ウィンブルドンを制覇して、ダブルスのキャリアグランドスラムを達成したサーラ・エッラーニ
とロベルタ・ビンチが首相に招待されて、ミラノに出かけていました。
http://www.ubitennis.com/blog/2014/07/22/palazzo-cichi-errani-roberta-vinci-ricevute-matteo-renzi/

 まぁ、マッテオ・レンツィという39歳にしてイタリアの首相になった人としては、バルカン政治
の総本山でもあるイタリアで色々な策を考えて、一般庶民に明るい話題や楽しい空気感を
届けて近い将来を考える必要があったのでしょう。

 一方でサーラ・エッラーニとロベルタ・ビンチの二人というのはイタリアのペア。
イタリアのテニスファンはこの二人のことをよく知っているのでしょうが、すべての始まりが
サッカーという国。

 スポーツ紙で取り上げられるのではなくて、一般紙で記事化されるというのは色々な意味で
意義深いものでしょう。

 ワールドカップの予選リーグ敗退。

 イタリアという国はF1イコール90%フェッラーリで残り10%がイタリア人ドライバーという
場所なんですが、ヤルノ・トゥルーリがサーキットを去ってからイタリア人ドライバーが
いないため、F1はすなわちフェッラーリを意味するのですが、そのフェッラーリが不調に
あえいでいる。

 MotoGPのヴァレンティーノ・ロッシが国民的な英雄ですが、今年はマルク・マルケス
が強すぎて2000年代前半のような盛り上がりとは程遠い。

 そんなわけで、イタリアが盛り上がる雰囲気がないなかで、サーラ・エッラーニと
ロベルタ・ビンチのウィンブルドン優勝というのは明るい話題となりました。

 そこで、マッテオ・レンツィが彼女たちを招待するというのはスポーツが文化として
定着しているが、前述のように低迷していて冷えた空気感が漂う中で明るい話題を
振りまこうという気持ちの現れであるように思えます。

 もちろん、大人の社会ですし、イタリアのことですから、様々な大人の事情や思惑や
企てはあることでしょう。選挙で選ばれたわけではなくて、政局で生まれた内閣の
この政権が既存の政権と同じことをやっていては国民から見放されるわけですし、
明るかったり楽しい話題を届ける必要があったのは想像できます。

 しかし、そういった背景があるにせよ、こうして、首相がウィンブルドン優勝ペアを
招待するというのは素晴らしいことだと思います。

 そして、こうして、サッカーやモータースポーツ関係者以外を招待して、カメラの
前で撮影をして、配信されるということは何かの企てを感じます。

 都市の関係者だけでなくて、イタリアという国が2024年のオリンピック招致を
考えた上で色々と動き始めているような気がしますね。

 首相がラケットを握り、隣で微笑むウィンブルドン優勝ペアの姿を見て、ちょっと前の
東京オリンピック招致のために動いていた日本の首相とスポーツ関係者の姿を
思い起こしてしまった私でした。

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