絶対王者の時代は面白いのか。

　MotoGPのインディアナポリスはまたしてもマルケスが勝ちました。若き王者の
絶対王政が続いていて、これではすべてのレースに勝利するのではないかと思えて
きますね。

　全盛期のボクシングのマイク・タイソンの時代が面白かったのだろうか。私はちょっとなぁ
と思ってしまいました。テニスの絶頂期のジョン・マッケンローの年に三回しか負けなかった
時もあまり楽しめなかったですね。

　格闘技やテニスと違って、モノを使って走る競技であるモータースポーツの場合は
メーカーの思惑やスポンサーの考え方、主催者団体の方向性などが契約に絡んで
きます。そんな環境の中で若くて元気があって能力の高いマルク・マルケスは
レプソル・ホンダというメーカー直系のチームで走り能力を発揮しています。
そして、DORNAはスペインのサーキットでの観客動員数に満足しています。

　絶対王者がシーズンをここまで制覇してしまうと、スペインはともかく他の国での
テレビ視聴率や観客動員数という部分でマイナスの影響が出ないのでしょうか。
同時にDORNAがシェルとホンダと組んでアジアからいいライダーが出てきて欲しい
ということで若いライダーの育成を考えて入門カテゴリーとしてのレースが始まりましたが
ここまでワン・アンド・オンリーで勝ち続けているとアジアからのスポンサーの興味が
薄くなるような気がしますね。

　個人的には多くのメーカーが勝ち、様々な国籍や民族が参戦し、色々な
宗教を信じているライダーが戦うのが面白い世界選手権であると思っています。
マルク・マルケスとホンダとレプソルが悪いとは思いませんが、世界選手権のかかって
いるレースでインバランスを感じる私です。ホンダに乗るキリスト教徒とヤマハを
走らせる仏教徒とスズキと契約しているイスラム教徒とドゥカティを駆る旧共産圏の
無宗教のライダーが勝利を分けあい、誰が勝ってもおかしくないというのが面白い
シーズンだと思う私です。

　シェルとホンダの構築したカテゴリーからアジアの国からイスラム教徒と仏教徒と
無宗教のライダーが出てきて、群雄割拠のレース界になるのに
もう少し待たなければ行けないのかなと思った日曜日の深夜でした。
過去の世界選手権レベルでキリスト教徒と仏教徒とイスラム教徒とが競り合って
優勝者がどの民族、どの宗教のライダーになるのかわからなかったのは藤原克昭、
ケナン・ソフォーグルがヨーロッパ人のライダーと競り合っていた時期のワールドスーパー
スポートぐらいしか思い浮かばないのですが、あの年は面白かったけどね。