天才が出てくるのに90年以上待たなければいけないのか、あるいは運動能力が
高い人は他の競技に行くのか、テニスプレイヤーの育成に問題が
あったのかなどと色々なことを考えていました。

 ロサンゼルスオリンピックで公開競技だったのが84年。ソウルオリンピックで公式競技
になったのが88年。この80年代後半から旧ソ連圏のプレイヤーが増えてきました。
また、90年代からバルカン半島出身のプレイヤーも出てきました。

 今日ではテニスの世界のトップ200プレイヤーに多くの旧ワルシャワ条約機構軍参加国
のプレイヤーがいますし、セルビア、クロアチアのプレイヤーがいます。

 しかしながら、80年代中盤から前の時代というのは現在とは違った。ヨーロッパの
真ん中から東のプレイヤーは居なかった。つまり、今よりも競争が厳しくなかったのは
明らかです。

 そんな状況でありながら、日本人プレイヤーは松岡修造以外にATPツアーの
ウィナーのプレイヤーはいなかった。

 これは本人の実力のなさだったのか、あるいは育成システムに問題があったのか、
違った理由が存在したのだろうか。

 錦織圭の大活躍を喜ぶのは素晴らしいことですが、グランドスラムイベントレベルで
テニスプレイヤー人口が多いこの国からヒーローが出てこなかったことは大きな問題や
欠陥があったように思えますね。

 モータースポーツの世界では多くのテストや実戦からデータを蓄積して、そこから
マシンやタイヤ、サスペンション、様々なパーツの改善を進めてタイムを更新しようと
します。

 おそらく錦織圭と彼のスタッフは日本のテニスの暗黒史をたたき台にして今回の
活躍と成績に結びつけたことでしょう。成功体験よりも失敗体験のほうが教科書に
なるのですが、数多い失敗体験から何をすべきか、何をしていけないのかを
考えて実戦に結びつけていたように思います。

 同時に思ったのは、クロアチアのテニス界というのはゴラン・イバニセビッチの活躍で
ウィンブルドンを制覇した後、イバン・リュビチッチとマリオ・アンチッチの活躍でデビスカップ
を奪い、今回のマリン・チリッチのUSオープンの優勝。人口450万の国からコンスタントに
素晴らしいプレイヤーが出てくることと、人口一億二千万のこの国からはなかなか
トッププレイヤーが出てこないことの大きな違いを感じています。

 

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