだろうが、朝の9時に牛丼というのは
驚く人も多いだろう。

 イオダレーシングのピットに行く。ペトルッチの親父からロストバッゲージが届いていないということでサーキットかホテルに届くはずだという話だがどちらにも届いていない
のでルフトハンザジャパンか羽田空港のインフォメーションに連絡して行方を探して
欲しいとのこと。

 まぁ、こういうときのために私がいるわけで、小問題はともかく中問題、
大問題は地元の言葉がわかる人で、特定のメーカーとの縛りがない人に頼むこと
となる。AGV&ダイネーゼの仮設オフィスに戻り、ネットで羽田サイド、ルフトハンザ
ジャパンの連絡先を調べ、さらにホテルの情報も取って、連絡をする。

 アプリリアの部品関係であるらしい。かなり前のめりで少なくとも明日のセッションに
間に合わせないといけない。責任は重大である。同時に彼らがこの部品がなかったら
この週末のレースはどうなるのか、また、彼らがオーストラリアに出発した後に
モノが届いたらどうなるのか。三週連続開催でもヨーロッパ内のレースと日本ー
オーストラリアーマレーシアの三週連続開催ではこういう突発的なことが起きたとき
のダメージや取り返しにかかる時間や人的物的時間的エネルギーなどはかなり違う。

 電話を関係各所かけまくり、結果彼らがホテルを出た後モノが届いたらしい。
ホテルの担当者の名前を聞き、イオダレーシングのピットに行き、フロントでモノを
保管していること。フロントの女性の名前のこと。間違いだといけないのでアプリリア
のロゴの入ったビニールテープで頑丈にテーピングしている荷物であることを
確認したことを彼に伝えるとかなりほっとした様子だった。と同時にしばらくして
やってきたチームマネージャーのジャンピエロ・サッキが私が恐縮するほどお礼を
言っていたので、そうとう重要度の高いものが届いていなかったことを推測する。

 まぁ、こういうことを経験すると三週連続のアジアオセアニアラウンドで三週目の
日曜日はともかく、一週目と二週目に転んで壊したり、部品が足りなくなったりしたら
どえらいことになるからライダーもエンジニアもメカニックも神経を使うのだろう。

 ジーノ・レアのチームの仮設ピットへ行く。まぁ、旧知の仲の彼だが色々な意味で
足りないものが多く、同じエンジン、同じタイヤでのレースでチームの規模や予算の
大小が反映された結果が続く。いいライダーでも正しい時にいいオファーで競争力の
あるチームにいないと苦しいのだろう。持っている能力は大変高い彼だけに残念
である。

 チームマヒンドラに行くと仲のいいメカニック達が迎えてくれた。でもって、私に何を
求めているかというと水戸で性欲を満たせてくれるところがあったら教えて欲しいという
ことらしい。まぁ、イタリア人はすべての始まりがサッカーとセックスなわけで、当然と
言えば当然である。土曜日とあって、客も多くなると同時にそれに併せてキャンペーン
ガールも続々サーキットに到着してあるいているとなるとそんなことも考えるのだろう。

 昨日、顔を合わせたヤクブ・コンフェイルと会う。彼はレッドブル契約ライダーなので
昨年、ずいぶんとお土産代わりにレッドブルをもらったので、軽くて小さくて高くない
お土産を渡す。喜んでくれて何よりでセルフィーをして別れる。

 MotoGPの予選を制したのはアンドレア・ドヴィツリオーゾ。ドゥカティのピットの
近くを通るといたのがダビデ・タルドッツィ。祝福の言葉をかけて、しばらく歩くと
イタリアの衛星放送のSKYのレポーターとENGカメラのカメラマンなどがいて、
インタビューを受ける。持っているネタはあるから3分ぐらい時間があったら面白く
なるのだが、ライブであまり時間がないので僅かしか話せなかったのは残念だった。
彼らは満足はしているだろうが、大満足できるネタが話せなかったのはもったいなかった。

 エルフのジャックと会ったり、フランス人のジャーナリストのミッシェル・トュルコと
会い、フランス語を話したりしていたりしていたが、聞かれるのは台風の行方と
F1ドライバーで現在四日市で入院しているジュール・ビアンキに関して何か情報
を持っていないかということ。

 日本人だから日本語情報で入ることがあればお話しするし、名古屋人なので
身近な存在が中日新聞に中日スポーツ。この二紙は当然ながら中部地方で
大ニュースも細かい情報も網羅している新聞であるが、この二紙をもってしても
FIAの発表以外の情報はないから、結局は彼らがすでに有している情報
以外は存在しないこととなる。

 遅い時間になり、AGV&ダイネーゼの仮設オフィスにリカルド・ルッソ登場。
しばらくしてフェイスブック上でも表明することになるのだがチーム状態がダメダメで
走る以前の問題らしい。

 私のブログを愛読していらっしゃる方はご存知だと思いますが、彼は速いし競り合い
で勝負強い。チームイタリア時代にストック600選手権で戦っていた時の彼が色々な
意味で整ったチームでR6といういいバイクに乗った時の速さと強さは素晴らしいもの
であった。

 その時のライバルがマイケル・ファンデンマルクなわけで、同等の速さを持っていた
彼が毎回混戦となるワールドスーパースポートで大活躍してタイトルを奪い、
鈴鹿八耐でも日本のファンにリッターバイクで違うタイヤメーカーでもトップレベルの
速さを見せて、600でも1000でも実力を証明しているだけに現在のリカルド・ルッソの
低空飛行が実に残念である。

 キャンペーンガールの姿もいなくなり、お客さんも減り、帰り支度となる。
水戸に戻り、マウリッツィオとステーファノの友達で日本人と結婚して東京在住の
イタリア人とその奥さんと一緒に夕食を共にして別れる。

 水戸の駅前の広場を歩いていると業界人が多い。顔は見ているがあまり話した
ことがない人、昨年まではイタリア選手権をやっていたり、スペイン選手権を
やっていて今年ステップアップしてきた連中などで共通の知人がいる連中と
うだうだ話をしながら過ごしているうちに22時を回る。明日は早起きだが、ヨーロッパ
では昼間。届いているメールに目を通しながら過ごし、F1のソチの予選をBSで
見て寝る。

 

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