F1がお好きな方はピレリタイヤ元年の優勝者が多数でた年を面白いと感じた人と
地殻変動が激しすぎると考えた人の二つに別れたことが記憶に新しいことでしょう。
今のテニス界というのは色々な意味で安定が保たれている部分と変化が起きている
部分を感じるのでしょうが、ロランギャロは色々な色合いがコートというキャンバスに
描かれています。

 まぁ、個人的には群雄割拠は面白くて、ピレリタイヤ元年のF1が楽しかったという
タイプですね。

 強い王者や女王が居て、そこに挑む人たちが若さだったり、テニス頭だったり、技術を
向上させたりして打ち破ろうとするという構図も面白いとは思うのですが、誰が勝っても
おかしくなくて、意外なウィナーやノーシードだったり、低いシードのプレイヤーが上位に
進出するような大会は大好きです。

 パリの勝利の女神は誰に微笑むのでしょうか。メルボルンでヒーローやヒロインは
美しいファンタジィを感じましたが、パリでは醜いリアリティを体感しました。

 順当な勝利には力のあるプレイヤーから日常を感じますが、同時に波乱の敗戦から
非日常を感じながら大会は進行しています。小津安二郎の作品のような日常を感じさせる
傑作も好きですが、フェデリコ・フェリーニの作品のような非日常も大好きな私です。
プレイヤーは優勝への『道』を考え、『甘い生活』を想像しています。流麗にして典雅で
ところどころ残酷さを見ることができる傑作を見て、その良さを理解できるのはマニアに
許された特権でしょう。

 パリの最終日に『l’intervista(インテルビスタ・英語でインタビューの意)』を受けるのは
誰なのか傑作を楽しみに見ようではありませんか。

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